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Motor & Outdoor Journalist 安藤眞の         逆説的よろず考現学

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Feb 20, 2017
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みなさん、こんにちは。

 先週の水曜日、スズキの新型ワゴンRの試乗会に行ってきました。試乗会は先週ずっとやっていたのですが、水曜だけ試乗枠が妙に空いていると思ったら、同時刻にプリウスPHVの発表会があって、そこに石原さとみさんが来るというので、みんなそっちを優先したらしいんですよね(^_^;)。スズキも広瀬すずちゃんを呼んでおけば……って、試乗会にCMキャラが来ることは基本的には無いんですけど。

 それはともかく、試乗の感想を。今回の目玉は、S-エネチャージのモーターアシスト機能を強化して、正式に「ハイブリッド」を名乗り始めたシステムです。技術の詳細については、三栄書房から「新型ワゴンRのすべて」が間も無く出ますので、そちらを参照いただくとして、ここでは純粋に試乗の感想を。

 ハイブリッドシステムの振る舞いとしては、クリープ走行(アクセルをまったく踏まない超低速走行)時に最大10秒間、モーターのみでの走行を可能にしたことと、モーターアシストの上限速度を約60km/hから100km/hまで引き上げたことが大きな違いで、あとはだいたいS-エネチャージと同じです。クリープ走行できるようにした狙いは、アイドルストップ作動中にノロノロ動いた際に、いちいちエンジンをかけるのをやめたかった、ということだそうです。

 まず、1台目のFZグレード。外気温8℃で冷機状態からのスタートで、エアコンは24℃に設定しました。コースは会場の味の素スタジアム(調布)から甲州街道を東進し、途中で右折して稲城市街に入り、稲城大橋を渡って戻って来る約16kmです。多摩地区に住んでいる人が、買い物や通勤で走るのとほぼ同じ感じですね。

 エンジンスタートボタンを押すと、普通のクルマと同じようにエンジンがかかります。プリウスなんかは、冷機状態でもエンジンはかからずにモーターで発進できるのですが、ワゴンRではそれはできないようです。でも、500mぐらい走った段階で、クリープ発進はできるようになりました。

 で、そのクリープ走行中なのですが、駆動ベルトの摩擦ノイズが聞こえます(^_^;)。音量は大したことはないのですが、音質的には、いわゆる「ベルト鳴き」と同じキュルキュル音です。それから、モーターの放射音でしょうか、音程の高いドラのような「クワァーン」という音がします。さらには、モーターの位置の都合上、モーター走行中にもエンジンは引き摺り回されますので、モーター発進した瞬間に、エンジンがかかったようなブルっという振動があり、モーターだけで走っているかどうかは、ベルト鳴きとモーターノイズで判断しないと、気づかない感じですね。

 クリープ走行から少しでもアクセルを踏めば、ただちにエンジンが始動します。すでに回転しているエンジンに燃料を噴射するだけですから、音も振動もほとんどしません。ここはうまくできていると思います。

 加速時には頻繁にモーターアシストが行われていることは、メーターのグラフィックスを見るとわかります。加速のアシスト中は、ベルトの鳴きやモーターの放射音も気になりません。

 スズキの話では、「アシストした分、エンジン負荷を下げて燃費を取りに行っているので、加速性能の上乗せはしていない」ということなのですが、エンジンの低速トルクがしっかりしていることと、クルマが軽いこともあって、「ほんとはモーターでトルクを上乗せしているんじゃない?」と思うくらい、低回転のまましっかりと加速します。流れに乗った市街地走行レベルなら、エンジン回転数は3,300rpmぐらいまでしか回りません。

 50km/hぐらいで平地を巡行する際には、もう少し制御の練り込みが必要かなと感じました。惰性走行するためにアクセルペダルから足を放すと、弱いとはいえ回生ブレーキが働き、そこからアクセルを踏むとモーターアシストに切り替わるので、微小ながらショックが感じられます。惰性走行で燃費を稼ぎにいくのか、少しでも回生を取りに行くのか難しいところではありますが、このへんはまだ、スムーズにできる余地があるんじゃないかと思います。

 それから、減速する際。アクセルペダルから足を放して徐々に減速していき、そのままアイドルストップ〜モータークリープ走行に入ろうとした時に、速度で20km/hぐらい、エンジン回転数で1,500rpmぐらいまで落ちたところで、ふたたびエンジン回転が2,000rpmぐらいまで上がって加速するということがありました。ちょうど、エアコンのアイドルアップが効いたような感じですが、こちらは減速するつもりでいますから、途中から加速されて、ちょっとドキッとしました。慌ててブレーキを踏みましたけど、間違ってアクセル踏んじゃったら、えらいことになります。ただし毎回必ずではないので、別の何かと協調しきれていないのかも知れません。

 減速中の回生ブレーキは、速度が落ちると徐々に強まっていきます。これは回生量を一定にしており、速度が落ちるとCVTが加速に備えてローレシオに振って行くからとのことですが、最初の減速感から停止位置を予測してアクセルオフすると、思ったより手前で止まりそうになり、アクセルを踏み直すことがありました。あ、そこでクリープ走行すりゃいいのか(違)。慣れれば問題ないのかもしれませんが、このへんもまだ洗練の余地があるんじゃないでしょうか。

 ハイブリッドシステムの振る舞いについては、おおむねこんな感じです。細かく注文はつけましたが、新システムの一発目ですから、まあよくできていると言っておきましょう。

 それ以外のクルマとしての性能ですが、ワゴンRの進化版として、良くできていると思いました。

 振動騒音性能はほどほどに良いですし、乗り心地もそこそこ減衰感はあるものの、基本的にはコンフォート寄りで、工事で荒れた路面の通過も「まあ上出来じゃない?」という感じでした。

 一方で、操縦性能的には、特別優れているところはありません。ただし、市街地走行の範囲では、過敏感やルーズ感もまったくなく、「普通に運転しやすい」という感じ。ステアリングのギヤ比が、切り込むほどスローになるバリアブルレシオなので、コンパクトに左折しようとすると、切り増しがどんどん大変になるという欠点はありますが、それを除けば、実用車としては及第点でしょう。

 「相変わらずやなぁ」と思ったのが、ステアリングのセンター付近でのフリクション感です。アルトのときからそうなのですが、40〜50km/hぐらいで巡行しながら微小な舵角を入れるようなシーンで、ステアリングの回りだしが引っかかる感じがするんですよね。「フリクションを落とす努力はしているんですが」ということでしたが、まだ足りない感じ。軽だからお金はあまりかけられないでしょうが、ストラットアッパーのベアリングとか、ロワボールジョイントとか(あるいはステアリング系?)、もう少し改善する余地はあるのかもしれません。

 電動パワステの制御で直進性を高めたいという思惑も、少しあるようでした。「もう少しキャスター角を大きくして、クルマ側で真っ直ぐ走るようにしたらどうですか?」と言ったら「あの辺は土地代が高いんですよ」と言っていましたから、シャシー担当としては、本当はそうしたい気持ちがあるのでしょう。ちなみに「土地代が高い」とは、他の部品との場所の奪い合いが激しいという意味のエンジニア用語です。

 キャスター角を増やすには、ロワボールジョイントを前に出すか、ストラットアッパーを後ろに引くかのどちらかになりますが、下の位置は転舵した時の他部品の干渉が関わってきますし、上の位置はすぐ後ろにダッシュパネルがありますから、数mm動かすのも大変なんですよね。でも、ある程度スピードが出てからの直進性は、キャスター角よりトレール量で決まりますから、いっそナッハラウフを検討してもいいのかもしれません。

 余談になりますが、僕は新人エンジニア時代、ナッハラウフのジオメトリーを自分で考え出したことがあります。「ナックルは新作していいから、ほかの部品は流用で作れ」と言われてレイアウトの検討を始めたのですが、それではどう考えてもキャスター角が足りず、図面とにらめっこをしていたら、「増やしたいのはトレールだし、キングピン軸とアクスルはズレてても成立するし、アクスルの位置だけ下げちゃえばいいんじゃん!」と閃きました。調べてみると、昔からある理論だったのですが、自力でそこに到達できたことに、ちょっと誇りを感じたりしました(笑)。

 余談はさておき、FZグレードの燃費は21.9km/Lでした。カタログ燃費のカバー率は約66%ですが、稲城でそこそこ渋滞し、稲城大橋では上り坂の加速性能なども試しましたから、まあリーズナブルな数値ではないかと思います。

 続いてスティングレーのターボ車に乗り換え。出発時の気温が11℃に上がったのを除けば、条件はほぼ同じです。ターボ車はタイヤが55扁平になりますので、振動騒音と段差のショックが少し強くなります。操舵応答性は少し良くなりますが、それでも「走りを楽しむ」というレベルではないので、55タイヤはオプションでも良かったんじゃないかと思いますが^^;。

 動力性能的には、過給がかかるとさすがに力強さを感じますが、発進のひと押しは、むしろNAのほうが良い感じで、60km/hぐらいまでなら、特にターボの必要性は感じませんでした。ただし稲城大橋の上り坂加速なんかは、圧倒的にターボの方が楽ですが。

 燃費は同じコースを走って21.0km/lと優秀でした。カタログ燃費のカバー率は74%弱に達しています。FZのときより渋滞が少なかったとはいえ、丁寧なアクセル操作ができるなら、ターボだからといって必ずしも燃費が悪いというわけではありません。

 最後に、標準車のFXグレードに乗り換えました。FZとの違いは、前後スタビライザーが省かれて、ホイールがアルミからスチールに変わったというところです。

 前後スタビライザーがないので、操安性はさぞかし……と思ったのですが、これが意外とそうでもなくて、市街地を普通に走る分にはほとんど差はありませんでした。むしろ乗り心地が良くなったことを感じるくらい。さすがに稲城大橋を渡りきったところのS字なんかは、スタビ付きよりロールは大きいし、切り返した際に保舵力が抜けている時間が長く感じられたりしましたが、通勤路にスピードの載るカーブが多いとかでもなければ、FXの足でも不満を感じることはないんじゃないでしょうか。そもそも走りを楽しむクルマではないですからね。

 最後に燃費ですが、こちらは23.9km/Lを記録。最後の1mで0.1落ちちゃったのが残念でした(クリープで走っときゃ良かったか?)。これもFZのときより渋滞は少なく、条件は良かったのですが、カタログ燃費の72%走りましたので、まず合格と言えるのではないでしょうか。

 ワゴンRも92年の登場から5代を数え、優れた実用車として定着すると同時に、どこか白物家電的になってきた感がありましたが(特に標準車)、6代目は標準車のデザインイメージが若々しくなり、IKEAの家具的なチープシック感が出てきて、なかなかうまいことフルモデルチェンジできたのではないかと思います。






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Last updated  Feb 20, 2017 02:19:13 PM
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