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みなさん、こんにちは。 えーとまず、冒頭に挙げていらしゃるグラフを見ますと、なるほど「高齢ドライバーの事故は20代より少ない」ということに間違いありません。でもこれ「件数」ですから、リスク率で比較するには、分母を統一しなければなりません。それを検証したのが、2番目に出てくるグラフです。これを見ても、高齢ドライバーが突出して多いわけではないということがわかります。 で、次に見ていただきたいのが、4番目のグラフです。対象を「事故」ではなく「死亡事故」に絞ったものですが、こうすると80代以上の事故率が、16〜19歳のそれと同水準まで跳ね上がって来ます。
え、それでいいの(^^;? 事故件数では下位にいた80代が、死亡事故になると跳ね上がってくるという事実から読み取るべきなのは、「高齢者の事故は重大化しやすい」ということではないんでしょうか? でも僕が問題にしたいのは、そこじゃありません。16歳〜19歳のデータから、2輪車しか乗れない16〜17歳の数字を抜いたらどうなるのか? ということです(全体の統計は「原付以上」なので、18歳〜19歳に限定しても、それ以上の年齢でも「原付や2輪の事故も含まれる」という点では同じです)。 16歳〜19歳の免許取得者数は、約58万1千人です。うち、原付か2輪しか乗れないはずの16歳〜17歳の人数は、約7万3千5百人と、全体の12.6%です。ということは、この人たちは、2輪車特有の死亡事故リスクを上乗せしていることになりますね。それは原付で1.7倍、自動2輪で7倍ということですが、正確な配分比率は良くわかりませんので、当てずっぽうで「3倍」として計算してみましょう(統計年によって数字が動くので、絶対的な精度は期待できませんが、大きく外してはいないと思います)。計算は省きますが、16歳〜19歳では14.7人だった10万人あたりの死亡事故件数は、18歳〜19歳に絞れば約9.1となり、80〜84歳を下回る結果になります。棒グラフ上にプロットしても、年齢の推移に対するトレンドに対して、あまり違和感のない位置になりますよね。 これはかなり大雑把な試算ですから「これが正しい」なんていうつもりはありません。でも、2輪の事故であることが間違いない16〜17歳のリスクを除外しないと、正しい比較にはならない、ということは、間違いなく言えると思います。 それからもうひとつ、重要欠くべからざる視点があります。すでに触れておりますが、これは単独事故も含めた統計なんです。すなわち、バイクで暴走して自爆してひとりが亡くなっても「1件」、アクセルとブレーキを踏み間違えて10人跳ね飛ばし、3人が亡くなっても「1件」。被害者の数とか事故の重大性とかは、まったく考慮に入っていないんです。しかも、前者は一部の人が大好きな「自己責任」ですが、後者は遺族にとっては「殺人」と同じです。これ、同じ「1件」として扱ってもいいのでしょうか? さらに言えば、分母は「免許人口10万人あたり」ではなく、「走行1kmあたり(または1時間あたり)」にしないと、現実的なリスクは現れて来ません(飛行機なんか「時間あたり」ですよね)。「免許人口あたり」では、年間1万km乗って1件の事故を起こす人も、2000kmぐらいしか乗らないのに1件の事故を起こす人も「ひとりあたり1件/1年」です。しかし、運転機会という要素を入れれば、後者は5倍のリスクがあることになりますよね。 というわけで、「データは単に数値を見るだけでなく、その背景に潜むものまできちんと考察しないと、真実に近づくことはできない」、というお話でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 20, 2016 07:26:07 PM
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