ロード・ダンセイニは、アイルランドの貴族で軍人、小説家です。後半生に執筆した『二壜の調味料』はエラリー・クイーンらから高評価を受けました。
短編集『二壜の調味料』は、調味料ナムヌモを訪問販売するスメザーズが語り手のミステリーです。探偵役は偶然出会って同居することになったリンリー、ワトソン役がスメザーズです。
『二壜の調味料』
表題作『二壜の調味料』で、スメザーズは初めてリンリーに出会います。
200ポンドのお金を持っていた娘が、スティーガーという男と同棲していましたが、お金がつきる頃、消息不明になりました。お金を手にしたスティーガーが殺したと思われますが、証拠がありません。死体もみつかりません。
リンリーは、現場を見に行ったスメザーズの話を聞き、娘の行方を推理します。ヒントは2壜のナムヌモ。
真相ははっきり語られないのですが、リンリーとアルトン警部の間では真実だという合意に至ったようです。読者にも推測できるように書かれています。最後の一文が…怖い、怖い。
江戸川乱歩にも「奇妙な味」のミステリーとして取り上げられています。完全にミステリーと言い切れない、ホラーで不思議な味わいを持つ短編です。
参照元:ロード・ダンセイニ 小林晋・訳『二壜の調味料』ハヤカワ・ポケットミステリー