国産乳の必要・不必要論
露 です。私には、知恵袋、というか、尊敬する年配の方々がいます。その中の一人の方と、昨日、何気なく話をしていた。私のお客でもある、その方は、某酪農組案の幹部だったことがある方なのですが、おそらく、私もやっている「安全安心な国産牛乳を生産する会」への協力要請活動を、彼は、知ったのだと思います。私は、彼にその活動への協力を実は要請していない。何故なら、彼が過去、酪農協の幹部役員だったから、だ。おそらく、と、いうか、間違いなく何だかのその時の立場としがらみがある。そう、思ったから、彼に何も言わなかった。言えば、おそらく、何かをしてくれる。それは、間違いない事だ。けど、彼は、酪農のゴチャゴチャした混沌のむにゃむにゃの中で、自分が憎まれ役を買ってしまったので、もう、これ以上、傷つけたく無かった。彼の家族も傷ついていた。だから、平和に楽しそうに今を過ごしている彼をどうしても傷つけたく無かった。その、彼が、私に、こう言った。過去の、乳価交渉の中での話である。「大手のメーカー、特に、今の第一社であるメーカーは、あんた達の生産する牛乳などいらないと言ったのだよ。」私は息をのんだ。「LL(ロングライフ牛乳と言う。要するに、牛乳の缶詰)で、世界のどこからでも持ってこれると言ったんだ。だから、あんた達の牛乳など、市乳でも本来ならいらないのだ。そう言うんだよね。」「・・・LLとか、缶入り牛乳とかなんて、不味くて飲めたものじゃ無いよね。」私がそう言うと、彼は、「その通りだけど、もしも、そんな不味い牛乳が蔓延ったら、牛乳は不味いものだとされてしまうだろ?牛乳は処理でも味が変わるのが解っているのなら、ものすごく不味い、LL牛乳と一般的に売られている市乳を消費者に比べさせてごらんよ。それで、消費者に支持されなければ、本当は、LLを市乳(その辺で販売されている普通の牛乳)とする、牛乳は生もので無くなる、そう言う方向に、持って行かれてしまうよ。乳価として最も値段の高いシェアが、崩されてしまうよ?」そう、彼は私に言った。思うことは沢山ある。私が勤めていた某乳業会社は、誠実を売り物にしようとしている会社だった。だから、馬鹿みたいに、コーヒー牛乳といえば、効率の悪い、そして、バラツキが多くなるコーヒー豆からコーヒーをドリップして、牛乳に加えて販売していた。けど、当時の業界トップ,Y乳業の混ぜものいっぱいのコーヒー牛乳の方が、売れていた。確かに、Y乳業のコーヒー牛乳の方が、我が社のものより美味しいと私は思った。純粋なだけでは駄目なのかもしれないと。また、HTST製法、つまり、72℃15分の効率悪い殺菌で、売り出した牛乳は、消費者に水の様に薄いと言われ、売れなかった。バルクから汲んだばかりの牛乳は、この製法で作った牛乳に限りなく近いものなのに、全く、解ってもらえなかった。牛乳が薄いと言われてしまった。薄くないのに、本来そう言う味なのに。なのに、無殺菌牛乳1000円なり、とかには消費者は飛びつく。また、「バルクから直接牛乳を飲ませて下さい」とかって、農場を訪れた消費者は、農家に無理を言う。心ある農家は、特別牛乳という、区分で出荷できる衛生上の権利を持たない限り、そんな、無茶な事はしない。万が一、が怖いからだ。無殺菌牛乳は美味しい。低温殺菌牛乳だって、負けずに美味しいですよ。私は、低温殺菌牛乳を大きく市乳として生産しない、メーカーに疑いを持つほどだ。牛乳嫌いにさせたいから、そうしたいの?と。少なくとも、子供達には、学校給食で低温殺菌牛乳を飲ませてあげたい。牛乳は、本当は臭くて不味いものでは無いのだから。愚かなこの国の民、と、言いたくない。言ってどうするのだ?と思うからだ。何が、誠実な生産なのかをもっとよく考えて欲しい。彼が、最後に言ったのは、「農家の生産物への高いプライド無しに、乳価交渉など、無いからね。」ということだった。