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カテゴリ:破産
別除権者がいわゆる「不足額」について債権届出をしたが,その後に不足額確定報告書を提出するなどして不足額を証明するには至らなかった場合と,当該別除権者に不足額がないものとして配当を実施した破産管財人の善管注義務違反を理由とする当該別除権者に対する損害賠償責任の有無(札幌高裁 平成24年2月17日判決)
「事案の概要」 別除権者であるXが,Zの破産管財人であるYの実施した配当手続において,いわゆる「不足額」について配当を受けることができなかったという配当の過誤を主張して,Yに対し,善管注意義務違反を理由とする損害賠償を求める事案である。 破産手続におけるXの届出債権1(別除権付債権)は,元利金合計3億2003万4541円,予定不足額7583万2531円。届出債権2(一般破産債権)は,元利金合計719万8234円である。 Xの別除権の対象となる不動産については,任意売却が行われ,売却代金の一部がXに支払われるなどして,Xの別除権は消滅した。 Xは,別除権不足額の変更について,不足額確定報告書を提出しなかった。 Yは,破産裁判所の許可を受けて最後配当を実施したが,Xの届出債権1については,不足額確定報告書が提出されなかったため,配当表に記載せず,届出債権2に対して,114万4207円を配当するにとどまった。 原審が請求を一部認容したため,Yが控訴し,Xが附帯控訴した。 「判決要旨」 控訴人は,自ら関与して対象不動産の任意売却及び受戻しを行い,被控訴人の別除権が消滅し又はこれによって担保される額が0円となったことを認識していたのであるから,充当計算により別除権不足額を認定することができ,そのように認定すべきであったとして,別除権不足額を反映しない配当表を作成するなどした控訴人の善管注意義務違反を認めるなどして(被控訴人の過失割合を4割とする過失相殺を行った),附帯控訴に基づき,原判決を変更し増額認定を行った。 金融・商事判例1395号28頁 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.03.27 14:24:16
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