テーマ:●食べた物の画像♪(85562)
カテゴリ:食べ物
でもよ、人が大人になるという事は、汚れちまうって事なのさ。おれも、また例外じゃなかったぜ。純粋な夢を持ちながら、その夢を実現させようと努力すればするほど、社会には障害が現れるんだよ。最初に現れたのが、ロッテのVIPチョコレートだった。ロッテ。テーマパークや球団まで持ち、世界を股に駆ける巨大企業だ。そんな巨大企業が金と力にものを言わせて作り上げたVIPチョコレート、おれは松永のしるこサンドという夢を持ちながら、そんな金と力の象徴であるVIPチョコレートに溺れちまった。だっておいしいんだもん。めっちゃおいしいよ、VIPチョコレート。今ないけどなあ。残念だよなあ。ゴデバなんて問題にならん位おいしチョコだったよ。また売らんかなあ。 ま、とにかくおれは、ロッテのチョコに溺れて身も心もボロボロだった。当然だわなあ、チョコばっか食ってたら気持ち悪くもなるよ。そんなおれを救ってくれたのがあられだった。そう、あられ。日本の心の味だよ。甘いチョコを食い過ぎたから、塩味がビビッときたわけさ。そんなあられのなかでも、由緒正しいあられの会社、みの亀あられの薄焼きせんべいが最高においしいもんで、食ってばっかりだった。でも、そのライバル、御菓子処両口屋是清の紅あん千なりもうまいもんで食ってばっかりいた。なんせ、箱入り贈答品のお菓子、まさしく良家のお嬢様だよ。松永のしるこサンド? ああ、あの娘か、昔はちょっと良いかなとも思ったけどよー、田舎のイモ娘じゃん? やっぱお嬢様の方がいいじゃん? 都会に出たおれは田舎で好きだった娘の事などすっかり忘れて、都会の華やかな女たちに貢ぎまくっていたのさ。考えてみりゃ、バカな話だよな。ガラスケースに入ってるだけで、めっちゃ高いし、原価率高いしさ。テナントなら歩率だけでいいけど、自社管理だと結構面倒なんだよね。棚卸ししないかんし。 で、そんな荒れた生活を続けたおれがどうなったかって? そうさ、その通り、経済的に行き詰まったよ。所詮、お嬢様なんて高嶺の花ってことさ。1個ウン百円もするお菓子、そうそう食っていられないんだ。こうして、おれの堕落が始まったんだ。堕落したおれはコンビニに行くしかなかった。そして、毎日セブンイレブンのポテトを食ってすごした。もう夢も希望もなかった。おれはこのまま廃人のような人生を送るのか。ふっ、またそれも良かろう。結局、大人になるってことはそういう事なのさ。 しかし、おれの人生はまだ終わっていなかった。ドン底生活の中で、おれはかつての夢と再会したのさ。そう、松永のしるこサンドだよ。新しくなったしるこサンドは、都会の女のようなスレンダーなボディになって、俺を誘う。なんて美しいんだ、松永のしるこサンド、そして久しぶりに食うとその味は、懐かしい、あの古き良き時代のおれを思い出させてくれた。熱く夢に向かって輝いていたあのころのおれを、思い出させてくれたのさ。ありがとう松永のしるこサンド、やっぱ、最高だぜ、松永のしるこサンド! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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