前回の続き。
http://plaza.rakuten.co.jp/amayakyuunikki/diary/201512140001/
■今年の放送分ではないけれど、これまで見た中で一番面白かったのは、『どしゃ降りのガソリンスタンド』(昨年のリクエスト第6位)。
神奈川県内のとある町、どこにでもあるような極めてふつうの24時間営業ガソリンスタンドで。
給油に訪れる人たちは、一見すると穏やかで幸せそうに見えます。でもマイクを向けると、そこには想像をはるかに超える壮絶な人生・・・、しかも背負った人生を淡々と語る不思議。
■(40歳代・男性・害虫駆除業)
深夜2時。これから仕事に向かうという男性。職業は害虫駆除、この業界で働いてすでに20年経つ。昨年、長年勤務した企業から独立した。寝癖のついた髪、古ぼけた作業服。ねずみを駆除する新兵器を発明したと自慢げに話す。商品名は『まもるくん』。風貌、商品ともにどこか怪しげで、胡散臭さが漂う。
ところが、スタッフが薬指にはめた指輪に気づくと、話は意外なほうへ展開し始める。
「あ、これね、ただはめているだけです。10年前に家内は他界したんで。くも膜下で突然に。・・・台所で料理中に、グラタンか何かを作っていたんですね。で、後ろをちょっと振り向いた瞬間にバタン!と(倒れた)」。
あまりに突然すぎる別れだった。当時6歳だった息子にも変化が現れた。
「いじめが激しくなって、小学校4年、5年、6年には全然学校に行ってないんです。だから、僕が事業を興すことで、子供と接する時間が多くなれば」。
なるほど、彼が独立した理由はそういうことだったのだと納得した。
そして、これからの夢はありますか?と聞かれると、
「夢はまだないです。まずは子供を育てることが一番です。自分の夢は子供が独立してから」。
話の意外な展開がこの番組の面白さ。給油を終えて車に乗り込む姿は、とても頼もしそうな父の顔になっていた。
■(40歳・女性・パート)
慣れた手つきでササッと給油する女性にマイクを向けた。これからどこへ行くのですか?
「旦那さんが交通事故に遭って、高次脳機能障害という障害が残っていて。同じ境遇の妻たちがネット上でやりとりしているんですけど、家族会(オフ会?)があるので、これからそこへ向かいます」。
後部座席の窓が開き、その旦那さんがひょっこりと顔を出した。
「他人との・・・コミュニケーションが・・・どうも・・・苦手で・・・・」。
横にはまだ小さな娘さんが座っていた。
見た目には障害が分からない高次脳機能障害。以前のように働くことができないので、奥さんがパートに出て家計を支えている。
「3日間ぐらいは本当に死んじゃうかも?! (と思うほど)だったので。その時はもうダメかもしれないと思いましたけど、とりあえず生きてるってわかったので(良かった)。大丈夫です」。
■(45歳・女性・契約社員)
日曜日、朝8時。これから娘の部活の試合の応援に行くという。娘が3人おり、試合に出ようが出まいが応援に駆け付けることで「自分はあなた(娘)たちをちゃんと見ているんだぞ!」とアピールを続けている。
子供の部活の応援は、まぁ、よくあることと思って見ていたが、その後に旦那さんは? と聞くと、一転して、この女性が置かれた複雑な家庭事情が露わになった。
「私ひとり身なので」。聞けば、一人娘が2歳の時に離婚。その直後、さらに思いもよらぬ出来事が相次いだという。
「私が離婚して、暫くして実姉が離婚して。姉妹揃って離婚しちゃって。ハハハ(笑)。その後に実姉が心の病気になってしまって、私そのことに気づかなくて・・・、(義姉は)亡くなっちゃいましたね、自分で」。
実姉は2人の子供を残して他界し、彼女は働きながら、自分の子供と合わせ3人の娘を育ててきた。いま、その娘たちは思春期を迎えて、親として接することが難しい時期になってきた。
「だから、(せめて)母親として、ちゃんといるんだよ、ちゃんと見ているよっていうのをアピールしないとっ!」。