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2006.07.10
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カテゴリ:南アフリカ旅行記



資本主義と民主主義を標榜する西側社会にとって、当時民主主義を持たない資本主義国とされた南アフリカは格好の攻撃の的になったのではなかったか。
その背景には当時共同歩調をとっていたアメリカとイギリスの世界戦略に南アフリカが反していた、ということが言えるのかも知れない。
結果、当時の南アフリカ白人政権はそのパワーゲームに敗れたともみえる。
私が思うところ、有色人種の事実上の独立という見方においてさえも現在のところまだ懐疑的である。
この国における白人のマジョリティは先住入植者のオランダ系住民ボーアの人々であった。
国民党政権の中心となり、イギリス連邦を脱し独自の政策を展開して行ったのもこのボーアの人々である。
民主主義という言葉をこの白人の中だけで使えばマイノリティであるイギリス系住民は思うように政策に関与することが出来なかったと見ることもできる。
そこで起きたアパルトヘイトの崩壊とイギリス連邦への復帰は、あたかもマイノリティであるイギリス系富裕層住民が外交ルートを使ってクーデターを起こしたのではないか、というのが私の穿った見方である。
その後、彼らはすぐにイギリス本国に帰国しており、遠くから事態が落ち着くのを待っていた節も見受けられたりもする。
その後の混沌とした国内状況は徐々に落ち着きを取り戻し、それに付随する経済発展は、結果的に有色人種への雇用機会を増やしているし虐げられてきた人々の為になったのは間違いはない。
しかし反面、新たな支配者層を黒人の中に生み出し、最も改善が必要な貧困層はほとんど手付かずというのも現実であり、一気にマイノリティに追い込まれたボーアの人々の中に生活困窮者を生み出し、アングロサクソン系の金持ち層がさらに儲ける機会を創出しているだけという事実が私には垣間見える気がした。
貧富の差は人種を越えて加速されており、今後も決して貧困者にとって容易ではない状況が続くであろうと想像がつく。
ただし、少しづつではあるものの社会福祉や雇用機会の創出に対して改善されつつある点も多いことは評価できる点だとは思った。
この国の孕んでいる矛盾はまだまだ大きいし、私自身、歴史的背景や人種間の背景など本当に学ぶ必要がある点が山積みだと感じさせられた。
この時の私には、大きな疑問がいくつかあった。
南アフリカ共和国が真に欲しているのが黒人を主体とした民主政治であるのか否か。
それとも、現政権でさえも実は経済面から支配されている傀儡であるのか。
表と裏のパワーバランスはどのような綱引きをして未来を作り出していくのだろうか。
少なくとも現時点ではさらに強力な内政基盤の整備が急がれているのは間違いない。
正直、私には見えない部分が余りにも多くあるが、今後の展開を注意深く見極めたいと思った。

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最終更新日  2006.07.10 19:36:50
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