◇◇光の圧力とは?◇◇
『三四郎』で野々宮さんが実験していたのが「光圧」でした。 光に圧力があるということは、普通に生活している中で実感がわきません。そんなものが存在するのでしょうか。 光とは何なのでしょう。 光は電磁波です。電波や紫外線の仲間で、これらはみな波長が違う電磁波です。目に見える光を可視光線といいますが、人間の目は可視光線以外は認識できません。 太陽光は白色に近い色に見えますが、波長の違う全ての色が混ざったのがこの白色です。私たちが目にする物体の色は、その物体が反射する色です。赤いりんごだったら、光の中の赤色だけ反射し、ほかの色を吸収しているので、私たちの目には「赤」ととらえられます。 光が電磁波だとすると、「光圧」(ぶつかったときのエネルギー)があることも少し理解できそうです。放射性物質から放出される波長の短いガンマ波は、鉛やコンクリートでないと遮蔽できないほどの透過力と強力なエネルギーを持ちます。X線にも電子をたたき出す力があります。 光は「波」としての性質を持ちますが、物体が振動する波でないところが、音波や水面の波と決定的に異なります。空気を振動させて伝わる波の「音波」は空気がないと伝わりません。水面の波も、水が振動して伝わるので、当然水がなければ伝わりません。 対して、電磁波は周囲の物体を振動させるのではなく、電場と磁場が交互に作られて伝わっていく波です。なので、空気や水という媒体を必要としません。 波である一方で、光はエネルギーを持つ粒子でもあります。光のエネルギーの最小単位はアインシュタインによって「光子」と名付けられました。 光の圧力はとても小さいので日常で感じられることはありませんが、ニコラスとハルの光圧実験装置でしっかり計測されました。(野々宮さんの実験装置の元ネタです)マックスウェルが立てた理論が測定値から実証されたのでした。 参照元:Newton別冊『光とは何か?』江馬一弘・監修 ニュートンプレス