みなさん、こんにちは。
表記の件、なんとも珍しい事故が起こってしまいました(子どもさんが亡くなっているのに「珍しい」という興味本位のような表現をするのは抵抗がありますが、ほかに良い言い方が思いつかないので、申し訳ありませんが今回はこれを使います)。
詳細はこのサイトに図解入りで書いてありますが、要は室内側からラゲッジ下のサブトランクのものを取ろうとして、逆さまに落ちてしまい、蓋が邪魔になって身動きが取れなくなった、ということのようです。ちなみに車種はダイハツのウェイクのようですが、最近の軽自動車のほとんどが、こうしたサブトランクを備えていますから、そういうクルマなら、同じ事故が起きる可能性はあります。
さて、多くの方が最初に疑問に思うだろうことは、「走行中でもないのに、なぜバックドアを開けずにわざわざ車内からアクセスしようとしたのか?」ということです。これは報道によると、「クルマが壁際にバックで止められていたから」ということのようです。バックドアを開けられるだけのスペースが、後ろになかったということですね。
それじゃあクルマが壁際になかったら、この事故は起こらなかったのか? というと、恐らく起きていたと思います。というのも、このタイプのクルマのバックドアは、開けてしまうと小さい子どもでは閉められないくらいに高く開いてしまうんですね。どのくらいの高さかというと、たいてのモデルは僕の頭が当たるぐらいなので、だいたい180cmと思って間違いありません。そうなると、身長は140cmぐらいないと、背伸びしても届かないことになります。そのことを知っている子どもなら、バックドアを開けずに室内側から荷物を取ろうと思うはずです。そうなると潜在的な危険性は、想像より高いのかもしれません。
ただ、同じような行動をしたとしても、逆さまに落ちることはそこそこの確率で起きるにせよ、蓋を開いた状態で、ボールがクサビのようにはまり込んでしまう確率となると、非常に低いと見て間違いないでしょう。
そうなると議論は、「今後、何か対策をする必要はないのかどうか」というところになってくると思います。もちろん、対策はするに越したことはありません。しかし軽自動車の場合、コストに非常にシビアです。こういう蓋を開けるための「3cmの紐をつけるかどうか」で侃侃諤諤やりあうレベルですから、新たな付加物は付けずに対策するのが理想です。
機能的に最も良いのは、「バックドアを開けなければ、サブトランクの蓋が開けられない」という構造にすることです。バックドアの内張りをせり出させておいて、バックドアを閉めた時に、サブトランクの蓋の取っ手(ウェイクの場合、単なる切り欠き)が隠れてしまうようにすれば良い。これならば、余分な構造物や付加物はいりませんから、最初に金型さえ作ってしまえば、コストの上昇を招くことはないはずです。ただし形状によっては、ラゲッジスペースの使い勝手に影響が出るかもしれません(バックドアを閉めた時に、せり出し部に荷物が当たるとか)。
すでに販売されてしまっているクルマについては、後付けのパーツで対応することも考えられます。家具の耐震転倒防止器具のようなものをバックドアに両面テープで貼り付け、先端がラゲッジ側に出っ張って、サブトランクの蓋を開けようとしても、そこに引っかかって開かないようにしてしまえば、機能は達成できます。あ、フロアボード側から突起かロッドを出して、バックドアの内張りに穴を開けて嵌るようにしてもいいのか。
汎用性のあるものを作るのは難しいかもしれませんが、カー用品メーカーの方には、ぜひ検討していただきたいところです。