テーマ:お勧めの本(7221)
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この人はどういう文章を書く作家なんだろう…?
西村賢太氏の芥川賞受賞会見をみて、 関心をもった私は、 早速、読んでみました 『二度はゆけぬ町の地図』は、 2007年に角川書店から出された中篇小説。 「実際にあったことしか書けない」との会見の言葉どおり、 主人公・北町貫多=西村賢太と思われ… 彼の17~18歳の頃が書かれた私小説です。 文章は読みやすく、スピード感あって おもしろくて一気読みしてしまいました 現在43歳の西村氏ですが、 彼の生い立ちをみると、 一般的な17歳とはまったく違います。 1章目「貧るの沼」(ひんるの文字が出ない!)に書かれているこれまで…。 小5で父親がハレンチ極まりない刑事事件で捕まり、 それを機に、ほぼ一家離散。 彼は中学を出たあと、 定職も就かず(就けず…)、アナーキーな日々。 中卒、17歳(つまり未成年)の就職(バイト、日雇いなど)が いかに大変か。 年齢不問とあっても、それは上限のことで、 18歳未満の雇用はほとんどの職場が嫌う。 やっと酒屋に雇われて、 彼女らしき存在もできたが・・・ 2章「春は青いバスに乗って」の、 青いバスは、警察の護送車の色でありました。 傷害事件を起こしても、 警察官を殴ってはいけません 「ただの暴行と、暴行プラス公務執行妨害じゃ、 万引きと殺人くらいの差がでるからな」 続いての章では、 老家主からの厳しい家賃の催促など・・・。 それらあまたの大人たちと向き合って、 やり取りする貫多のセリフは 17~18歳とは思えないほど長けているというか。 重く暗い柵(しがらみ)を抱えた青春… 文章は読みやすいけれど、 西村氏には言葉のこだわりがあるようで、 独特の単語が随所に登場すます。 結句、潰送、はな 奢汰(しゃた) 費消 浮世とは、他人の耐え難きものを耐えての、 果てなき行路のことであったか、と。(本文より) 次は、以前芥川賞候補になった、 『どうで死ぬ身の一踊り』も読んでみたい。 (この作家の作品は題名もいいね) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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