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2004年09月21日
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『朗読者』ベルンハルト・シュリンクというドイツの作家の手になるもの。ドイツでベストセラーとなり、アメリカでも200万部を突破して、日本でもアッと言う間に売り上げを伸ばした本だ。
ずっと気にはなっていたんだけど、なんとなく敬遠して手に取ることはなかった。今回、ハードカバーが古本屋さんに、格安で出ていたので、ちょっと読んでみるかなぁ、なんて思って買った。
かる~い気持ちで、内容に関しては何の先入観もなく読み始めた。いきなり15才の少年が母親ほどの年の女性に、恋をしてしまう展開。これって、こういう作品だったの? とビックリ。
ところが、前半のセンセーショナルな雰囲気が、読み進むうちになんかちょっと...う~ん、重い。
恋愛ものかと思いきや...少年の恋は年上の恋人(ハンナ)の失踪で終わりを告げたかに見えたが、ここからがこの作品のメインだった。
逢瀬を楽しんでいる間、なぜかハンナは彼に朗読を熱望する。同じ戯曲や小説や詩を共有している喜びもあったが、なぜだろうという疑問がいつも彼にはあった。ハンナが失踪した後も、心の芯の部分にこの恋を残したまま彼は法律家となるべく勉強し、そのひとつとして訪れた裁判で、彼女と再会する。
ナチス時代の収容所においての戦犯を裁く裁判。ハンナはその被告席にいたのだ。
罪に問われ刑務所で過ごすハンナに、彼は朗読のテープを送り続ける。そんな時が18年にわたり、そしてハンナはいよいよ出所を迎えるのだが...
ハンナが持ち続けた秘密とは? 収容所が残した残酷な傷とは? 彼の人生にもたらされたものとは?
最初からずっとせつないメロディーがBGMとして流れていたような印象を残すこの物語は、実際悲しいのだが、単に悲しいお話で終わらせてはくれない。どこにこの思いをもっていったらいいのだろう。

『ライオンハート』恩田陸氏。みなさんは、生まれ変わりやソウルメイトの存在を信じるだろうか? 何度も生まれ変わり、その都度同じ時に存在する男と女。出会った時には、すべてが黄金色に包まれてこのうえない幸せを感じるのだが、その与えられた時間は短い。出会ったとたんにどちらかに人生の終わりがくるのだ。
スマートな文章や人々の会話や話の流れが、外国文学を読んでいるような錯覚におちいる。
時空を超えて手渡されるレースのハンカチ。魂が呼び合うような深い絆。
一人の男性の失踪からページは始まる。このもうひとつの物語が、平行して進んでいく。4次元の世界を行き来しているような気がするのは、このせいなのかもしれない。
本当に大切なものはなんなのか? 忘れてはいけないものはなんなのか? 問いかけてくることに答を見出すのは、難しい。それでも温かい読後感を残してくれる。

『ふふふ』八木健氏。NHKアナウンサーだった方。10年間NHKの「俳句王国」という番組の司会を担当。俳句の魅力にはまってしまった彼の句集だ。
【春愁のとどのつまりの大あくび】
【別れたいと聞こえたのです冬の雷】
【すっぽんと新茶の缶の蓋をとる】
などなど、思わず「プッ!」と吹き出してしまう句や、しみじみと胸にくる句がてんこ盛り♪ 俳句がぐっと身近になるような句集だ。
「俳句漫談」と称して、楽しい講演の様子も載せていて面白い。

この連休に一気に読んだ本、3冊。こんなふうに読書できる環境や時間があることに、改めて幸せを感じてる(*^^*) 私にしては、高度なプチ哲学的な内容だったので(『ふふふ』は別よ♪)、また東野圭吾さんのミステリーでも読んで、肩をほぐそうっと♪
ということで、お次は東野圭吾氏、ちょっと昔の作品『11文字の殺人』のページを開いたのでした。





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最終更新日  2004年09月22日 02時05分33秒
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