みなさん、新年をいかがお過ごしでしょうか。
以前、このブログで
「そんなの関係ねぇ」が、
ともすると思考中止の文化につながり得るということを書きました。
「そんな大げさな・・・」
と、多くの方はお思いでしょう。
また、
「シャレやギャグの通じない、
アタマの固いヤツだ。」
とお感じの方もいらっしゃることでしょう。
でも、こりずに
「そんなの関係ねぇ」です。
今朝、出かけるために身支度をしているとき
流れていたテレビ番組を何気なく見ていたら、
例のあの人が登場しました。
なんでも、
寅さんの故郷である
柴又・帝釈天で芸人さんたちが新年のあいさつ、
ひいてはネタを披露するという。
そんなコーナーでした。
断っておきますと、
僕は概ね、
お笑いが「好き」です。
「そんなの~」の人にしたって、
さんざん苦労してきたんだろうなぁと思いますし、
こうして花開いたのをみると、
知り合いでもないクセに
「よく頑張ったね、努力は裏切らないね」なんて
生徒に思うようなことを思ってしまったり。
まったく、人は何がきっかけで大成するか分からんものです。
・・・いやいや、
そういうことではなくてですね、
とにかくその番組では
あの人が、ほんの短い時間で
「そんなの関係ねぇ!」をやってみせたわけです。
・・・で、その後。
「それでは最後に、
ここ、帝釈天にお集まりのみなさんで一緒に~!」
で、帝釈天は大合唱です。
「でも、そんなの関係ねぇ!
でも、そんなの関係ねぇ!
でも、そんなの関係ねぇ!
ハイ、おっぱっぴー!!」
リアルに想像してみてくださいな。
年端もいかない子どもたちが
地面に向かってコブシを叩き込みながら
「そんなの関係ねぇ!おっぱっぴー!」ってやってる。
この際、何が関係ないのかはどうでもいいわけです。
子どもたちにしたって、
別に何のことだか分からないわけで。
でも、
初詣でにぎわう境内が
「そんなの関係ねぇ!」の大合唱で埋まった光景は
正直言って、
身の毛もよだつほどでした。
あの人だって、
仮にも日本最高峰の大学を卒業しているわけだし
あのギャグが苦肉の策で出てきたもので
真剣に考えるべきときは、相当真剣であると思う。
そうでなければ、
どんな形でも、世に出て活躍しているはずがない。
が、どんな問題であっても
「関係ねぇ」の一言で片付けるのは
やはり「反省」の拒否であると思う。
反省というのは「ゴメンなさい」とは違う。
振り返ってみること。
良いことにしろ、悪いことにしろ。
自分と直接的に関係のあることはもちろん、
一見、
本当に自分に「関係のなさそう」なことであっても。
「どうしてこうなったんだろう?」
それを考えることが
次の思考や行動につながると思う。
もちろん、年端もいかない子どもたちが
現実の話題に即して
「関係ねぇ!」とやってるわけがありません。
ただ、それが習慣化し
いつの間にか思考を拒否する文化が定着することが怖いと思うのです。
さらに、
一緒になって「関係ねぇ」とやってる大人。
どうも日本全体が
思考拒否を容認するような文化になってきたようにすら感じる。
だからこれは、
あの人への批判ではなくて、
そんな文化に移り変わりつつある僕らの文化はホントに大丈夫か、
と、そういう話題なのですが、
ただここで難しいのは、
では、かつての文化が絶対であるかというと
むろんそんなこともなく、
その時代、その時代にある文化が
即、その時代には正しいものであって、
だから
「昔は良かった」論は無意味であって、
とすると、単純に
「日本はそうなってきていますよね」と
言えるのみなんですけどね。
でもなぁ、
何百人だか何千人だか分からないけど、
みんなで一斉に
「そんなの関係ねぇ!」ってやってるのは
やっぱり、なんだか怖いなぁ。
「パキスタンでブッド元首相が暗殺されたって」
「でも、そんなの関係ねぇ!」
「地球温暖化防止のための会議がさぁ・・・」
「そんなの関係ねぇ!」
「韓国の政権が変わったらしいよ」
「そんなの関係ねぇ!」
「薬害肝炎問題がついにさぁ・・・」
「おっぱっぴー!」
・・・。
そりゃあ、地球の裏側で起こっていることは
直接、今日の僕らの生活には
「関係ねぇ」のかも知れないけど、
でも、
「関係ねぇ」で済ましてしまうクセがつくと
ホントにそうなりかねない。
「憲法改正の国民投票だね」
「オリンピック、東京でやることになったね」
「裁判員制度、始まったよ」
「でも、そんなの関係ねぇ!
おっぱっぴー!」
今の子どもたちがそういう思考にならないと
誰が言い切れます?
だからオトナは
ギャグの見かたを子どもたちに教えなければならないし、
僕ら自体が
常にこれらが反定立である可能性を考えて楽しまねばならない
と思う。
そうでないと、
今日、明日の自分の損得だけを考える文化になってしまうかもしれないから。
そんなことを考える僕は神経質すぎですかね(笑
であれば、
それこそ
「そんなの関係ねぇ!」と笑い飛ばしてくださいな。
とにかく、
正月早々の
「そんなの関係ねぇ!」の大合唱は
大変、精神衛生上、よくなかった。
Kama
・・・ときに、
アレがこれほどはやるのは、
リズムに乗せているからだというのは間違いないでしょう。
かつてワーグナーが利用されたように、
また、北欧の思想中心バンドが布教活動に音楽を利用しているのもそのため。
リズム、音楽の力って、ものすごい・・・。