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テーマ:海外生活(7779)
カテゴリ:アメリカ生活の日常
ここ2、3日、日本の新聞はTPPの記事が多い。確かにTPPは中長期的に見て大きな決断になるから、その重要性はわからないでもない。 でも一方で世界的に見たらイタリアの経済危機は、もうまったなしの状態になっているので、こちらも目を放すわけにはいかない。 とうとうイタリアの10年もの国債の利率は7%を突破し、ほとんど「破綻」水準である。 昔のように、世界の他の国に余裕があって、IMFにしてもヨーロッパ中央銀行にしても、破綻しそうな国を救済する余裕があるのだったらいいけれど、今は世界同時不況で、各国とも資金供出に二の足を踏んでいる。 そんな状態でやっとギリシャを救済する目処がつくかつかないかですったもんだしているうちに、規模的にも内容的にもそれを上回るイタリアの危機なんで、こちらは救済する手段が非常に狭まっている気がする。 イタリアの経済危機は、ギリシャ同様、イタリア自身の経済運営の失敗によるところが大きいので、またまた各国がその尻拭いをすることにそれぞれの国民が簡単には納得しないだろうから。 でもイタリアの経済危機と言っても、その国家債務がGDPの120%を超えた!という点で「危機だ、危機だ!」と言われているが、日本の国家債務は国際的に見たらイタリアの比ではなく、ダントツの200%超だ。 なので、単に国家債務のGDP比で言うなら、日本の方がよっぽど「危機的状況」にある、とも言える。 ただ、日本とイタリアの決定的な違いは、なんと言っても日本はこれだけの債務を抱えていながら国際社会の中では純債権国だ、という点だろう。 つまり、日本が破綻しても、その国家の債務のほとんどが日本国民にかぶさってくる、ということだろう。 だから、外国はあまり危機感を覚えない。 だからといって、この国家債務の状況がイタリアよりも悪い、という事実は変わらない。 国際社会の中であまり騒がれていないからと言って、日本がこのままでいいはずもなく、結局は日本の国民がその尻拭いをしなければならなくなる。 この「尻拭い」というのがどういう形になるのか、その点ではいろいろな考え方があるだろうけれど、今のまま債務が「国債」という形で増え続け、国内の銀行がそれを買い続ける、という構図は、日本国民の貯蓄をどんどん国に貸し付けている、ということだろうから、その「尻拭い」の内容のひとつは国民のそういった貯蓄に及んでくる、ということは確かだろう。 一方で東日本大震災の復興、もう一方で全世界同時不況の影響による円高とそれによる輸出産業の不振、そして最初にあげた、今議論がされているPTT参加問題・・・ どれをとっても大きな課題であるし、それが「今」同時進行している、という点に難しさがある。今までの歴史上、日本が経験したことがないほど難しい状況と言えるんではないか、と思う。 日本の食糧安保の観点や「自由貿易の行き過ぎ」による弊害を憂慮してPTT参加を見送るか、この世界同時不況の中で少しでも自由貿易締結による経済立て直しを優先すべきなのか・・・・ 一方で日本の経済状況を睨みながら、中・長期的な視点でいったいどういう舵取りが最善なのか、とにかく今は正念場を迎えているような気がする。 多分、正解はない。 あるのは「ベストエフォート」型の対応だけだろう。 願わくば、その「ベストエフォート」に私的な利害や、近視眼的な短慮だけは出来るだけ入れないで欲しい、と願うばかりだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.11.11 14:26:29
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