亜人 #06
君もブチ殺してやる
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第1話~第5話 あらすじまとめ
この仕上がりは失敗だなと思った佐藤。行こうか、長居は禁物だよと圭に言った。
佐藤の後ろを歩く圭。研究所の廊下には佐藤に殺されたたくさんの警備員の死体が転がっていた。気になるかいと佐藤。圭は、別にと答えた。ここを守るのがこの人たちの仕事でしょうし、もう死んじゃってますしね。そうだねと佐藤が言うと、そんなことより、こんなところ絶対に脱出したいので、よろしくお願いしますと言った。
じゃ急ごうと言った佐藤は、圭と初めて話したときに抱いた違和感を思い出した。妹の心配を口にはしているが、どこか嘘くさい感じ。亜人という以前にもっと根本的にこの子はおかしい。仕上がりは失敗だと思ったが、もう少し様子を見るか。
3人の研究員がいた。我々は警備員じゃない、撃つなと手をあげた。先を急ぎましょうと圭。佐藤はひとりを撃ち殺した。あのう、殺すんですかと圭が聞くと万全を期すと佐藤。圭は佐藤の銃を掴むと、助けていただいている身分でたいへん言いにくいんですが、無抵抗ですし殺さなくてもいいんじゃと言った。
麻酔銃を隠しているかもと言う佐藤に、じゃあ、目をつぶすとか腕を折るとかはどうですと圭。永井君、君はやはり失敗だったよ。圭が掴んでいる銃を放し別の銃で研究員を撃とうとした佐藤の胸を圭が撃ち、ごめんなさい、つい咄嗟にと言った。
永井、君もブチ殺してやると佐藤は言って倒れた。
別室ではオグラ博士のお勉強タイム。IMBは物質だと言ったが、じゃあなぜ見えないと聞かれ説明をしていた。なぜガラスは透明なのか、それはガラスが光を透過する性質の物質で構成されているから。一般的なガラスの透過率は80から90%。IBMは全身が透過率100%の未知の物質でできているんだよ。
岸先生が陸佐に、突拍子もない理論ばかりで誰にも相手にされなかった男だから真に受けるなと言うと、日本ではねとオグラ博士。雑な国に認められたのがそんなにうれしいかと言う岸先生に、そんな石頭だからネクストステージに行けんのですよと言った。
カメラの映像を見ていた下村が、出てきませんねと戸崎に言った。備品室はカメラの圏外、これでは様子がと言い、私が戦ったりしなくていいんですかと聞いた。いいに決まっている、ここに攻め込まれでもしたら誰が私を守るんだ。君はここにいろ、絶対どこへも行くなよと戸崎は言った。
再生した佐藤は立ち上がると、どこに隠れたと圭を探す。ふたりの研究員と隠れる圭は、武器もないしルートもわからない。どう脱出すればいいのか考えていた。まさか亜人と隠れることになるとはなと研究員の近藤。よせ、かばってくれたんだぞと言う野村に、そもそもこいつがやつを呼び寄せたんだ。こいつのせいで何人死んだと思っているんだと言った。
僕が殺したわけじゃないですよ。第一それを言うなら、あんたらが僕にしたことを忘れたわけじゃないからなと圭。解剖台に戻してやると言われ、死んでも戻りたくない、僕は絶対にここから脱出する。あんたらも外へ避難したいんだろう、目的は一緒、ギブアンドテイクだと言った。
僕が囮になってあんたらをここから出す。あんたらは僕に安全に外まで行けるルートを示す。いいのか囮なんてと言う野村に死なないですしと圭。それは違うと言いかけると、よせよやる気になってんだからと近藤が止めた。永井君、聞いてるかなと佐藤の声がした。
死なない安心感があらゆる判断を安易にさせているのだろうが私が殺すと言ったのは比喩ではない。亜人は死ぬんだと佐藤。余計なことをと近藤。死をどう定義するかにもよるが、亜人は大きな肉片を核に散らばった肉片を集めて再生する。だが遠くに行き過ぎた肉片は回収されずに新しく作られる。もしそれが頭だったら。
約束しよう。私は今から必ず君を断頭する。そしてその頭を拾い上げ、新しい頭が作られてしまうさまを絶命するまで観察させる。新しくできた頭は脳は心は、今の君なのか。否だ。君はこっち、ここでおしまい。私を殺したことを死ぬほど後悔させてやると佐藤は言った。
やめてもかまわないよと言う野村に圭はやめないと言った。あんたらを外に出す。そうするべきだ、多分。
圭が脱いで床に置いた靴に佐藤が近づくところを上から襲う。狙いは首の後ろ、脊髄。うまくいけば殺さず全神経を断てる。しかし気づいていた佐藤が圭を襲う。腹を刺された。逃げる研究員。野村は約束しただろうとマジックで壁に線を引いた。
腹を刺された圭はやめとけばよかったと思った。佐藤が切りつける。くそ、何でこんな目に。圭のIBMが現れた。黒い霧を見て何だそれは、何なんだその量はと佐藤は言った。これが永井君の、形状はプレーン。人型になったIBMは、そのときは殺してやる、腕を折るとかはどうですと話すと佐藤を倒して雄叫びをあげた。
倒された佐藤は思った。確かに黒い幽霊は命令せずとも言葉を反復したり少しうろついたりはするが、こいつはちょっと勝手すぎだよ。IBMは、お手数おかけしてすみませんと言った。
再び、オグラ博士のお勉強タイム。未知の物質でできた透明人間と亜人の不死と何の関係があるのかと聞いた岸先生にオグラ博士は、人はなぜミカンを食べるのかと言った。人はビタミンCを自ら生成できないから摂取する必要がある。栄養失調で死んだ亜人は再生時にそれすら作り出すことができる。未知の物質を作り出すことと無関係のはずがない。
あれのおかげで助かったと圭。黒い幽霊、亜人はあれが出せるんだ。ていうか、不死身と関係ないだろうと思いながら目印をたどって進む。
近藤は人殺しまで目印をたどってついてくるかもしれないからと途中の部屋に隠れた。部屋の前を圭が通過して行った。部屋の前に佐藤が来た。通り過ぎたがIBMが入って来て近藤にも見えた。見えるかいと佐藤。強い感情を向けたときに人間にもこれが見えることがある、殺意とかね。助けてくれと近藤は言うが、すまない無理だ、私は殺すのがけっこう好きなんだよと殺された。
圭が屋上に出ると野村がこっちだと呼んだ。何でまだいるんですかと聞くと火災用脱出シュートの使い方を教えないとと野村。いらないですよ僕にはと言うと、あっそうかと言ったが、それだけで待っていたわけじゃないんだと言った。下におりたら俺の車でどこかまで送ってもいいよと言われ驚く圭。仕事だと割り切っていたが本当に酷いことをしたからと野村は言った。
あとひとつ、安心してほしいことが。君は君のままってことと野村。実験中に一度も断頭は行っていないし、トラック事故現場にも脳細胞は残されていなかった。それだけ伝えたかったんだ。なんで他人を気遣えるんですかと聞く圭。人の痛みなんてわかりますか。僕はうわべ以外で人の心配なんてしたことがない。
慧理子を埼玉県警の荒木が訪ね、二人組の男に何を聞かれたかと聞いた。慧理子は兄さんはどんな人間かと聞かれてクズと答えたと言った。そんなと言う荒木にクズよと慧理子。兄さんの本質は合理的でどこまでも冷たい。あの人はそういう人間なの。
佐藤が来た。野村が撃たれた。死んだら助けようがないなと圭は最短距離の場所から飛び降りようと走るが腕を撃たれた。残念、弾切れかと佐藤の声。最終ステージだと言うと刃物を出して向かってきた。死んだと思った野村を見るとまだ生きていた。
野村を運びながら、黒い幽霊にもう一度出てくれと言うと、また現れた。雨の中だけどまあいいかと佐藤も出し、黒い幽霊同士の戦いが始まる。佐藤のIBMは頭を狙っていた。お前も頭を狙ってみろと圭が言うと、なんで皮肉を言われなきゃとか言って命令を無視、ひとりでかわいそうだから、かまってやってたなどと話した。そんな昔のことを言わないでくれよと圭。
永井君、いい、逃げろと野村。圭は嫌だと言って野村を運ぶ。僕は誰とも関わってこなかったし、そんな必要なかったし、他人なんてどうでもよかった。でもあんたは助けたい。
だからここから落とす。それしかないと圭。植え込みに落ちれば生存率は確実に上がると圭は言った。テレビでは永井圭らしき人物が人質の研究員を屋上から落とそうとしていると報道されていた。
戸崎がコウマ陸佐に対亜(対亜人特選群)は何分で呼べますかと聞いた。別種対策が悪化したときのために急きょ発足させられた仮の部隊だ。対抗策も見つけられない現状で部下を戦闘させる気かと陸佐。戸崎は、今日なぜ帽子はIBMを使わなかったのか。使うことができなかったと考えるべきではと言った。理由はわからないが可能性は高い。田中奪還時とは何かが違う。こんなチャンスは二度とないかもしれない。
野村を落とそうと膝をくの字にしてと圭が言うと、待て、あれが見えるかと野村が言った。
IBMの頭がぶつかって倒れた。お互いの記憶の一部が流れ込んできた。頭同士だとこんなことが起きるのか。
永井君、行け。圭は野村を落とした。戸崎にわかったと言った陸佐はどうなんだとオグラ博士に聞く。オグラ博士はIBMは君たちが思っているほど万能じゃない。つけいる隙はいくつもあってと言ったがそこで話を止められ情報を漏らすようなことは避けてくれと言われ、ということでノーコメントだと言った。
走る圭。見えるかと言った野村は、あの川は放水路だと言った。大雨の時は海まで水門が開く。賭けだがあれなら逃げられるかもしれない。佐藤がナイフを投げた。圭は川に飛び込んだ。
永井圭は研究員らしき人物を屋上から落としたあと自らも川に飛び込んだと報道されていた。慧理子がお兄ちゃんと見つめていた。
☆次回 そして必ず隠蔽する。
【感想】
研究員の野村さん、いい人だったね。上手く植え込みに落ちたから助かっているといいんだけど。
オグラ博士は胡散臭い感じの人だと思ったけど、意外と優秀なのかな。いきなり唐突な例え話とかするけど、わかりやすい説明するよね。
それにしても圭の性格はほんとに興味深いね。死んじゃった人にはすごくドライだけど、生きていたら本気で助けようとしたり。そんなにクズでもないかなとも思える。
最初の頃にも言ったけど、亜人やIBMについても興味深いけど、何より珍しいタイプの主人公がおもしろいと思う。怖い佐藤を怒らせちゃってどうなるのか、次も楽しみです。
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