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(夏山と冬山の違いは寒さだけではない)
加藤はそれを考えつめていた。寒さだけなら、寒くないような、準備さえすればしのげるけれど、それ以外にあるものとすれば-それは孤独であった。 (略) 加藤は身ぶるいをした。冬山の寒さは、孤独感からくるものではなかろうか。(略)孤独に勝つことのできない同期生たちが、酒を飲み、歌い、いい争い、そして、ネオンの街の中へよろめきながら出ていった姿が思い出された。彼らには彼らの生き方があり、自分には自分の生き方がある。 「おれは孤独に勝って見せる」 加藤は震えながらそうつぶやいていた。 (第二章 展望より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.01.04 17:59:22
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