飯舘村・川俣町の住民避難に関する私感
飯舘村、川俣町の住民の皆さんの避難がようやく始まりました。ツイッターの方で住民避難に関する考えを求められたのですが、長文になりましたのでこちらに書きます。住民避難の判断にあたっての第1の問題は、リスク評価のベースとなっているLNT仮説がそもそも正しいのか否かさえ解らないことでしょう。放射線による健康への有意な影響が認められる領域から、線を引いただけの仮説。低線量ではホルミシス効果(トンデモ扱いする方もいますが、照射実験論文もあります)がある、と言う人もいますが、影響は線量や照射時間など被ばくの形態により違いますし、第一、低線量で長期間被ばくした場合の影響までは充分な裏付けがとれていません。逆に、低線量では生体の修復機能が作用せずに悪影響があるのでは、と主張する研究者もいます。・・・要は、低線量での生体への影響はまだ解明されておらず、「ここまでなら絶対に大丈夫」と言えるしきい値の科学的根拠はない、と。解らないからとりあえず線を引いてみた、その程度の仮説が使われている訳です。2つめの問題は、LNT仮説が正しかったと仮定しても、一般人に対して何処までのリスクなら許容できるのか(つまり20mSvという線引きが高いのか低いのか)が、明確に決められないという点。私自身は、実際にこの程度の線量で統計的に有意な何かしらの健康障害が出るとは思えません。ただ、従事者が原発の作業で通常浴びる放射線量や基準から考えると、20mSvは一般人が浴びる線量としてはやはり高いです。故に、小佐古氏が「やってられない!」と思う気持ちも理解は出来ます。(但し、辞任は混乱させるだけであり、正しいとは全く思いませんが)3つめが、社会的な面での問題。確かに線量等量は低い値ではありますが、今後も長年同じ場所に住み続けた場合、集積値は高くなります。このレベルでは集積値が高くなると問題なのかも良く解っていない訳ですが、(特に子供については)念のため、ある時点で避難しておいた方が良いと私は思います。しかし、家族や地域との繋がり、避難先でのフォローを考えると、判断は難しいでしょう。避難自体が健康や精神面でのリスクになりますし、実際に津波で避難した方の中にも既に亡くなられた方が大勢いらっしゃいます。どの程度あるのかも解らない被ばくリスクを回避する為に、避難によるリスクをどこまで許容すべきなのか。また、誰が責任を持って判断するのか。今回の一番の問題は、原子力災害が発生する事を前提として、これらを予め検討し、基準を定め、さらに周辺住民(特に立地町以外の周辺市町村)へ周知していなかったことにあると思います。また、(すっかり有名になった)SPEEDIの評価結果はもっと早く公表し、実際の測定値と併せて、原子力発電所からの距離だけに因らないきめ細やかな避難の検討を行うべきでした。私は基本的に「自分がもっと上手く出来る自信があるのでなければ、結果について文句を言うべきでない」と考えていますので、誰かを責め立てるつもりはありません。しかしながら、飯舘村や川俣町はもっと早い時期に住民の皆様へ放射能の状況を説明し、事前に避難日を通知して避難先の確保を行い、避難を行う等の対策がとれていればよかったのでは、、と思います。※(一応、スペースや改行を入れて読みやすくしたつもりですが)携帯電話からの打ち込みであるため、文章、構成ともに読みにくくなっていると思います。すみません。単身赴任中で帰宅は2~3週に一回であること、及び、自宅は東電管内であり、帰宅時も電力消費を抑えるためにパソコンの使用を自粛しているため、更新が疎かになっています。この夏の電力需要は全国的にかなり厳しいです。東北・東電管内に関わらず、節電が必要ですのでお願いします。私も寮の部屋の天井照明はナツメ球を残して蛍光灯は全て外しました。夜の照明はこのナツメ球と自前の自家発システムのバッテリに繋いだ電気スタンドのみとし、今も暗闇の中で打ち込んでいます。