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テーマ:読書の愉しみ(995)
カテゴリ:ミステリー三昧
『MISSING』の中の一編『眠りの海』。
崖から飛び降りたものの自殺に失敗して海辺でたき火に当たる私。傍らには地元に住んでいるという少年がいました。私は少年を相手に、死のうとした理由を話していました。 教師だった私は、母親が不倫相手から金を引き出すためにだけ生まれてきた、私生児の京子と関わるようになりました。私も両親が交通事故で他界していて、お互いの孤独を埋め合うかのようにひかれていきました。 しかし、教師と教え子の恋愛は当然学校内で問題になり…。 少年は、京子の秘めた思いと行動を推理して私に 伝えます。京子と私に起こった事故の本当の意味が明かされるのでした。 共に肉親の愛に恵まれず、心に空洞を抱えてしまったふたりの出会い。きっかけは偶然、惹かれ合うのは必然だったのかもしれません。でも、その関係が長く続かないこともまた必然だったのでしょう。 人生には自分の努力ではどうしようもない要素があります。選べない生まれ育ちであったり、大きな災いにつながってしまう小さな過ちであったり。重いストーリーですが、「私」が暗い海に背を向けたことで、これから開ける未来があると信じたいところです。 私と少年は、最後にそれぞれの方向に還ります。 参照元:本多孝好『MISSING』双葉文庫 から『眠りの海』 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 26, 2024 12:00:27 AM
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