サカダワNyung Nye―チベット密教浄化のリトリート(後編)
9月4日の日記「サカダワNyung Nye―チベット密教浄化のリトリート(前編)」の続きデス。 日曜は2時間半ほどのセッションが早朝5時から4回続く。断食断飲をしているせいもあって、午後のセッションともなるとかなり疲弊してくる。観想や瞑想、真言詠唱なんかはまだしも、屈伸運動で筋肉痛に拍車がかかってしまう体育会系の五体投地は諦めて、ゴンパの端に並んだ椅子に腰を下ろして、もっぱら精神行に集中したくなってくる。 もうこれ以上はとても無理だとカウチに腰を下ろしてしまった行者さんたちのなかに、派手なミュージシャン風男性がいるのに気がついた。ハンサムな長髪の、昔のロックミュージシャンを思わせる容貌で、黙々と行を続ける地味~な行者たちのなかで異色のオーラを放っていた。 こんな人、いた?今日のこのセッションだけ参加することにしたのかな? だけどよく見ると、ダーマクラブで同室のBさんだった。彼女は40代半ばの白人女性なのだけど、なぜだか派手目の若くてハンサムな男性に見えるのだ。そのうち、ハンサムなロックスターが中世のイタリア、しかもミラノ辺りのジゴロに見えてきた。 Bさんといえば、昨夜は寝ているCさんの枕元に立って、奇妙なストーカー行為(?)をしていたのだった。前夜のBさんも変だったけれど、その日の行動も奇妙だった。おもむろにカウチから立ち上がり、千手観音のタンカの前で合掌を始めたのだけど、ふつ~の合掌でなく、観音様に投げキスでも送るかのような奇妙な仕草でタンカを見上げているのだ。あたかもロミオのジュリエットへの求愛? 観音様に求愛でもするかのように祈る姿は妖艶で、もはや私には100%女たらしのイタリアンジゴロにしか見えなかった(すみません、Bさん・・・)。 ニュンネ中に顔つきが変わった人を見たのは今回が初めてではなかった。数年前にニュンネをしたときのこと、向かいに座ったDさんの顔が全く別人に見えてきたのだ。アラフィーの白人美人なのに、なぜかその日は東洋人の顔に見えた。 あれ、この人ってこんな顔してたっけ? いつの間にかDさんは、髪をひっつめ着物を着た日本女性(と私には思えた)になっていた。しかも江戸時代に芸者さんとか女郎屋さんとか遊郭の類を仕切っていたような、おかみさん。かなり強欲で手ごわそうな、和装のおかみさんが目の前でニュンネ行をしている!?のだ。 実際はジーンズにセーターという出立ちだったのに、そのセッションの間中、油断すると和服姿になってしまった。服の方は意識すると戻るのだけど、顔はずっと東洋のごうつく婆さん顔だった(すみません、Dさん・・・)。あれは土曜の2度目のセッションで、まだ絶食も始まってなかったし、大して疲れてもいないのに、なんでこんなふうに見えるんだろう?と不思議に思ったものだ。 それからかなり後になって、当時の彼女が夫の女性問題で悩んでいたことを知ったのだった。もしかするとあのときは、なにか前世でつくってしまった負のカルマ(遊郭で女将さん役を務めた前世とか???)を浄化していたのかもしれないなぁ、と後になって夢想した。ちなみに現在の彼女は乗り越えたひとの自信と優しさでパワーアップして、生き生きと光り輝いていて羨ましいほどです。 ニュンネではそのとき浄化する用意のできた負のカルマが出てくるというし、もしかしたらBさんも・・・中世のイタリア辺りでつくってしまったジゴロ時代のカルマを浄化していた・・・とか?そういえば、あのときダーマクラブの部屋で若い女性といえばIさんだけだったし、もしかしてジゴロBさんはIさんのことを狙っていた?とか??いやいやいやいや、あまりに邪推で、すみません。。。誤解なきよう付け足しておくと、Bさんは仲良しのご主人と娘さんに恵まれた既婚者デス。 そんなことより、じゃあ、自分は?今回のニュンネで何かカルマを少しでも浄化できたのだろうか?他の人の目に自分はどんなふうに映っていたのだろう?なにか違う姿の私が見えていた人もいたのかナ? 顔が変わったというのではなかったけれど、消えてビックリしたとメリリンから言われたことがあった。昔、金曜のガイダンスのとき、向かいに座った私の身体がわずかに宙に浮いたと思ったら、半透明になって消えてしまったんだそうだ。メリリンも初めは目の錯覚かと思ったそうだけど、その後もガイダンスを受けている他の参加者たちのなかで、なぜか私の姿だけが細かい粒子になって・・・。そのうち粒子が希薄になって半透明になって、そのまま消えてしまったり、忽然とまた現れたり、消えたり― 「あんなの初めて! ビックリした! 何かあったの?」と聞かれたけれど、本人に自覚症状はなかったのでわからない。 いったい私はその間どこかに行っていたんだろうか?あれは2017年の3月、病気の後に久~しぶりに参加できたニュンネだった。参加したくてしたくてやっと叶ったニュンネだったので嬉しくて、今回はどんなカルマを浄化しようかとか、幽体離脱して守護霊様にでも相談に行っていたのかもしれないナ(笑)。 最後のセッションは月曜日の早朝(つーか、まだ深夜ですね)3時からだった。断食断飲、行三昧で疲れた体に鞭打って、2時前に起きて身支度を整えて、コートヤードに出てみた。冬の夜空の下で瞑想したかった。凛とした空気が心地良く―終わりが見えてくると、どこからともなく力は湧いてくるものだ。 それでも筋肉痛にくわえて頭痛や目眩や立ち眩みがしていたから、最後の五体投地を終えたときにはホッとした。やっと頂いたチャイもココナッツウォーターも、身も心も躍り出してしまうほど美味しかった(小躍りではなく情熱のフラミンゴ踊りね)。最後に参加者全員でリトリートの功徳を一斉衆生に廻向し、とりわけAさんの速やかな回復を祈って終ったのだった。 ニュンネの後はほんと何を頂いても美味しいの。最後に食べたのは一昨日の午前中であるから自然、食べることにも力が入る。トーストやシリアル、ポリッジなんて炭水化物三昧の朝食を楽しみながらニュンネ体験をシェアした。 Bさんとも話したのだけど、あまりに清々しい気分で、就寝時のストーカーもどきの行動はなぜ?とか実はジゴロに見えていたとか、そんな話をする気にはなれなかった。彼女の方も溌剌として、当たり前のことだけどハンサムなロックミュージシャンにもイタリアのジゴロにも見えなかったし。彼女はポリッジを頬張りながら「今回のニュンネは前回に比べてずっと楽だった」と笑っていた。 そう言えば彼女は前回、ものすご~く体調が悪そうだったのだ。そこにいるだけで精一杯という感じで、ゴンパでは毛布を頭から被ってカウチでひたすらヘタっていた。毛布を頭から被って足を引きずるようによたよた歩く姿は、背中も「く」の字型に曲がっていたし、「ノートルダムの背むし男」みたいだった。このひと、このまま続けて大丈夫かしら?と心配していたのは私だけではないはずだ。 それが最後のセッションが終わるや途端に背筋もシャキッとして、頬に赤みも戻って顔色も良くなって・・・。あたかも二つ三つのカルマを一掃してしまったかのような波動の高いエネルギーを漲らせていたのだった。 ニュンネでは毎回、全く違ったチャレンジがやって来るから何度やっても慣れてきてもう大丈夫ってことはない。やるたびに違うニュンネになるのだと、ニュンネ熟練者たちから聞いたことがあるけれど、本当にそうだと思う。 あのとき彼女はどんなカルマを浄化したのかナ?そして今回は?私は・・・?思えばAさんもBさんもDさんもニュンネ歴2、30回の熟練行者さんたちだ。私程度じゃ、そんな大物カルマや前世は浄化できないのだろうけど・・・ 朝食の後にキム姉から思いもかけない贈り物があった。たくさんもらったからと、ダライラマ法王が祈祷されたマニピルを全員に配り始めたのだ!? マニピルとは真言薬とも呼ばれる、マニ真言の一億回念誦によって加持された小さな丸薬、秘薬である。 昔ニュンネ明けの朝食でM僧が法王のマニピルをみんなに贈ってくれたことがあったっけ。あのときは頂いた3粒のマニピルを家族4人で上手に分ける方法なぁんてことをメリリンと談笑したのだった。 3粒でも有難かったのにキム姉は20粒くらいずつ皆に配ってくれた。そのうえ夫のことを話したら彼の分まで!?キム姉、どうもありがとう! このサプライズギフトは、私にとって特別に意味のあることだった。 今回のニュンネは家族のためにやろうと決めていて、土曜の夜など喉の激痛に見舞われたとき、わざわざそれを神仏に宣言して助けを頼んだのだった。そうしてニュンネ明けに家族の分まで法王のマニピルを頂いた。それが、必要なサポートは与えられるのだから大丈夫だと、天からの励ましのような気がしたから。 それに「His Holiness Dalai Lama is my Guru」と宣言する夢(⇒6月15日の日記「サカダワ入り前に、ダライラマ法王の夢」に)を見た2週間後のサカダワ・ニュンネで、法王のマニピルを頂いたのだから。法王の夢見で明け、マニピルで結んだ今年のサカダワ。なんて縁起が良いんでしょ! Yeah, REJOICE!喜びながらの精進は仏行の基本ですものね。今回もできて良かった。ありがたいことデス。 そうそう、キム姉は前日に倒れて続けられなかったAさんの分もマニピルを用意してくれていました。あれから3か月近く経ちましたが、Aさんは普通に元気デス。結局これといった問題は見つからなかったそうで、次回のニュンネを楽しみにしているとのことでした。 にほんブログ村に参加しています。応援クリックを、どうぞよろしくお願いいたします(^^♪ にほんブログ村 [マックあつこの著書]『Tamagoー39歳の不妊治療』えっ、不妊症!? ミラー月子はたまご時計に急かされながらベイビーを夢見て先の見えない旅に出た。メルボルンからアラフォー妊活小説『Tamagoー39歳の不妊治療』 Kindle電子書籍『Tamago』 単行本『インスタント・ニルヴァーナ』もしもあなたの大切な人がカルトの罠に嵌ってしまったら? マインドコントロールの鎖は密かに繋がれてゆく。サスペンス長編3部作『インスタント・ニルヴァーナ 上巻』 Kindle電子書籍『インスタント・ニルヴァーナ 中巻』 Kindle電子書籍『インスタント・ニルヴァーナ 下巻』 Kindle電子書籍[Ako Mak 英語の著書]『Someday, IVF at 39』‘Someday, IVF at 39’ ―poignant, humorous and mysterious― a cross-cultural odyssey for motherhood.『Somedsay, IVF at 39』 英語版Kindle電子書籍『Someday Baby: IVF at 40』単行本[マックあつこのHP]マックあつこのHP Ako Mak HP