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2023.10.21
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で、ふざけまくったことをのたまってみた。

 

「承知した」

 

 斎藤は、表情をあらためるとおおきくうなずいた。

 

 承知したって……

 

 斎藤、マジかよ。​經痛​ もしかして、マジにうけとった?

 

「ならば、わたしは責任をもって自身の子や孫たちに語り継ごう。『昔、相馬主計という野郎がいてな。そやつのくだらぬ話に悩まされたものだ。おまえたちは、を苛立たせたり不快にさせたりということをけっしてしてはならぬ。として、最低限の作法は心得よ』、とな」

「ちょっ……。斎藤先生、それはないでしょう?」

 

 おれがかれに泣きそうな声で訴えると、かれのにいつものさわやかな笑みが浮かんだ。

 

「その調子でみなをくれ。とくに副長は、本音や弱音を言の葉にすることはない。しかしその心のなかは、あらゆることでおしつぶされそうで余裕などないはずだ。主計、おまえが雰囲気をよくしてくれれば、それだけでも副長にとっては救いになるはずだ」

 

 かれは、そういいつつおれの肩を拳で軽く叩いた。

 

 剣術や頭脳でフォローしたりアシストして新撰組を『盛り立てる』のではなく、ひたすら笑かして『盛り上げる』ってところがビミョーである。しかし、それでも斎藤に信じてもらえている。

 

 素直によろこび、がんばろうという気になってしまう。

 

「ぽち、わたしをみろ」

 

 かれは、俊春に向き直った。

 耳の不自由な俊春に、注意をひいてから口の形をおおきくして話しかけるのがすっかり癖になっている。

 

「たまを死なせるな。ぜったいに、死なせるな。史実や敵をごまかす手立てはいくらでもある。そうであろう?主計自身とかれの護りたいものを護るのなら、副長の身代わりに死んでいてはそれは果たせぬ。無論、おまえ自身もだ」

 

 かれの一言一言にこめられた想い……

 

 俊春は、なにもいうことなく頼りなげではあるが一つうなずいた。

をしっかりとあわせたまま……

 

「わたしが思うに……

 

 島田が口をひらいた。おれを、それから俊春を順にみてからまた口をひらく。

 

「主計が護りたいものを護ろうというのなら、そのなかにおまえたちも入っているのではなかろうか?」

 

 その島田の問いを咀嚼して理解するスピードは、斎藤やおれより俊春の方がはやい。ゆえに、おれたちよりかれのほうが一瞬はやく、はっとしたようなになった。

 

 そして、斎藤とおれも島田のいわんとしいることに気がついた。

 

 おれの護りたいもの……

 

 さすがは気配り上手の島田だけのことはある。よくぞ気がついてくれた、と手放しで抱きつき褒め称えたい。

 

 あっいや、抱きつくのはなし。こちらからかれに抱きついてお返しに殺人的ベアハッグを喰らったら、体中の骨がどうにかなってしまうだろうから。

 

 それは兎も角、たしかにそうだ。俊冬と俊春の正体をしろうがしるまいが、かれらはもともとおれの『護りたいものリスト』のなかに入っていた。

 

 しかしながら情けない話ではあるが、かれらにはほかの護りたいものを護ってもらうことをついつい任せてしまっているのが現状である。

 

 それでも、死んでほしくない。

 

 たとえおれにその力はなくても、かれらを護りたいと心から望んでいるのはほかの人々となんらかわりはないのである。

 

 斎藤の「もちろんです、島田先生。二人の名も、おれのリスト、もとい頭数にしっかり入っています。ゆえにぽち、たまを護ってほしい。きみ自身のことは、おれがたまに頼まなくってもかれが護ってくれるだろう?」

 

 俊冬と俊春とはたった一度、しかも餓鬼のに会っただけなのに、かれらとのやりとりはいまでも鮮明に覚えている。まぁ、暗示で期間は別にしてだが。

 

 不思議なことに思いだして以降は、かれらとかわした会話どころか表情の一つ一つまではっきりと脳裏に思い浮かべることができる。

 

 なんやかんやいいながらでも、俊冬は俊春をずいぶん気にかけている。それは、餓鬼のもそうだったし、いまでもおなじである。俊冬は、本物の兄貴以上に俊春を可愛がっている。そして、その逆も然りである。俊春は俊冬を慕っている。言葉は悪いが、仔犬が飼い主を慕うようなひたむきさを感じる。

 

 だからこそ、俊冬は俊春を護ると確信している。

 

 しかし、その反対となるとどうだろうか。

 

 俊春は、俊冬から「邪魔をするな」と命じられれば、いくら俊春自身は護りたい、阻止したいと強く想っていてもできないかもしれない。

 

「ぽち

「斎藤先生、ぽち先生っ!」

 

 おれがさらに説得しようと口をひらきかけたタイミングで、市村が斎藤と俊春を呼びながら駆けてきた。

 

「みんなが、挨拶をしたいって」

 

 かれは二人のまえまで駆けてくると急停止し、うしろを振りかえった。白虎隊の隊士たちが、こちらをみている。

 

 いまは、これ以上の説得はできない。

 

 斎藤は心残りだし心配であろうが、おれたちにはまだ時間がある。

 島田や蟻通などにも協力してもらい、俊春を説得してゆくしかない。

 

「すぐにまいる」

 

 斎藤がいうと、市村は白虎隊の隊士たちのほうに駆けていった。

 

「もう一度、かれらを説得してもらえませんか」

 

 かれらのもとへあるいていきながら、斎藤と俊春に頼んだ。

 

 このあとすぐにおこるであろう「飯森山の悲劇」を回避するため、かれらの






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最終更新日  2023.10.21 20:27:20
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