カテゴリ:今日の出来事
私はマネージャーを雇っていません。たまにお手伝いに来て貰う方はいますが、基本的にスタッフは自分のみ。
だから必然的に 本業のもの書き の他に 電話やメールを出すかける受け答える、DMの発送、1日3回のご飯つくり、買いだし、掃除洗濯、などもやります。事務所と家庭が混然一体となりなんとか自転車操業しているので仕方ないのですが、はっきり言って夢中で書いたりしているときに宅急便が来たり犬が吐いたり、窓辺に猫がきて干し椎茸を奪っていったり洗濯物がおとなりの芝生にダイブしていたりいきなり義母が訪ねてきたりそこに仕事の電話が入ったり、日によってはなんだかわけがわかりません。 たまに非常に真剣に「秘書にならないか」と犬君に聞くのですが、彼は「僕は顔が毛だらけなので」とか訳の分からない言い逃れをして手伝ってくれないし…。 しかし雑事以上に大変で、「あー代理人が欲しいよ」と思うのが 怒らなきゃいけない時です。 急に締切を早くされる。そちらの手落ちで変更があったのに(たとえば急にキャストが集まらなくて5人芝居を3人芝居にして欲しいと言われたり)締切前から完成を無闇と急がされる。説明もなく書き換えられる。知らないうちに稽古場で悪者にされている…。 胃が痛いじゃすまないことも本当によくあります。 作家は稽古場に張り付かないので、ままあることですが、以前など発注自体が稽古初日の数日前だったのに、稽古初日に台本が無いのは「野宮さんが書けなくて」と説明した演出家さんがいて、後からそれが判明した時はもう怒り心頭でした。発注の遅延という制作の不備を伝えると稽古場の志気が落ちる、という考えだったそうですが、そのためなら外注スタッフを悪者にしておけというのは発想として最低です。多少同情的に考えれば、稽古場に共通の敵がいるとまとまりやすいという計算があったのではないかなあ、とは思いますが。もちろんそのあと冷静に全員にお話しして分かって頂きましたけど、一度失った信頼をとりもどすのはとてもとても困難でした。 またこういうトラブルが、書いている真っ最中に勃発することもあるわけで、そうすると「犬君、君が対応してくれ~」と本気で思います。だって応対すればするほど書けなくなるんですもの…。 それに私は人をあたまごなしに怒ったりは出来ないタイプ。 第一に「自分だってしょっちゅう間違えるし人のコト言えないし。こうなるのに私に非が1%も無いと言い切れるだろうか」と思い 第二に「彼や彼女も大変なんだし」と思い 第三に「芝居という非常時だし」と思い だから、なーんか石にフリースを巻いて投げるような、そんな怒りのつぶてしか投げられないへなちょこでもあります。 また痩せるほどの思いで書いていても、知り合いの作家さんのように「血みどろで、寝ないで書いてる原稿なのよ!!」とは言えないのです。どうしても。それは一種の信仰で私が勝手に思っていることだけど、「読んで分かって貰えないならしようがない」から。読んで「これは大変だ。かなり力を入れて書かれたものだ」と分かって貰えないなら、自分が「大変だったのよ~」と主張することに意味はありません。 だけど、でもね、実は場合によっては自分の苦労も語らないといけないんですよね。臨機応変なんですけど。パワーバランスをとるためにも、こっちも寝ないで書いていることとか、手は動かさなくても考え続けていることとか、伝えないといけないこともある。あまりにも謙虚にしていて卑屈に見えても困る。で、そういう時こそ、かしこい代理の人が登場してくれたらなあ、颯爽と登場してくれたらなあと思うのです。 「野宮はやってます!!」と机を叩いてくれるとかさあ、「ワープロのキーが壊れるほどです」と涙ぐむとかさあ、「血を吐いてます」とか、嘘だけど…できれば筒井道隆似がいいなあ…ちびまる子のように夢想する午後のひとときです。 ※しかしまあ夢は夢として、最近はそれもこれも込みで修行と思ってます。与謝野晶子が「女はわざわざ修行に行かなくてもいい、日々が勤行だから」というニュアンスのことを書いているけど、まさに。あの方と比べるなんて身の程知らずですが、私の日々は私なりの修行なんですにゃ。それにしても筒井道隆さんはなぜか大好きです。「いい青年」役でないもののほうが、真価が出そうなひとですよね。「相棒」の犯人役とか、やってれないかなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 24, 2005 05:16:57 PM
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