民間企業が開発した銘柄【No.5 岐阜県岐阜市産 みつひかり】
Komenumaは、自治体と接点のある仕事をメインにしています。ふるさと納税で返礼品を貰う場合に気になるのは、「一緒に仕事をしたことのある自治体」です。中には、意気投合して仕事をした市や、自分を育ててくれた職員のいる市などもあります。そういう街からお米を取り寄せて紹介してみたいと考えることは、時々あります。米どころとは限らないだけに、掘り出し物のお米もあるかもしれません。そんなことを考えながら開いたのは、ふるさとチョイスの愛知県刈谷市のページでした。デンソーやアイシン精機などのトヨタ系企業を代表とする全国でも指折りの工業都市ですが、市の北側(富士松)や南側(小垣江)などは農地も広がっています。もしかしてと思って見てみると、一応ありました。「縁結び」6㎏ 提供団体から、市南側の依佐美地区のお米?(記事作成時には終了していましたが、2023.8.28時点では更新されました)【ふるさと納税】No.334 縁結び(お米)計6kg / 白米 精米 えんむすび 甘味 贈り物 送料無料 愛知県価格:5,000円(税込、送料別) (2023/8/28時点)楽天で購入もうひとつ、特に気になったのはこちら。「銀河」5kg×2 提供者が個人名なので詳細が不明。https://www.furusato-tax.jp/product/detail/23210/4427414この2点で、いずれも寄付額は20000円からでした。、2023年度には「縁結び」が5000円よりありますが、当時は寄付額20000円のものが2種類でした。特に、銀河-みつひかり-の方はパッケージや説明文より興味がありましたが、ふるさと納税とはいえ1袋10000円なら抵抗がないものの、2袋セットで20000円となると、扱いにも困るし、一時的とはいえ出ていく金額も高いし…といったん保留しながら気にはしてました。気にはしていたので、少しずつ「みつひかり」について調べてみます。この銘柄は、福島県から大分県まで生産されています。愛知県は大きな割合を占めているわけではなく、年間わずか6トン。一番多い県は、お隣の岐阜県で年間956トンです。2位の滋賀県の生産量が256トンなので、「岐阜で強い銘柄」と言い切ってしまってもいいでしょう。そして、この銘柄の最大の特徴は、国や県の機関が品種改良をしたわけではなく、「民間開発の米」だということです。開発者は農薬等も扱う三井化学アグロ。同社が開発した品種で、「日本晴」ベースの「みつひかり2003」と、コシヒカリベースの「みつひかり2005」を総称して、「みつひかり」と呼んでいます。※komenumaは気づきませんでしたが、実食の時にkomenuma嫁が「三井化学だからみつひかりなのか」という感想を述べてました。確かに、そうですよね。系譜図になります。出典:三井化学アグロ「みつひかり栽培の手引き」https://www.mc-croplifesolutions.com/assets/pdf/products/recommend/mitsuhikari/みつひかり_栽培の手引き.pdfそして、ハイブリッド種です。ハイブリッド種とは、雄株と雌株を交配して、受粉できたものの第1世代だけが、雑種強勢(いわゆる優性遺伝)によって両者の優れた点を受け継ぐ仕組みを利用しているもので、F1種(※※)と呼ばれます。※※いわゆる、遺伝子組み換えとは別のもので、コメでは珍しいですが野菜の種子等では日本国内でも多く導入されています。この特徴、時にデメリットとして、第2世代になってしまうと同じ特性が受け継がれないことから、実際に栽培する農家等は毎年種子会社(この場合三井化学アグロ)から種子を購入する必要があります。そのデメリットを補うもう一つの特徴は、多収量米として開発されたことにあります。穂長が長く、「みつひかり2003」では従来種コシヒカリの2-3倍、良食味とされている「みつひかり2005」でもコシヒカリの2倍の収量が期待できる品種だそうです。百聞は一見に如かずだと思うので、三井化学アグロさんのHPにあった穂長がわかる写真です。出典:「みつひかりの特長」https://www.mc-croplifesolutions.com/products/recommend/mitsuhikari/2/この多収量性から、業務用米として重宝され、直接契約を行っている農家も多いようです。主要な取引先の中には、牛丼チェーンの「吉野家」さんも入っているそうなので、意識はされてなくても口にされた方は結構多いかと思います。https://www.nosai-aichi.jp/blog/suitou/entry-579.html(愛知県農業共済のブログより)さらにもう少し調べてみたところ、中日新聞さんのHPにこんな記事がありました。「みつひかり種子「今年は出荷せず」 生産元通告、一大産地の岐阜困惑」https://www.chunichi.co.jp/article/640456要するに、「(毎年買ってもらう)種の出来が今年は悪かったから、出荷することができません」というお話です。ということは、2023(令和5)年産のみつひかりは栽培されないわけで、当然市場に出回らない、つまり私が食べられる機会はないということになります。こうなると、2022年産のコメがまだ残っているこの夏までに、どうしても欲しくなります。清水の舞台から飛び降りようと、慌てて刈谷市さんのふるさと納税ページを見ましたが、時期は7月。すでに売り切れになっており、手遅れでした。同じようにふるさと納税でみつひかりを扱っている自治体に、岐阜県養老町があるのはチェックしていましたので、刈谷市から気持ちを切り替えてそちらを探しに行きますが、こちらも6月15日までで時間切れでした。そこで、中日新聞でも一大産地としている岐阜県になら、ふるさと納税でなくてもどこか直販しているかもしれないと考えて探してみたところ、岐阜市の「株式会社森ライス」さんのサイトに行きつきました。今回はこちらから、みつひかりと(岐阜県らしい)ハツシモを1kgずつ注文しました。ネット販売サイトの送料が、HPとメールで違ったことから確認が必要となり、送料の問合せ時に「みつひかり2003と2005のどちらなのか」も併せて伺い、「販売用は食味のよい2005だが、飼料用で2003も栽培してます」という返答をいただいています。こちらが、みつひかりになります。社長さんの似顔絵でしょうか。「みつひかり」「ハツシモ」が同時に到着しましたが、今回はみつひかりから開封しました。さて、試食します。1つ前に食べていた種子島産のコシヒカリ(新米)と比較してしまいますが、甘さともちもち感が際立ちます。そして、今回のご飯の友のうち1つは釜揚げしらすでしたが、こちらとは、ケンカになってしまいました。みつひかり側の甘味の自己主張が強くて、しらすの味がかき消されてしまった感じです。もう1つ、食卓にあったものが脂身の多い牛肉の醤油焼きでしたが、こちらとの相性はかなり良好でした。この牛肉の醤油焼きは我が家では頻繁に出る料理で、子どもが米屋から名前だけ見て買いたがった「幻の米」(←北信州みゆき農協のコシヒカリ)の試食見本2合と合わせたことがあるのですが、その時に匹敵するくらいのマッチングです。個人的食味チャート追加です業務用米ですが、最近では「萌えみのり」(サミット)や「みずほの輝き」(ライフ)のように、スーパーで比較的安価なラインナップの中に並んでいることがあります。民間開発の種子代があるのでそこまでは安くは出来ないのかもしれませんが、それでもスーパーの流通の中に入ってきたら、リピートしたいと感じる銘柄でした。今回購入した「森ライス」さんのホームページです。https://www.moririce.co.jp/「みつひかり」および今回同時に注文した「ハツシモ」の他、「ミルキークイーン」「にこまる」「てんたかく」「いのちの壱」「コシヒカリ」の各銘柄も、1kg単位で購入することができます(2023年8月現在)。