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ピアノ調律師の日々

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2009.08.08
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横浜に我々のショールームがあった頃から、S調律師はよく技術セミナーにいらしていた。
「ほ~、ドイツではこういう工具を使うんですか。なるほど、一つ分けて下さい」
と言う感じで、二回りは違うであろう自分にも言葉を丁寧に選んで使って下さる、優しい雰囲気の方だった。
「いつか、こういうピアノお客さんに紹介したいです。調律していても楽しいでしょうね。お金があれば一台自分用で欲しいくらいですけどね。。」
という事をおっしゃり、10年余の歳月が過ぎた。

ある日、S調律師から電話があった。
「僕は、今入院の準備をしていて、、もう、仕事ができなくなるかもしれないので、もしもの時の事を思い電話しました。前に少しお話しした、ベヒシュタインがきっと好きになってくださるFさんという方が、もう少し経ったらピアノをお買いになろうかと考えていらっしゃいます。本当に、ベヒシュタインが相応しい感じの方なので、必ずMKさんに連絡するように電話を入れておきますから、良い物を紹介していただけますか」

その後、S調律師がお亡くなりになった事はその方(Fさん)からの電話で知った。
「ずっと調律にいらして下さっていたのに、本当に残念です。。ただ、生前、MKさんにピアノを探すのなら連絡するようにと言われていたんです。今度、軽井沢の別荘を直しそこにピアノを入れようと思っているのですが、サイズはYYYcm位で、予算はXXX位までで、バッハがいい感じで聴けるようなピアノが欲しいんです。とSさんにお話ししていたんですよ」

Fさんのお話を伺って、Sさんが、ベヒシュタインが相応しい感じの方だ、とおっしゃっていた事を思い出し、どんな気持で入院前に僕に電話を下さったのかを考えると胸が苦しくなった。

Bechstein A
Sさんに叱られないようにお客さんに喜んでいただかないと。という気持で、いいタイミングで見つかったピアノの修理の実施を決め、お勧めし、軽井沢の別送に納品されてから今日が一年後の調律だった。
以前ブログでも紹介した、ベヒシュタイン Aクラシック(1920年頃)製造。ホテルに設置されていた物を引取り、八王子工房でK君が完全オーバーホールしたものを、Fさんがお選びくださった。
このピアノがホテルから引き取った時に、(外装も中身もぼろぼろだった)もう僕は、Fさんに紹介しなきゃ。と確信していた。Sさんが囁いてくれたのかもしれない。

今日、Fさんの、ピアノに満足いただいているご様子に安心し、Sさんの想いをしっかり伝えないと、という気持でピアノの調整に従事させていただいた。

ベヒシュタインにはこういうドラマもある。





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最終更新日  2009.08.10 08:48:18
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