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カテゴリ:2006 Germany
ワールドカップ決勝はPK戦の末、イタリアがフランスを破り24年ぶりの優勝を果たした。
この試合のMOMにはイタリアのピルロ、大会MVPにはジダンがそれぞれ選ばれた。 大会MVPとは、大会を通して実力通りの、あるいは実力以上のプレーを見せ、 そしてチームの勝利に貢献した選手に贈られるものだ。 準優勝には終わったものの、大会前には優勝候補に挙がることもほとんどなかったフランスを決勝まで押し上げ、 なおかつ今大会で現役を退くという情の面も含めて、 ジダンがMVPに選ばれた理由と言えるだろう。 しかしながら、今大会のジダンのプレーを振り返ってみると、 そこにジダンはいただろうか。 大会を通して実力通りの、実力以上のプレーを見ることが出来ただろうか。 答えはノーである。 確かに決勝トーナメントに入ってからはゴールやアシストを決め、 フランスに勝利を導いている。 だが「神さえも愛した」プレーの片鱗は見ることがあっても、 やはりファンとしては、特に全盛期のジダンを知っているファンにとっては、 決して満足できるほどのプレーではなかった。 では誰が大会MVPにふさわしいか。 大会を通して実力通りのプレーを発揮し、イタリアの勝利に、 そして24年ぶりの優勝に貢献した選手。 いわずもがな、マルコ・マテラッティである。 マテラッティの特徴は、対人に強いディフェンスにセットプレーでの得点。 そして乱暴な、悪質なファウル。 ジダンに何を言ったのかは知らないが、人を侮辱するような発言は決して許されるものではない。 しかしマテラッティほど今大会、実力を思う存分発揮した選手はいないだろう。 第2節を終えて全チームに決勝トーナメント進出の可能性が残ったグループE。 3節のチェコ戦でネスタの負傷によって出番が回ってきたマテラッティは、 得意のセットプレーから大きな先制点を挙げ、守備でも無失点で切り抜け、 イタリアのグループリーグ1位突破に貢献している。 続く決勝トーナメント1回戦のオーストラリア戦ではレッドカードで退場処分を喰らい、 イタリアをもう少しでどん底に叩き落とすところだった。 しかし退場があったからこそトッティのサヨナラPKという劇的な幕切れがあったわけで、 もし退場がなければ結果は違ったものになっていたはずであり、 イタリアの優勝もなかったかもしれない。 そして迎えた決勝。 マテラッティが絡んでいたからこそのファウルでPKを許し、 自らのゴールで同点に追いつき、 ジダンを退場させたことでイタリアに勝利を引き寄せた。 ドメネク監督が「ジダンの退場でフランスが終わった」とコメントしているように、 イタリアにとってもフランスにとっても大きな、大きなプレーであった。 実力通りに、7試合で失点2(オウンゴール1、PK1)という大会タイ記録のディフェンスを見せ、 得意のセットプレーから価値ある2ゴールを奪い、 「やっぱりしでかしたか!」というレッドカードをもらい、 決勝では実力以上に、120分を自らの手でオーガナイズし優勝をもたらした。 そんな彼こそ大会MVPにふさわしいのではないだろうか。 でも10年後、20年後に今大会を振り返った時にまず思い出されるのは、 ジダンの退場だろう。 だとすると、今大会はやっぱりジダンの大会だったということになるんだろう。 ほな、また。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.11 10:10:43
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