小野田坂道は千葉県の総北高校の1年生。毎週ママチャリで秋葉原に通うアニメが大好きな気弱な少年が仲間と出会い自転車競技部に入部。試練を乗り越え才能を開花させていく......原作、渡辺航の自転車ロードレース漫画。
2期、GRANDE ROADは、インターハイ2日目のゴール争いからスタート。
☆前のお話は→
第1話「フェイズ49」 第2話「エースたち」 第3話「翔」
★1期 (1~38話)はこちら→ 「
弱虫ペダル 全話あらすじまとめ」
弱虫ペダル GRANDE ROAD ~グランロード~
第4話 「覚悟」
ゴール直前、御堂筋の自慢の前歯が折れた。そして金城と福富に抜かれた...勝ったのは?
インターハイ2日目、1位は箱学の福富。総北の金城が2位、京伏の御堂筋は3位だった。両手を上げる福富。金城は届かなかった。みんなの思いをゴールに届けるのがエースだというのに。涙を流す金城に福富が、ようやく俺の1年に及ぶインターハイ第2ステージが終わったと言った。
「ありがとう、全力で勝負してくれて。これで俺は心から笑える」福富の目から涙が流れた。お前もこの1年、重積と自分自身と戦ってきたんだな。金城は福富の肩に手を置くと、まったくお前は不器用なやつだと言った。言ってることが逆だ、それは笑ってるんじゃなくて泣いてるんだろ。ああそうだなと福富。今日は本当にいい勝負だった。
お前は強い、だが明日は負けんぞと金城は言った。明日は3日目、インターハイ最終ステージ、絶対に負けん。何があっても。京都伏見の控えテントでは御堂筋が自転車を放り出したまま隅にうずくまっていた。先頭に続き箱学と総北のチームメンバーがゴール。京伏も2名がゴールゲートをくぐった。
ゴールして倒れ込んだ坂道と鳴子。1年生レースよりしんどい、合宿の倍くらいきついと言った。でも鳴子くんや今泉くんがいてくれたから何とかゴールできたよ、ありがとうと坂道。小野田くんがおったから、箱学に追いついて勝負できたんやでと鳴子。褒め合いはそれくらいで控えのテントに行くぞと田所。そんなとこに寝てたら後続に轢かれるっしょと巻島が言った。
先にゴールした今泉がタオルを持って来た。鳴子がステージ優勝はとれたのかと聞く。今泉の顔が曇った。近くに勝利を喜ぶ箱学のメンバーがいた。ほんの数センチだった。すまない、俺のアシストとしての力がと今泉。いいんじゃないか、王者箱学まであと数センチのところに来てるってことだと田所は言った。
控えテントでは手嶋が金城の膝の手当をしていた。ちょっと無理をしたと金城。それでもステージをとれなくてすまなかったと言うと田所は今日は福富の日だったってことじゃねえかと言った。田所と巻島の態度に鳴子が、負けて当然みたいなことばかり言って、負けたのに悔しくないんですかと言った。
坂道が金城に明日、走れるんでしょうかと聞く。最後の日のレース、6人全員で、チームなんですよね。巻島が坂道と鳴子、今泉に休憩したら外に出るぞと言う。見せたいものがあると言う。連れて来られたのはゴール前、まだ必死でゴールを目指す選手たちがいた。あいつらがなぜあんなに必死で走っているのかわかるかと巻島は言った。
「見とけしょ、お前らはあいつらの屍の上を明日走るんだ」屍? まもなく表彰式とのアナウンスがある。まだ50人くらいしかゴールしていない。あと倍くらいいるのに何かのミスですかねと坂道が言うと、巻島はいいのさレースは終わったんだと答えた。
白旗を持った係員がゴール前に立つ。時計を見た。先頭がゴールして40分後、時間切れタイムアウトだった。ゴール直前でタイムアウトを宣告される選手。明日のレースは走れない。これがロードレースだと巻島は言った。そして、悔しくないのかと鳴子に言われたことに、喉をかきむしってのたうち回るほどに悔しいと言った。けど、そいつは明日の糧にしまっておくんだと言った。今、出しても腐っちまうだけ、道の上で爆発させろっしょ。
「屍を踏んでいく覚悟だ。レースが始まったら1秒だって無駄にするな、どんなチャンスも逃すな」そして金城は当然、明日走るさと巻島は言った。あいつはそれを一番よく知ってる。ステージで表彰式が始まる。福富が一番高いところに立ち手をあげた。2位の金城が紹介される。坂道、今泉、鳴子は走る覚悟を決めた。3位の場所に御堂筋の姿はなかった。
戻った巻島にお疲れという田所。1年の前では平気そうにしていたが、ふたりとも疲労困ぱいしていた。表彰式を終えた金城は、走るさと心に誓った。明日はチームのエースとして走れなくても。
箱学の宿舎では勝利をたたえ合うメンバー。福富は東堂に明日の山は頼むぞと言った。山は山神に任せておけと東堂。もう優勝は目前ですねと泉田がいうと、だが何が起こるかわからないのがロードレースだと福富は言った。いずれにせよ、明日3日目も俺たちがとる。俺たちは強い。
総北の宿舎には幹のところに彩が応援に来ていた。このメンバーなら優勝は十分狙えると寒咲は言った。金城、田所、巻島は湖畔に来ていた。1年は思っていた以上に健闘してくれたと金城。俺たちが一年のときよりすごいんじゃないかと田所。俺たち3人の形ができたのは秋の対抗戦だったもんなと巻島は言った。
1年の時、金城は毎日練習ノートをつけていた。自分だけでなく田所、巻島の課題も書いていた金城は、最強のチームになるためにと言った。来年はインハイに出て優勝を目指す。来月の千葉県の対抗戦に出てみないかと金城は言った。試してみたいことがあると。千葉県の新人対抗戦、1年生3人のチームで出場、金城がトップでゴールした。お前たちが勝たせてくれたんだと金城。巻島は金城が俺たちの特徴を生かしてレース展開を考えてくれたからだと言った。3人の力で勝つ形ができた。
あの時から金城についていけば何とかなると思うようになったと巻島。実際ここまで来たと田所。明日が俺たちの最後のレースだ。明日は負けられない、総北の戦い方を1年に伝えるために。
歯磨きをしている真波のところに東堂が来て、明日は俺が山をとると言った。知ってますと言うと、巻島を疲れさせ金城を追い落としたらエースクライマーの俺が最後をとる。だがまれに戦況は変わることがあると言った。何らかのイレギュラーがあってお前が先頭を走ることになったら、仮の話だが心にとめておけと言った。
「お前ひとりで箱学の歴史とプライドを背負い、ゴールに向けて走る状況になったら、そのときは自由に走れ。チームのことはすべて忘れていい」
洗濯をする手嶋たちに坂道がお疲れ様ですと挨拶する。金城さんがテーピングとスプレーを買っておくように、確か国道に薬局がと話す手嶋と杉元。坂道は僕が行ってきましょうかと言う。
京都伏見の宿舎では、御堂筋がメンバーに言った。
「明日は僕、レースには出えへん」
☆次回 「薬局までの3km」