「頑張れとか復興とかって、多分、今言うことじゃない。
頑張ろう、頑張ろうって言うけど家が流されたんだよ?」?
と、福島の兄に電話したら言われました。?
お前、ちゃんと分かってるの?
超ツライ時、
「とりあえず帰りたい、もう帰りたい」っていう、
あの帰る家がね、全部流されたんだよ。
俺、もう、家無いの。
明日も頑張ろうって決意するような場所がね、無いわけ。
今日も疲れた~ってドア開けてホッとするような所がね、
全員、一瞬にして、心の準備もなく、いきなり11日から消えたわけ。
お前、家ないのに頑張れる?
服も漫画も、化粧道具も、アルバムも、
大事にしてた物も、全部一気に無い。
よし、頑張ろう!!って思える?
すげぇ言われてるんだけど、
CMとかで、頑張れ、頑張れとか。
ちょっと気を許すと、
「一緒に頑張ろう!!1人じゃない!!」
とか言うわけ。
イヤ、お前ら家あるじゃん?
そのCM撮影したら家帰ってるじゃんって。
仕事もあるじゃんって。
俺、船、無くなったんだぞって。
多分、漁師はもう出来ないと思ってる。
もう、な~~~んもない。
どう考えたら、今、頑張れるんだよ。
ちょっとでも頑張れる何かが、今、俺たちにあるのか?
「いや、今はこっちで頑張るから、お前らは1年ハワイでゆっくりしてきな。」
とか言われたい。
「お前らが帰ってくるまでに片付けとくから。家も建てとくから。」
とか言われたい。
そしたら、俺だって頑張るよ。
毎晩うなされるし、
夜いつまでも眠れない。
流された人を何人も見た。
顔見知りも流された。
その頭にある映像を何回も思い出す。
その度に津波がこう来るって分かってたら、
あの人を助けられたかも......とか。
時間が戻せたら隣のおばあちゃん家に寄ってあげたかった、とか。
1人でも助けて英雄みたくなったら、
まだやる気が起きたかな、とか。
俺、1人で逃げてきたわけ。
誰も助けなかった。
おばちゃんとか何人も追い抜いて逃げた。
重そうなもの持ってる人とかもいたのに。
もう100万回くらい、100通りくらい後悔している。
4日目にやっと町に行っていいと言われて、
どっから手をつけていいか分からないどころか、
いっそもう何もしたくなくなるような町だった場所を見て、
ここを復興だなんて、微塵も思えない。今も。
蓋をしたい。
見たくない。
町を見ると、死にたくなる。
自分の人生は、もう終わったなって思うよ。
こっからはもうどう頑張っても金持ちにもなれないだろうし、
家だって、もう2度と持てる気がしない。
何も希望なんかないよ。
そんな俺達がさ、
避難所でCMでアイドルや俳優を見てさ、
「一緒だよ、1人じゃない」とか言われるたびに、
あぁ、あの世界は自分達とはもう全然違ってしまったんだと思う。
家がある人の言葉だな~と。
安定してるな~と。
そんなCMとかして充実もしてんだろうな~と。
家が流されてなくてさ、
帰る場所があって、仕事があって、
地に足が付いてる人が、
すげぇ神妙な顔で、
オシャレな服で、
こっち見て何か言ってるな、と。
おまえに言われたくない、と。
ホントに。
何も言わないで欲しい。
大丈夫な訳がない。
お前らに大丈夫だよ、とか言われても、
大丈夫な訳がない。
どう見たらこの状況が大丈夫になるのか、
胸ぐらつかんで聞いてやりたい。
でも、怒る元気もない。
やる気もない。
ボランティアや取材の奴らも来て、
色々写真とか撮って、
「実際見るとテレビとかとは全然違いますね~」とか言ってて、
数日たったら「元気出して頑張って!!」とか言って、
自分達の家に帰っていく。
正直、復興なんてクソ喰らえだと思うよ。?
「何か出来ることある?」
何を言っていいか分かんなくなって、
兄に泣きながら聞いたら、
「正直、不幸になってくれたら嬉しい。」
と言われた。
「俺達を幸せになんてフザケたこと思わないで、
俺達の分、そっちもみんな不幸になってくれたらな~。」
と言われた。
「俺達を想って歌とか作られても今は不愉快だから、
東京も全部流されて、
それでも「頑張ろう」って言われたら頑張るよ。
その人の歌なら聴く。
知らない奴に馬鹿みたいに「頑張って」とか、
「大丈夫」とか言われると、
今は正直、消えて欲しくなるよ。
募金は嬉しいよ。
で、ボランティアじゃなくて、
ビジネスで、
仕事として、
町を復興に来てくれた方が、
こっちも気兼ねなく色々頼めて気が楽。
正直、
ボランティアに「ありがとう」とか言うのも苦痛。」
と。??
兄と電話で話してからテレビを見てたら、
すごくモヤモヤしてしまって書きなぐりました。
......これがとある被災者の本音だとしたら、
安全地帯で僕らがものを言うことの安易さに心が凍ります。
そんな安全地帯の人達がする低俗ないじめ、嫌がらせ。
上記に書いた「福島県民お断り」の店や、
「旅館を経営している者だが、福島から来た客を宿泊させて大丈夫か?」
と厚生労働省に問い合わせてきた非国民経営者は、
クソ以下の人間としてここでは相手にしません。
ただ、避難してきた兄弟に、
「放射線がうつるぞ」
と言ってしまった子達に罪はない。
子供は時に無垢なだけに残酷だ。
だから我々大人達が、
それは日本人として、
人間として恥ずかしく悲しいことだとしっかり教えていかなきゃならない。
地震は自然の脅威である天災。
が、しかし、いじめや嫌がらせは人災だ。
今、地震はどこで起きてもおかしくない。
そこでどんな事故が起き、
どんな被害が出てしまうかなど予測不能なのも事実で、
次は我が身だ。
福島県民は被害者である。
何故このようないわれのない扱いを受けなければならないのであろうか。
その為には、
まずは我々大人が風評に惑わされることなく、
正しい情報を受け止め、
さらにそれを子供達に伝えることが大切だ。
勝ちましょう。
「被災者の本音」より。