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カテゴリ:2006 Germany
「死のグループ」と呼ばれたグループC。
その中で期待を大きく裏切ったセルビア・モンテネグロ。 ご存知のように、今大会が「セルビア・モンテネグロ」として戦う最後の大会だった。 国民投票により「モンテネグロ」の独立が決定したからだ。 つい10数年前まで「ユーゴスラビア」として存在していたのが遥か昔に思えてくる。 87年のワールドユースで優勝を果たした「ユーゴスラビア」は、 90年のイタリア・ワールドカップでもベスト8入りを果たし最盛期を迎えようとしていた。 しかしその後始まった内戦により、国内は戦争状態に突入してしまう。 それでもなんとか予選を突破して本大会に駒を進めた92年のユーロだったが、 国連の決定によって、直前になって出場権を剥奪されてしまう。 ちなみに代替出場を果たしたデンマークが優勝してしまうとは皮肉な結果だった。 94年のワールドカップには欧州予選さえ参加できず、 その間に「ユーゴスラビア」も崩壊の道を辿っていき、 「ボスニア・ヘルツェゴビナ」「スロベニア」「クロアチア」「マケドニア」が相次いで独立。 残った「セルビア・モンテネグロ」も「ユーゴスラビア」として、 98年のワールドカップや2000年のユーロには予選を突破していた。 この頃の代表の1つの特徴として選手の年齢が挙げられる。 つまりワールドユースを経験している世代と内戦後に全盛期を迎える選手が極端に多く、 内戦時に全盛期を迎えるであっただろう世代の選手がいないことだ。 これによりスムースな世代交代を進めることも出来ず、 独立による選手の離散でチーム力は下降線を辿ることになった。 そして今回「モンテネグロ」の独立決定により、「セルビア・モンテネグロ」として戦う最後の大会になってしまったわけだが、 初戦はオランダの快足ウィンガーと暑さにやられ、 2戦目は南米のセレステに大量失点を喫し、 最終戦はアフリカのパワーの前に2点差をひっくり返された。 政治に左右され続けてきた「ユーゴスラビア」としては、 ある意味ピッタリの最後だった。 この大会を最後に代表引退を表明したミロセビッチは最終戦終了後、 「これで1つの時代が終わるけど、 俺たちのサッカーには明るい未来が待っている。 なぜなら俺たちの国には多くの恵まれたタレントがいて、 それは誰にも奪い取ることは出来ないからだ。」 とのコメントを残している。 上質の選手や指導者を輩出し続ける旧「ユーゴスラビア」。 それは国が分離・独立しようとも、予選を突破し大きな大会には必ず名を連ねていることに裏打ちされている。 1つの時代は終わった。 それは次の新しい時代が始まることを意味する。 宗教や人種によって分離を続けた歴史も、今回の「モンテネグロ」の独立で終わりを告げるだろう。 そしてこれ以上、選手の拡散も起こることはないだろう。 ミロセビッチの言う「多くの恵まれたタレント」による新しいダンスは、今始まったばかりだ。 ほな、また。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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