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カテゴリ:カウンセリング~実習・仕事~
毎週水曜日は、研修先でのトレーニングがあります。
そのうち一時間は、毎週、トピックは違いますが、関係対象論(ウィニコット)愛着理論(ボルビー)そして、精神分析学(フロイト)などの、女性と子供への臨床アプローチについて勉強しています。 本題に入る前に、日記を読んでいるみなさんに、エクササイズがあります。興味があって、時間のある方は、ちょっと、読むのをやめて、小さい時の自分を思い出してみてください。 その頃のお母さん、叉は、一番身近にいて育ててくれた人をは、どのような人でしたか? どのようなイメージが浮かびましたか? これは、私達が今日行ったエクササイズです。解説は後程・・ 今日は、フロイトの精神分析学アプローチとボルビーの愛着理論のアプローチについて、勉強しました。 フロイトもボルビーも”不安”というものは、外側と内側で経験され認知されたことにもとずくもだという見方をしています。 外側と内側というのは、外で起こった出来事。内側というのは、外で起こった出来事に対して心の中で感じた事です。 例えば、いじめを経験したとします。外側の出来事というのは、友達に、無視された事。そして、それを本人がどう感じたかが内側の出来事です。 精神分析学アプローチでは、この内側、叉は無意識の領域に焦点をあて、防衛機制や、パターンを通して、無意識を意識化させます。 愛着理論では、精神分析学とは反対の外側の事(他者との関係性)に注目します。過去に起こった外側の出来事、意識化されている事実と、現在の関係性で起こっている事のつながりを見つけ、その人のパターンを明らかにしてゆくというものです。 そこで、先程の、幼少の頃のお母さん(叉は身近で育ててくれた人)のイメージというのは、多かれ、少なかれ、現在の関係性の中でも影響を与えていたりもします。もちろん、お母さんだけでなく、お父さん、そして、影響力のあった身近な他人(先生など)や兄弟etc...様々な関係性においての、その人のイメージを、私達は、心の中に刻んでいます。 もちろん、このイメージは、誰しも、楽しかったり、嬉しかったり、悲しかったり、怒っていたりなど、ポジティブもネガティブも両方含んでいるものです。ただ、このイメージのバランスは重要かもしれません。ネガティブなものが多かったり、そっちの方がインパクトがあり、ポジティブな体験の印象が薄かったりすると、いわゆる私達の人生の中で辛い経験となって、後にも出現してくる可能性があります。 なので、セラピストとクライアントという関係性も、その内在化されるイメージとして、大切な関係性でもあります。特に、虐待をする人が周りにいて育ち、トラウマ体験のもつクライアントの場合、セラピストが、新しい内在化のモデル(非虐待モデル/ポジティブな体験)になるので、重要だといえるでしょう。 私達が、小さい時に内在化した親のイメージなどは、現在の関係性の中に多かれ少なかれあらわれるとお話ししましたが、ではどういった形で現在に現れているのでしょうか。 それは、投影だったり、投影性同一視といった形で、現在の人生の中に現れます。 例えば、Aさんの、小さい時のお母さんのイメージが”怒っている人”だったとします。小さいとき、Aさんに対して、イライラとしがちだったようです。それを内在化したAさんは、自分の中にある怒りや、そこからくるイライラに対して、お母さん=怒るといったような恐れのイメージから、それらを抑圧するようになり、どのように表現したらよいのか分からないままきてしまいました。 そんなAさんは、「あの人、もしかして私の事を怒っているんじゃないかな・・私に対してイライラしている・・」というように、事実が分からない段階で疑心暗鬼になり、相手が怒っていると思いこみます。 これは、実際には、Aさん自身が、その人に対して怒っていたり、イライラしていたりします。しかし、それを感じる事ができないので、相手に、それを投影しています。 そして、投影されたBさんは、実際に、Aさんが投影したそのままを実演し、Aさんに対してイライラとし始めました。それが、投影法同一視といいすが、相手を通して、Aさんは、再度、人生の中で、人に怒られるという経験をすることになります。そして、それは相手がBさんでなくCさんになっても、再度くりかえし起こる事もあります。パートナーが違うのに、似たような事、問題が、再度起こる場合は、過去からのイメージなどが中心となって、その関係性を作っている可能性が高かったりします。 このように、人は、時に、過去の経験、内在化されたイメージなどをもとに、自分達の人生を作りあげていたりもします。そういう意味で、現実は、じつはとても曖昧な事実だったりもします。(自分のイメージが作り上げている幻想。とても曖昧なもの。逆をいうと、曖昧なだけに、人生を変える事ができる可能性も高いという事です) 上の例のように、Aさんが投影したものを実際に演じるBさん、実は、お互いに自分の中に持っているイメージを持ち続ける為に(持ち続けるという必要を満たす為に)、強い絆で繋がれ、疲れながらも関係性を維持していく場合もあります。それが、共依存関係に通じるものなのでしょう。 そう、上の例の関係性の場合、二つの個があるというよりは、二人で一つの個といった繋がりがあるように思えます。 Aさんは、自分の中にある、相手に対する怒り・イライラを抑圧し表現できません。それをBさんに投影し、Bさんが、それを演じる事で、Aさんは、怒り・イライラを見る事ができます。そして、Bさんの方はというと、自分の中の弱さを見ることができず、抑圧しています。なので、怒ったBさんに反応するAさんを通して、弱さを見る事ができるようになります。ここで、大きな事は、Aさんも、Bさんも、自分の中にあるものなのに、”相手にある”というように認知している事でしょう。そして、”相手の中にある感情”と認知することによって自分自身を維持しているようにも思えます。 実際、人というのは、様々な側面をもっているものです。しかし、上の例の場合は、個が半分のような感じで、そのもう片方の自分を相手の中に見る事によって、実際には、二人なのに、あたかも二人で一人の人間のような機能をしています。 そんなわけで、カウンセリングでは、愛着理論からわかる、関係性などからの影響、そして、精神分析学からの視点での防衛機制限やパターンなど・・それらを見て明らかにしていきます。それをDepth Psychologyと言うようですが、カウンセラーは、それらを、一緒にクライアントと見つめながら、クライアントが新しい道へ進む事へのお手伝いをします。 (注:もちろん、上の理論・テクニック以外でも、クライアントとの信頼関係を築くために、ロジャース的なアプローチも重要になりますし、一つのアプローチに限定せずに、時と場合、クライアントの状態によっても、こちら側も柔軟的に対応することが望まれます。現在、私はPTSDに焦点をあてているのと、スーパーバイザーが対象関係論/愛着理論/精神分析学をベースにしているのもあり、研修先では、それらを中心に学んでいます) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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