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カテゴリ:広島東洋カープ
『即戦力獲得・世代交代加速』
本日は広島投手陣の総括をしてみたいと思います。 まず今季大きな話題を呼んだのは即戦力投手3名の開幕一軍スタートにあります。 昨季の広島は長年3連覇を支えたリリーフ投手が軒並み低調、期待された新外国人投手は勝ちパターンを任せられる投球ではなく、更に先発投手は大瀬良が故障離脱、床田も開幕から不振で抹消を繰り返すなど悲惨な状況でした。 それでも先発には若手の遠藤、リリーフにはケムナや塹江、島内といった投手らを起用して経験を積ませる1年となり、新人だった森下が防御率1点台の圧巻の投球でエースに昇りつめて大きな幹が出来上がり、昨年のドラフトでは栗林、森浦、大道ら即戦力投手を上位で3人連続で指名する形となり、てこ入れを図りました。 しかしながら外国人投手の補強はネバラスカスとアカデミー出身のコルニエルのみに留まり、後はスコットの残留のみで終えるなど不安な船出を感じさせました。 そんな中で迎えた春季キャンプで、唯一リリーフでクローザーとして安定した成績を残したフランスアがまさかの右膝手術で最低でも後半戦からの復帰となり、早くも激震が走りました。 そこで佐々岡監督は社会人NO.1投手との触れ込みで入団した栗林をクローザーとして白羽の矢を立て、森浦や大道もリリーフとして起用するという少々賛同しかねる構想を立てて開幕を迎えることとなりました。 いきなり新人に守護神を任せるという弱小球団がよくやるプランでスタートするもこれが大成功、セーブ機会失敗が一度もないという見事な投球をシーズン終了まで続けました。 もう一人の森浦も前半戦は球速があまりなく芳しい成績ではありませんでしたが、前半戦の終わり頃から球速が出始めて後半戦は見事な投球、結果的には栗林を上回る登板数を記録して役割を全うしてシーズンを終えました。 そんな新人投手の頑張りこそありましたが、試合に勝利する上で大きなウェートを占める先発陣がピリッとしません。 前半戦は大瀬良が脇腹の故障で一時離脱し、復帰するも打ち込まれる試合が続き、昨季先発ローテとして経験を積んだ遠藤は高卒2年目からの酷使が祟って春先から調子が上がらずに扁桃腺炎によって更に調子を崩し、今季は僅かに2試合の登板に終わりました。 先発ローテの森下や九里は昨季の奮闘の疲れを感じさせる投球ではあったものの安定した投球を続けましたが、森下が夏場にこれまでの酷使が祟ったか8、9月は打ち込まれる試合が続きました。 先発として期待された新外国人のネバラスカスやスコットらはまるで戦力にならず、床田も後半戦こそ何かが吹っ切れたかのような投球を見せるも肝心な時期には二軍降格して登板できず、トミー・ジョン手術から復帰した高橋昂も芳しい投球はできませんでした。 結局当初はリリーフとして投げていた大道やまだプロ2年目の玉村に白羽の矢が立ち、その玉村は確かに先発ローテとして試合を壊さない投球を見せるも如何せん昨季二軍での公式戦すら1試合のみの登板の投手を一軍に登用するのはあまりにも時期尚早過ぎると言わざるを得ず、遠藤やアドゥワらの例があるので早くも来季が心配です。 リリーフ陣は栗林や森浦といった新人投手の活躍が目立ちますが、前半戦の中盤にはアカデミー出身のコルニエルが開幕一軍から奮闘、165キロを計測してスライダーで空振りを奪うなど見事な投球、そのコルニエルが調子を落とした後半戦からは島内がチェンジアップに活路を見出して躍進、二人が入れ替わる形でリリーフ陣を支えました。 ケムナや塹江らがピリッとしない中で島内が一歩抜け出した印象を抱かせます。 ただ3連覇を支えた今村、一岡、中田、中崎らは後半戦からは誰一人登板なく、今年のオフには即戦力投手として新たに3人の投手が入団、その裏で今村が戦力外通告を受けるなど世代交代がより鮮明になってきたのではないでしょうか。 ここらは来季の展望ですが、先発陣は少々疲れが見えるも森下や九里、大瀬良、後半戦見事な投球を見せた床田、3年目となる玉村らは余程の事がない限りは確定と言えるでしょう。 ただその「余程の事」が起こり得る可能性は非常に高いと言わざるを得ず、森下は明らかに新人時代から投げ過ぎが顕著、九里にも勤続疲労の様子が窺え、大瀬良はここ数年シーズン通して先発ローテを守り切ったことがなく、床田も結局肝心な時期に一軍を留守にしたのは昨年と変わらず、玉村は上記の通り寧ろ故障の懸念が残ります。 つまりのところ名前はスラスラ挙がるも離脱や不振に陥る可能性が限りなく高い脆い布陣と言わざるを得ないでしょう。 それでも今季は戦力になりませんでしたが遠藤の復活、後半戦は二軍降格するもフォームを立て直して秋に存在感を見えた大道、新外国人投手のアンダーソン、芳しい成績ではないながらも経験を積んだ高橋昂、新人左腕の黒原や森翔平両名、個人的には起用するならば中10日で登板させて欲しいですが小林樹斗など候補は挙がるようになっています。 続いてリリーフ陣ですが、まだ新人だった栗林や森浦の疲労が取れてしっかりと投げられるかどうか懸念は残りますが、この二人を筆頭に勝ちパターンとして島内や今季は故障であまり投げられませんでしたが幸い肩や肘ではなく休養も取れたであろうフランスア、他には腕の位置を戻せば十二分に勝ちパターンが務まるコルニエルらがおり、リリーフ陣はまずまずの陣容が整っているのではないでしょうか。 ビハインド時にはケムナ、塹江、高橋樹、菊池といった面々も控えており、新外国人のターリーを獲得するなどフランスアとコルニエルが不振、故障離脱した場合も備えられています。 ここ数年、即戦力投手の獲得によって一気にボロボロだった投手陣の層に徐々にですが厚みが出てきたのではないでしょうか。 後はせっかく育てた若手投手を潰さないように慎重に起用し、ここ数年まるで戦力になっていない新外国人投手を戦力にすること、ドラフトでは素材型の剛腕を上位指名するのではなく投球ができる即戦力投手を指名すること、これを続けていけば自然と改善されていくのではないでしょうか。 その為にも何度も言いますが酷使して潰すことだけは避けて欲しいところ(アドゥワや薮田、遠藤らは潰れてしまっています)、現在の監督は投手コーチ時代の2019年にその前科があるので念を押してお願いしたいところです(特に玉村と小林には細心の注意を払ってください)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.12.31 12:40:41
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