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テーマ:好きなクラシック(2299)
カテゴリ:クラシック大好き
アルバンベルク、行ってきました。
実はホールを出てちょっとしてから患者さんの急変で呼び出されたもので、今頃になっての感想です。 当日、一人でこっそり行ったら入り口でなんと知り合いのオンパレードだった…。 みんな考えることは一緒なのね。 それにしても、一人で来てたのは私だけというなんだかとっても寂しい。 こんなことなら、誰かに声をかけて一緒に行けばよかった。 さてさて、実は一人だけA席。 というか、チケット買ったのがかなりギリギリだったのでA席しか残ってなかったともいう。 せっかくなので特等席で見ちゃいました。 お気に入りのG列。 ここ、舞台と同じ高さなので演奏家との一体感がより味わえるような気がします。 最初はハイドンの弦楽四重奏曲88番。 ファーストのビヒラーさんが矍鑠と奏でるメロディーは、ちょっとウィーンの香りがしました。 あー、アルバンベルクだー。 というのが感想。 バランスが完璧。 間合いが完璧。 一切の迷いがない。 だから、まっすぐに伝わってくる。 それがアルバンベルクたる所以でしょうか。 二曲目、ベルクの弦楽四重奏曲 すいません、実はちょっとうっとりしすぎてうとうとしちゃいました。 ABQを聴きに行かなければ、きっと実演で聴くことはない曲だけにちゃんと聴いとけばよかった、とは思うのですが。 おぼろけな記憶では、駒の向こう側を弾いてるのか、なんかちょっと鼻をつまんだような音というか、ヘリウム吸ったような音がしておもしろかったです。 うん、結構よかった気がする。 休憩時間、これではいけないと思い、コーヒーを飲む。 これ、基本ですね。 ただ、気をつけないとアンコールあたりでトイレに行きたくなってしまうというオチあり。 今回は大丈夫でした。ほっ。 って、何の話やねん! そして、さらに知り合いに遭遇。 ますます寂しい独り身。 気を取り直して、3曲目。 ベートーベンの弦楽四重奏曲第15番。 私がコーヒーで目覚めたからか、彼らがのってきたからか、明らかに3曲目はちょっと気合が違ってたような・・・。 ベートーベンが作曲の途中で寝込んでしまい、復活した後に第3楽章を挿入したこの曲。 その第3楽章は病気回復の願いをこめ、「リディア旋法による、病癒えし者の神に対する聖なる感謝の歌」と記されている。 その名の通り、荘厳なハーモニーで始まる主題は、リディア旋法というある種浮世離れした宗教的な旋律で歌われる。 でも、神妙な顔をしながらも、病気が治ったよーんと言いたくて仕方がないようなウキウキ感。 第二主題はニッコニコで、無邪気なまでに明るい。 聴いてて、 「病気が治ってほんとによかったね」 とこっちまで幸せになってしまう。 仕事柄、毎日ガンと闘ってる人と接してると、時々悩むことがある。 どうしたって、まだ経験もないひよっこだし、自分がガンにかかってるわけではないので(たぶん)、患者さんの痛みが本当にわかるわけではない。 わかろうと思うことは大切だけど、医者がそれだけだったら意味がない、ということはわかっていても。 「どうせ私の痛みを先生はわからないでしょ」と言われて、言葉に詰まってしまう時だってある。 そんな時、この曲を聴いてなんとなくじーんときてしまった。 自分のものすごくちっちゃい経験から言って、突然おなかが痛くてたまらなくなった時、思わず 「ああ、神様助けて!」 と、天に祈ったことはありませんか? 私はあります。わりと。 で、祈りが通じたのか自然経過なのか、腹痛がウソみたいに消えた時、 「あぁ、健康ってなんてすばらしいのかしら!これからはいい子になります」 って、思ってしまう。(そのときだけ) 言ってみれば、その時の気持ちがまるまる現れた曲。 ものすごくストレートに共感できてしまう。 なんだか、不覚にも涙が出てきてしまいました。 私は、日々こんな瞬間が見たくて仕事してるんだって。 コンサートで涙が出たのは(あくびしすぎた時を除くと)初めてでした。 アルバンベルクの最終公演というのもあって、過去にコンサートに来た時の思い出とかが走馬灯のように蘇ってしまったのでありました。 なんか、脈絡ないですけど。 とにかく、健康ってすばらしいっ! そして、音楽もすばらしいっ! 青い空のように一点の曇りもなく、晴れ晴れとした気分になったのでした。 アンコール後、何度も何度もカーテンコール。 ピヒラーさんとちょっと目が合ったような気がして、またもやじーんときました。 いっぱいいっぱい感動して、すがすがしい気分でホールの外に出て、さてこれからみんなでお茶しにいこうって鳴った時。 ふと見ると、病院からの着信が・・・。 がーんがーん。 っていうか、何? 急変? 一瞬にしてパニック状態。 そんなわけで、現在に至る。。。 ちなみに、まさに私が3楽章を聴いていたその時、患者さんが急変していたのでありました。 って、あかんやん! でも、なんとか現在は回復され、ほっと胸をなでおろした次第であります。 おしまい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんにちは。
彼らの解散演奏会を聴けたなんて、貴重な体験でしたね。羨ましいです! >ヘリウム吸ったような音がしておもしろかったです。 上手い! 笑ってしまいました。 ベートーベンの後期カルテットって、あまりに重すぎてなかなか家で聴く気にはならない僕ではありますが、ナマで聴くのはやっぱり最高っす。 また次回の演奏会の感想を楽しみにしております。 (2008年06月10日 19時15分25秒)
ピカルディの三度THさん
こんにちは。 カキコありがとうです。 確かに、貴重な体験でした。 でも、もう彼らの演奏が聴けないと思うととても寂しいです。 ベトベンの後期のカルテットってほんとにおもーい世界観ですね。 私もここで聴かなければ、しばらく聴いてなかったかも。 実演、さいこー! 次回もなんかいいのがあれば行きたいです。 ただ、コンサートホールって圏外のことが多いので、2,3時間電話がつながらないって職業上つらいかも。。。 だいたいそういう時に限って誰かが急変したりするんですよね。。。 またぼちぼち楽しみます。 (2008年06月10日 20時36分32秒)
患者さんの急変、大変でしたね。
医師だって、プライベートはある、というものの、自分が休養してるすきに患者さんが急変したりすると、何となく後悔というか、申し訳ない気持ちになったりもします。でも、24時間戦闘態勢なんてことはありえないわけですから、職場のみんなで支え合って、頑張ってくださいね。(^0^) (2008年06月11日 23時15分11秒)
泡盛マイスターさん
励ましのお言葉ありがとうございます。 確かに、この職業ってこういう時に大変だなって思います。 でも若いうちは忙しくてナンボなのかな…。 何事も経験!、と思わなくては・・・(汗) ガンバリマス。 (2008年06月13日 16時53分37秒)
アナカプリの丘さん、こんにちは。
そうです! 若いうちは「死にものぐるいで頑張る」くらいがちょうどいいかもです。そのときは、先も見えないし、ただ辛いだけですけどね。 沖縄の研修医制度で、週40時間以上働かせないっていう規則があるんですが、そんなの問題外だと思います! (2008年06月14日 10時06分30秒)
泡盛マイスターさん
>そうです! 若いうちは「死にものぐるいで頑張る」くらいがちょうどいいかもです。そのときは、先も見えないし、ただ辛いだけですけどね。 確かに、たまに激しく落ち込んだりもしてますが・・・。 なにかやりがいを見つけられるかどうかなんでしょぅね。 自分がやりたい道に進んでいるので、もうそれを全うするしかないな、と思い切れるか。 うーん、なかなか重いテーマになってきました。 考えても仕方ないので、動いてます。 >沖縄の研修医制度で、週40時間以上働かせないっていう規則があるんですが、そんなの問題外だと思います! そうなんですか!? ていうかそれって、医者の世界で成り立つのかな・・・。 でもいずれにしても上の先生たちから見れば私たち昨今の研修医たちって、ちょっとぬるま湯なのかもですね。 さすがに、週40時間ってことはなかったですが・・・。 (2008年06月15日 00時47分02秒) |