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カテゴリ:日記っぽい?
絶滅したと思われていたクニマスが60年ぶりに発見されてニュースになっていますね。
もともと田沢湖にいた固有種であったクニマスが「絶滅」したことは、ニュースの一部で流れていますが、「見つかって良かった!」ばかりがクローズアップされ、なぜ絶滅に至ったのかまで詳しく伝えているところは少ないですよね。 クニマスが絶滅したのは、田沢湖が酸性化したために生き物が住めなくなり、それまで湖に生息していた生物すべてがクニマスと共に全滅しました。 ここまでは、いくつかのニュースで取り上げているところもあります。 ではなぜ酸性化したのか。 1940年、当時の政府は田沢湖を利用した水力発電を決め、水力不足を補うために玉川を田沢湖に引き込みました。 玉川温泉を源泉とする玉川の水はPH1.3の強酸性で(普通の河川はph7.0。phは数字が少なくなるほど酸性が強くなります)塩酸といえもいえるほどの水で、「玉川毒水」とも呼ばれ、魚をはじめ、生き物が住むことができない川でした。 その水を田沢湖に引き込んで薄めて使おうとしたのです。 容量の決まっている場所に、大量の水を流し込み続けたらどうなるか?…そんなことは一目瞭然。 その結果、田沢湖は酸性化していき、ついに生物が生きられない死の湖となってしまいました。 そう、クニマスの絶滅の原因は人間の都合によるもの。 今回の発見に一役かったさかなクンは 「クニマスを二度と滅ぼすことがないように、『自然』『生き物の尊さ』をしっかり考えていきたいです」 とコメントを出していますが、これにはまず、クニマスが人の手によって絶滅してしまった事実を多くの人々が知り、それを受け止めることが必要なのではないでしょうか。 現在、玉川には石灰石を使った「酸性水中和処理施設」が1991年から稼働し、玉川を中和しています。 この事業により、田沢湖のphも徐々に下がりつつあり、湖面ではウグイなどの小魚が生きられるほどになったそう。 けれども、湖底部ではまだまだph4近くあるようです。 この中和に使われるための石灰石は1日40トン! 月や年単位ではないですよ。毎日です。 田沢湖を元に戻して維持するためには、玉川が流入しているかぎり、永遠とこの事業を続けなければなりません。 大量の石灰石、そして事業費。。。 そんな事が可能なのでしょうか? そもそも、自然を人間の都合で変え、それを続けていくことが、果たして正しいことなのでしょうか? 酸性水を中和する処理施設は日本に3箇所あります。 そのうち一つは、以前にも日記で書きましたが、群馬の吾妻川にある草津中和工場。 こちらの中和事業で使われる石灰石は毎日50~60tにもなります。 草津の中和工場の下流には、八ツ場ダムの建設予定地があります。 このダムが完成すれば、ダムの決壊を防ぐために永遠に中和事業を続けていかなければなりません。 人の手によって絶滅したクニマスが再び姿を現したのは、人の手によって自然をねじ曲げようとすることを考え直すように促しているのかもしれませんね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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