カテゴリ:小説すばる2012年
小説すばる 2012年12月号
壺中の回廊 最終回 松井今朝子 昭和五年(1930年)の帝都東京。歌舞伎の殿堂・木挽座を経営する 亀鶴興行に「今行っている興行の千秋楽までに百万円を用意しなければ、 掌中の珠を砕く」という脅迫状じみた手紙が届いた。契約を結んでいる 大切な俳優の命を奪う、との意味に受け取った亀鶴興行は築地署の 笹岡警部に相談を持ちかける。木挽座は幸い無事に千秋楽を迎えたが、 次の興行である「仮名手本忠臣蔵」が上演中に巴屋こと神崎蘭五郎が、 なんと毒殺されてしまう。 (小説すばるより転載、一部改訂) 歌舞伎を舞台にした大作・壺中の回廊(こちゅうのかいろう)最終回でした。 前回で犯人が判明し、その後思いもよらない展開になって 今回はドキドキしながら読みました。 犯人も意外でしたが、今回の結末もまったく意外なものになりました。 何人も人が死んでいるので、丸く収まったというのは語弊がありますが、 最後は誰もが納得のいくものだったのではないでしょうか。 松井今朝子さんにとって歌舞伎はご専門だけあって、 昭和の初めの歌舞伎の世界を全く見事に描写してありました。 その上で、時代を踏まえた見事なミステリーに仕上げてあって、 さすが、としか言いようのない出来栄えでした。 松井今朝子さんは『家、家にあらず』を途中で放り投げてしまって、 最後まで読めないのを悔やんでいたので、今回の大作を最後まで 読めたのは非常に嬉しかったですね。 【送料無料】小説すばる 2012年 12月号 [雑誌] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年01月27日 08時30分52秒
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