「時効まであと40日」
涼子はOL時代の同僚、秀美を思い出していました。秀美は、恐ろしくくじ運がいい女でした。恋敵の女性を殺害しながら、15年という年月を逃げ通せる運があるくらい。
まもなく時効を迎えて会いに来るであろう秀美、そのとき彼女は涼子にあることを要求するはずでした。
(殺人罪の時効は15年→25年に延長され、現在では公訴時効は廃止されています。)
くじ引きで当たる確率は、先に引いても後に引いても数学的には平等です。でも、世の中には、運のある人とない人がいる、これもまた実感します。
もっとも、宝くじの高額当選者がその後めでたし、めでたしで幸せになれるかというと、必ずしもそうではないようです。中には身を持ち崩したり、お金目当てで集まってくる人たちに辟易となることもあるので。
秀美も超ラッキーガールでしたが、新津きよみ氏の作品ですから、素直にめでたし、めでたしとはいきません。はて、秀美と涼子の運命は…?
参照元:日本推理作家協会・編『Doubt きりのない疑惑』講談社文庫
から 新津きよみ『その日まで』