アンソロジー「おいしい旅ーーしあわせ編」から。
『失われた甘い時を求めて』の舞台は長野県松本市。登山をされる方なら南アルプスへの玄関口である松本はよく知ってらっしゃるでしょう。
「山岳」「音楽」「学問」が盛んなことから、松本は3ガク都といわれるそうです。
学問では、県下第一の小学校、旧開智学校があります。県の学校で唯一「洋学」が設けられたそうで、校舎も西洋風のモダンなものです。
音楽では、毎年8~9月にクラシックの「セイジ・オザワ松本フェスティバル」が開催されます。
城下町でもあり、開運堂、翁堂といった老舗の和菓子屋さんも魅力的です。
松本城
『失われた甘い時を求めて』の未央は、松本生まれですが、幼少期しか過ごしていない彼女に松本の記憶はありませんでした。両親を亡くした未央は、両親のかつての話を頼りに松本を訪ねます。
母が話してくれたマサムラのシュークリームを口にし、両親が教えてくれた場所をたどってみるのでした。
帰り道、特急あずさ46号に乗った未央は ふと幼なじみの昇を思い出します。電車がことさら好きだった男の子…。
後の展開が気になるところです。私も松本生まれなので、味わい深い短編でした。
参照元:アミの会・編『おいしい旅ーーしあわせ編』角川文庫 から
新津きよみ『失われた甘い時を求めて』