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カテゴリ:原子力
こんばんは。
11月12日、環境省が2007年度の我国の温室効果ガスの総量(CO2換算)の速報値を発表しました。 1年間で13億7100万トン。 これは前年2006年度の実績より2.3%も多く、結果として京都議定書の基準年である1990年を8.7%も上回っています。 (書くまでもありませんが)京都議定書では我国は「CO2排出量、1990年マイナス6%」とすることになっており、今後、実に14.7%も温室効果ガスの排出量を減らさなければならないことになります。 発表の前日、11日に斉藤環境相が記者会見で語ったところによると、「柏崎刈羽原子力発電所が地震で停止したことが大きな影響をあたえている」とのこと。 12日に経済産業省資源エネルギー庁が発表した2007年度の我国のエネルギー需給実績によると、エネルギーの消費量は3年連続で減っているにも関わらず、エネルギー起源のCO2の発生量は2年ぶりに増加。1990年度と比較して15.0%も多く、過去最大だそうです。 これは柏崎刈羽などの原子力の停止と渇水による水力の不足を補うために火力を焚き増ししたことによるもの。 13日付の電気新聞によると、我国が「1990年マイナス6%」を達成するには、「森林吸収による海外からの排出権クレジットを目標どおり確保できても、さらに07年度の総排出量から9.3%削減しなければならない。」とのこと。 しかし、仮に2007年度の我国の原子力発電所の稼働率が過去最大値(84.2%)と同じだった場合を仮定してCO2の排出量を計算すると、「1990年マイナス6%」の達成のためのCO2の削減はたったの4.3%で済むのだそうです。 我国の原子力発電所は、これまで「13ヵ月運転毎の定期検査」を義務付けられてきました。 これが法改正により、近々18ヶ月、24ヶ月の連続運転が可能になろうとしています。 米国では、運転中の機器監視・予備機器計画点検によってこれを可能とし、稼働率は90%を達成しています。 また、フィンランドなどでは機器の運転実績をベースに点検周期を最適化し、予備品の確保によって我国の定期検査に当たる燃料交換停止を驚異的に短縮。こちらも米国に匹敵する稼働率を叩き出しています。 我国の原子力発電所は、これまで極めて保守的な計画点検によって世界最高水準の安全性を確保してきました。 かつて仕事として我国の全原子力発電所の分析・評価を行っていた者として書かせて頂くと、我国の原子力発電所の運転中の計画外停止による電力量損失や自動停止(スクラム)の少なさは、世界でも類を見ない高いレベルです。 しかも、自動停止の原因も、殆どは落雷や地震などの自然現象によるもので、純粋な「機器の故障」によるものは極めて少ないのが現状です。(この辺、実は調べれば誰でも解るもの。) 我国の原子力発電は、CO2削減のために、今の状態からさらに一歩前へ踏み出すことを要求されています。 そして、その潜在力を十分に持っていることを私は確信しています。 環境相発言にもあった柏崎刈羽は、いよいよ7号機から燃料装荷を開始。 先はまだ見えませんが、これから各種の検査を予定しており、発電再開に向けて一歩ずつ歩んでいます。 また、先月末には、地震直後の対応が冷静・的確であり、被災状況の把握や点検も優秀だったとして、当時の当直員95人が日本機械学会に表彰されました。(おめでとう!) 地震直後、マスコミ(とくに朝日とhentai毎日)には随分ずれた酷い報道をされていましたが、きちんと分かる人たちは評価してくれるものだと我がことのように嬉しく感じています。 新潟県では、原子力発電所を地元産業の活性化や観光資源に使おうという表立った動きも出てきたようです。 確かにこれまで新潟は福井や福島、そして後発の青森と比較しても「原子力施設の税収や交付金以外での利用」に消極的で、非常に立ち遅れている感がありました。 新潟は反対派の力が他の立地地域より強く、エネルギー教育であろうが産業であろうが観光であろうが、「原発の利用は許さない」として何でも反対して潰そうとする風潮がありました。(推進側は「地元に対立などの波風を立てたくない」との考えで一歩引いていた節もある) ひょっとするとこの流れに変化があったのかも知れません。 直接原子力の安全や電力の安定供給に携わる「縁の下の力持ち」の部署から離れて久しく、現在は柏崎刈羽とも直接関係のない私でありますが、環境省と資源エネルギー庁の発表を目にし、今後も「縁の下の力持ち」をさらに影で支える土台、岩盤として頑張らなければならないな、と思いを新たにしたのでありました。 がんばれ! 柏崎刈羽! 他電力も皆応援しているぞ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年11月15日 03時04分11秒
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