富山県滑川市北野の住宅で3日に見つかった男女3人の遺体は、うち2人が餓死した可能性があることが4日、滑川署の司法解剖などでわかった。
同署は、3人はこの家に住む無職大崎正一さん(78)と長女(45)、長男(40)の可能性が高いとみている。
司法解剖の結果、男性2人は死後約1か月、女性は死後1~2週間が経過。遺体は腐敗が進み、死因は判明しなかったが、中年の男女の胃と腸の中はほぼ空の状態だった。
同署によると、長男には重度の知的障害があり、長女も自力では生活ができなかったとみられる。同署は7月下旬~8月上旬、大崎さんが病気などの理由で死亡後、長男、長女と相次いで餓死したとみて調べている。
(2012年9月5日00時48分 読売新聞)
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最初に記事を見た時から、そんな感じがしていた。
痛ましい。
父が死に、弟が死に、姉はその後2週間生存していたのだ。
姉にも何らかの障害があったのだろう。
外部との接触がなかったのだろうか。
父は無職とあるので、父の年金、姉、弟の障害者年金か、生活保護費で暮らしていたのだろうか。
生活保護費は振込みではなくて、役所に受け取りに行かねばならないはずだから、こなければ、不審に思って職員が訪ねて来るだろう。
いや、生活保護費を父が受け取って、直後に亡くなって、翌月の支給日に役所に父が来ていないことを不審に思って職員が訪ねてこの状況で発見されたのかもしれないけれど。
自立支援法でヘルパーさんを派遣してもらっていなかったのだろう。
息子も娘もデイサービスも病院もあるいは作業所も利用していなかったのだろう。
亡くなった父がとても元気で息子、娘の世話を一手にしていたのだろうか。
支援を拒否していたのだろうか。
どんな住宅なのだろう。
野の一軒家であっても、電気料金、ガス料金、水道料金の検針の係が訪ねて来なかったはずはないのに。
借家であれば、家賃が振り込まれなければ、家主が不審に思うだろうに。
分譲であってもマンション、アパートならば、管理費が徴収されるはずで、管理組合が不審に思うだろうに。
78才の父が亡くなる前までは、どんな風に生活していたのだろう。
記事には、息子は重度の知的障害があったとある。
それは生来のものだろうか。
私達(長男、次男、私)は、人に恵まれ、福祉施策に恵まれ、幸運だと思っている。
施策があっても実際に引き受けてくれる支援者(ケアマネージャー、ヘルパーさん、作業所)が見つからなければ効果はゼロ。
精一杯の自助努力を重ねているが、それよりも何よりも、私達は幸運に恵まれたのだ。
四半世紀先輩の「障害児、者の親」はどんなに苦しい思いをされただろうか。
障害者本人はそれ以上のはず。
もしかしたら、これまでの経験の中で、支援をお願いする、受け入れるという考えを持てなくなっていたのか。
高級車を何台も所有して生活しているのに、生活保護費を申請してをだまし取ったという男性が詐欺罪で逮捕されていた。
片や、遺体となって発見された3人がいる。
たまらない気持ちがする。
個人情報の保護は大切なことだけれど、障害者、高齢者の健康状態、生活の状態を、どうにかして把握する法律が必要なのではないだろうか。
福祉施策が、処置から契約に替って久しい。
気力、体力、責任感のある保護者には良いことなのだけれど、無責任だったり、保護者自身が病んでいたりすると、子は、老親は、とんでもなく悲惨なことになる。
私達だって、今日、明日は大丈夫でも、病気になって、怪我をして、体力、気力が弱って、経済力がなくなれば、どんなことになるのかわからない。
なんとか気を張って持ち堪えたい。