第314回 駒込千駄木町(こまごめせんだぎちょう) 後編
(前回からのつづき)バスを降りると、目の前の駒込学園に隣接して、光源寺があります。この寺は、慶安元年(1648)に神田からこの地へ移転してきた後、貞亨年間(1684~88)に日本橋の豪商丸屋吉兵衛が寄進したとされる金色の十一面観音像で知られました。この像は高さおよそ8メートルに及ぶ巨大なもので、『江戸名所図会』では観音堂の二階部分の窓から顔をのぞかせるユニークな姿が描かれています。俗に「大観音」と呼ばれて江戸期から庶民の人気を集めていましたが、戦災で惜しくも消失。現在は、近年再建された観音堂と観音像が、在りし日の「大観音」の記憶を受け継いで聳えています。光源寺の隣は清林寺で、さらに栄松院、瑞泰寺と寺院が続いています。道路の向かい側にも常瑞寺の名が見えます。改めて地図を開くと、この周辺は多数の寺院が寄り集まった寺町であることに気が付きます。そのせいか、どこか昔ながらの雰囲気や佇まいを残す街並みの表情があり、地味ではありますが、私のような散歩者には居心地のいい空間が続いています。見た目にも面白いのは瑞泰寺で、門柱の上に一対の象の石像が据えられています。再びバス停に戻ります。その途中、光源寺入口に旧町名「駒込蓬莱町」の説明板があります。「蓬莱」は町の発展を祈念しての命名とのことで、明治5年の起立です。そういえば、この寺の観音堂手前に立派な梅の木がありますが、これを町名に因んで蓬莱梅と呼ぶとのこと。バス停を通り過ぎれば、道はそのまま第161回「団子坂下」の項でご紹介した団子坂へと続いています。↑↑↑ブログランキング参加中です。