懐剣
今朝、NHK FMで「中島みゆきベストヒット&トーク」というみゆきさんの特集番組がありました。 70年代、80年代、90年代、2000年代…すべての時代に世に残るヒット曲を発表してきたみゆきさんの軌跡とニューアルバム「I Love You,答えてくれ」の紹介、そして番組後半にはみゆきさんご自身が出演という内容でした。 始めから聞くつもりだったのですが、少し寝過ごし、ワタクシがラジオをつけた時には「世情」が流れていました。 朝っぱらから「シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく…」と共に歌ってしまう自分は凄いと感心しました。 「ラジオ深夜便」の葛西アナの進行は、みゆきさんのファンということで、思い入れが強いせいか、カミまくりで、あろうことか、ニューアルバムのタイトルを「I Love You,教えてくれ」と間違えてしまうなどツッコミどころ満載! みゆきさんも「ラジオ深夜便」をツアー先のホテルや移動中に聞いて、ひととき「正気」に戻るのだそうです。 久々にラジオで語るみゆきさんの声を聞けて嬉しかったのですが、喋っているのはおふたかたとも深夜番組のイメージがあるので(ワタクシは深夜便は聞いたことがありませんが・・・)明るいうちに聞くのは新鮮だったかも・・・ 今日、一番印象に残ったのは、「懐剣」のお話。アルバムのジャケット写真で左手に握っているモノがありまして、それが「懐剣」なのだと今日知りました。 歌詞カードの中の写真にも何枚か写っていて、ワタクシは、「花嫁衣装を着る時に帯に挟むアレだよなぁ…なぜこの衣装に?」と思っていたのですが、謎が解けました。 「懐剣」は武家の女性が護身用に持つものです。貞操が汚されそうになったら、この懐剣で自害し、夫の重荷にならないようにするというのが、当時の武士の妻の心得・・・お嫁にいく時に持たされたので、懐剣を帯に挟むのですね。 この懐剣を用いた理由は、みゆきさん曰く「懐剣の役目は最終的に、最終的にそれはね、自害のためのものだと私は思っています。自分を護ることもあるでしょうし、自分が関わる世界に対して責任をとるということと、相手と自分との関わりをはっきりさせるということ・・・そういうものを持ってますっていうことの言い切りということです。それを持って人に跳びかかるっていうのは目的ではないですね」(←大体合っていると思います)ということで、何かを返してほしくて愛を贈るわけではない。「I Love You」という想いに対して何をしてくれなくてもいい、「受け取ったと答えてほしいだけ」なのだが、「I Love You」という言葉には命が懸かっているということなのですねぇ・・・深い! 間違っても「I Love You」と言っているのだから、こちらにも「I Love You」と答えてくれという意味ではないのです。 みゆきさんが、デビューして暫くの間、ギターケースの中に小さな刀を入れていたのを見たという話を思い出しました。音楽業界(みゆきさんは、お水の世界とおっしゃっていました!)で生きていく覚悟の表れだったのではないかと目撃した人が語っていた記事を読んだ憶えがあります。 それは、つまり、命懸けで自分の言葉に責任を持つということだったのではないかと…だからこそ、みゆきさんの言葉は魂を揺さぶるものが多いのでは?命を懸けて言葉を発しているわけですね。いろいろな思いが交錯し、とても凄いことだと感動・・・改めて尊敬の念を強く抱きました。 今回のアルバムと前作の「ララバイSINGER」は2枚セットのつもりで作成したそうです。ならば…と番組終了後2枚を通して何度か聴き直し、気づいたら夕方近くになっておりました。 3連休の最終日、お天気も雨模様…のんびりと過ごせました。 追伸: ワタクシは、失恋の痛手から立ち直るためとか、色恋沙汰のためにみゆきさんの歌を聴いたことはありません。(←ある意味寂しいな・・・) 自分と向き合うために、自分の人生に立ち向かうために、自分を取り巻く世間(会社とか組織とか頭が悪い上司とか・・・)に負けたくない時、つまり、多くは何かと闘う前に、自分を奮いたたせるために聴くことが多いです。 そういった意味で、「I Love You,答えてくれ」は凄い1枚だと思うのです。