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カテゴリ:破産
人破産の場合、財産を全部投げ出すが、借金も免責にしてくれというもの
自由財産とは、投げ出す財産に入らないもの 破産法34条3項に自由財産の範囲が記載されている 破産法34条4項は平成16年改正後の破産法において初めて認められた制度 自由財産の範囲の拡張 この是非に関する判例の集積が待たれる X 平成17年6月末日 勤務先退職 退職金受領 平成17年11月8日 破産開始決定 Xは、上記退職金の残額528万7674円を含む合計606万8907円の 現金を所持しており、上記破産手続開始申立に際し、上記現金から破産法34条3項1号所定の自由 財産99万円を差し引いた507万8907円を破産手続予納金として裁判所に納付した。 その上で、Xは、裁判所に対し、法34条4項に基づき、本件退職金の4分の3に相当する396万5680 円について破産財団に属しない財産とする旨の申立をした。 同申立の骨子は 1 退職金債権はその4分の3に相当する部分が破産財団に属しないこととされているところ (破産法34条3項2号 民事執行法152条2項)本件退職金は、現に支払われて現金化したとは いえ、他の一般財産と混同することなく同一性を保たれて保管されていることから、これ を退職金債権と同視することができる 2 Xは無職であって当分の間収入がなく、ほかにみるべき資産がないなどというものである。 原審は、退職手当の支払を現に受けた後に当該退職者が破産宣告を受けたときは、同退職手当相 当の金員は破産財団を構成するとの最高裁平成2年7月19日判決を引用して1の理由を排斥 2の理由についてもXは46歳で健康にも問題がないなどの事情によれば破産手続開始決定による 一時的な困窮を救済するための必要性があるとまでいえないとして本件申立を却下 X 高裁へ抗告 高裁の決定は 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産が破産財団に属するとの原則(破産法34条 1項)にもかかわらず、同条3項所定の財産が何らの手続も要せず一律に自由財産とされている趣 旨について、破産者の生活の維持を図り、経済的生活の再生の機会を確保する点にあると解釈す る一方、同条4項による自由財産の範囲の拡張の是非をめぐる判断には裁判所の裁量の余地が認 められるとはいえ、自由財産の範囲の拡張については、これを認めることにより配当原資の減少 という不利益を被るはずの破産債権者において意見を述べる機会もなければ、自由財産の範囲を 拡張する旨の決定に対して不服を申し立てることも許されないことを指摘した。本決定は、この ような自由財産をめぐる制度内容をじかれこれ考慮した上で、破産者の生活維持は、原則的には 法34条3項所定の自由財産でもって図られるべきであって、自由財産の範囲の拡張には、相応の 慎重な態度で臨まなければならないとの判断枠組みを示した上で、本件抗告を棄却した。 福岡高裁平成18年5月18日決定 判例タイムズ1223号298頁 頭注 退職せずに破産するというのがベター この場合、現時点で退職したらでるであろう退職金の8分の1が破産財団を構成するとするのが 実務 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.01.10 06:42:00
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