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カテゴリ:執行
売掛金債権の仮差押えを受けた協同組合が、第三債務者との間の農作物の販売取引を中止し、
同組合の理事が実質上経営している他の団体と第三債務者との農作物の販売取引を開始した 場合、同販売取引の中止、開始は執行妨害に当たるとして、同組合の理事の不法行為責任が 認められた事例 Xは、平成13年から平成15年5月30日までの間に、訴外A協同組合に対して農作物を販売し、 4668万5451円の売掛金債権を有していたので、平成16年4月13日、AのY1に対する売掛金債権 について仮差押えを行い、次いで本執行をすることにより、600万0587円を回収した。 ところが、Aの理事であるY2らは、従前Aが行っていた仕入と出荷を全てBの名称ですること とし、Y1に対する売上金の入金口座も変更するなどしてXのその後の執行を妨害したとし、 Xは、Yらに対し、民法709条等に基づき損害賠償を請求した。 名古屋地裁豊橋支部平成19年12月21日判決は、Aを実質上経営していたのは、Y2であり、Bを 実質上経営していたのもY2である上、Aが本件仮差押を受けた後のY2の言動、BとY1との取引 を依頼したこと、B口座開設への関与状況や同口座への入金状況、BとAとの書類や従業員の 共通性などを総合して検討すると、Aが本件仮差押後もY1に農作物を売り続けていたのでは、 その売掛金債権が本件仮差押決定の目的となってしまうため、これを妨害する意図でBを 設立したと推認できるとして、Y2の不法行為責任を認め、執行妨害による損害101万7766円 の支払いを求める限度で、本訴請求を認容した。 民事執行法151条によれば、継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の 債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶとされ、これが仮 差し押さえに準用されている(民事保全法50条5項)。 仮差押えされた債権については、債務者は、その債権の処分をしても差押債権者に対抗でき ないが、そのような処分制限の効力を受けるのは、仮差し押さえられた債権であって、仮差 し押さえられた継続的給付を発生させる基本的法律関係には及ばないから、原則として、基 本的法律関係を解除解約することは妨げられないとされている。 本判決は、先例の乏しいケースに関する判断事例として実務上参考になるものと評されてい る。 判例タイムズ1279号252頁 ブログランキング参加してます。 ↓ クリック、よろしく! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.02.09 07:51:02
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