『蟲(むし)』
見慣れた動植物とは違う、時にヒトに妖しき影響を及ぼすもの。
蟲師(むしし)は、それらを調査し在るべき様を示す。
ヒトと蟲の世を繋ぐ者、蟲師ギンコの旅の物語。
★前のお話は→
蟲師 続章 あらすじまとめ
★蟲師1~26話 特別篇は→
蟲師 あらすじまとめ
蟲師 続章 第10話(最終話)「冬の底」
晩冬の山に、小さく低く囁くような音が聞こえると、
直、一斉に春の蟲が目を覚ます。
それは山々の主たちが、目覚めの日取りを相談する声。
春が近いと感じるギンコ。啓蟄までにはこの光脈筋を抜けたかったが今年は早そうだ。啓蟄後の蟲は腹を減らしていて厄介だ。呼ばれているが急ぐ用でもないので数日こもることにする。
(啓蟄:冬ごもりしていた虫が外に這い出してくる頃。
二十四節気の啓蟄は2014年は3月6日)
目が覚めればもう春だと思っていたが、もういい頃かと外を見ると雪景色。なんだこりゃ。読みを外したか雪が降り積もり冬の蟲「オロシブエ」もまだいた。さすがに真冬の勢いはないようだが。向こうの山は雪がもうなく、オロシブエの渡りが見えた。北へ帰っていくのだ。この山の群れは合流しないのだろうか。
雪の中を麓へ下るギンコだが、来た道に戻ってしまう。空を見ると、山に入った時はなんともなかったのだが、山が閉じていた。冬の蟲が渡りができないのもそのせいか。いったい何があったのだろう。ヌシに会ってみようとするが気配がない。光酒で呼び出すのは何があるかわからないから、やめておくことにする。
沢を辿ってヌシを探すギンコだが、獣も出て来ない。よく見るとあちこちに山崩れの跡があった。秋ごろ台風にあった後だろう、かなりの規模だ。その傷を癒すために主は山を閉じて山ごと冬眠させているのだろうか。弱った生物はそのまま死んでしまうかもしれない。隣の山は春なのに、この山は死を待つのみなのか。このままでは俺も巻き添えかと思ったギンコは誰かに見られている気がして見ると足あとがあった。
足あとを辿ると水が凍っていない沼に出た。そこにヌシがいた。いつまで山を閉じているつもりか、外はとうに春だから諦めてくれないかとヌシに話しかける。ヌシは答えずにこちらを向いた。蟲が集まってこちらへ向かってくる。ギンコは沼に落ちて飲み込まれた。薬箱だけが浮いてきた。
沼の底で気づくギンコ。泥の中のようだが呼吸ができる。獣たちが眠っているようだった。光酒が湧き出している。みなここで体を癒していたのか。そうか、まだ山は死んじゃいなかったのか。よかったな。よかった。
沼から出るギンコ。春なのか? まだオロシブエがいた。落ちていたギンコの光酒にオロシブエが集まってきた。光酒を飲むとオロシブエは渡って行った。山が開いたのだ。春の蟲たちが動き出した。蟲タバコも濡らしてしまってないギンコは急いで光脈筋を抜ける。
思ったよりラクに出られた。山が本調子でないせいか。それともヌシが蟲どもを抑えてくれてたのか。しかし光酒までなくした。まあ弱ったオロシブエが渡りをするには必要なものだが、まさか自分を山に入れたのは光酒目当てか?
「全部、ヌシ殿の手のひらの上か。まあいいか、世は春だ」
冬は往き、山は笑い、野は錦。
☆次回 特別番組「蟲語」第2夜
★予定の2話を残して静かに終了。次はまた蟲語のようですが。11話の放送は秋ですかね。わかり次第、あらすじまとめ記事に追記していきます。こちらでは、あらすじまとめと共に前に放送された「蟲師」の各話あらすじを継続してアップしていきます。蟲師続章の続きの放送前に、よろしければこちらもどうぞ。
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