ブログ休止のお知らせ
おひさしぶりです。更新しないまま時が流れ、すっかり秋です。今年も金木犀の季節がやってきました。それで、思い出したのです。昨年秋、思い立ってブログを始めたのは10月1日。今読み返したら10月10日に金木犀のことを書いています。毎日忙しくて、文字通り心を亡くしていて、周りを見ているようで見ず、聞いているようで聞いてなくても、この香りには気づく。生きて呼吸をしている限り・・・そんなことを昨年書いていました。今年もほぼ同時期に金木犀が香るとは、地球の健気さやら宇宙の偉大さを感じます。わけもわからないままに、ブログというものをやってみよう!と始めてみたらいろいろなことがあり、生活が随分と変わりました。ブログのグリーンの背景の文字をあらためてよく見るとThe internet has truly changed the way people live today.読みもせずに雰囲気で選んだのでしたが、ずばり言い当てています。あとから驚きました。確かに、インターネットは生活を変える力を持っています。5年前にパソコン教室にワードとエクセルを習いに行っていた私のような者ですらいつの間にかパソコンと携帯なしでは暮らせなくなっています。今もこれからも自分なりにネットを使うでしょう。でも、ネットが生活を変えるのはいい面ばかりじゃありません。隣にいてくれる人と話すより、ネットの中で過ごす時間が長いのは明らかに不健全です。子どもが話しかけているのに、うわの空の母親なんて最低でしょう。一日が24時間であることは変わらないのだから、ネットに使う時間の分、何かが削れらるわけです。睡眠時間がどんどん短くなり、今までもう少し心を込めていたはずの食事の支度も、単なる手抜き以上に殺伐としたノルマと化していました。大急ぎでやろうとするから「やけど」なんかするのでしょう。「注意力散漫」と子どもの頃よく父に言われていた言葉がよみがえります。このへんで、少し生活をリセットしようと思いました。尊敬するアン・モロウ・リンドバーグの『海からの贈物』を読み返してみると、ネットなどなかった50年以上も前に、同じような葛藤が描かれています。「私は夫や子ども達に何かを与えるとともに私も向こうから何かを与えられ、友達や私が住んでいる社会とものを分け合い、それから女、また文筆家、そしてまた市民として人間の世界に対して私が負わされている義務を果たしたい。」「しかし、私は何よりも先に、私自身と調和した状態でいたい。私は今言ったような義務や仕事に私の最善を尽くすために、ものをはっきりと見て、邪念に悩まされず、私の生活の中心に或るしっかりした軸があることを望んでいる。」「子どもを生んで育て、食べさせて教育し、一軒の家を持つということが意味する無数のことに頭を使い、いろいろな人間と付き合って旨く舵を取るという、大概の女ならばすることは、芸術家、思索家、あるいは聖者の生活には適していない。それで問題は、女と職業、女と家庭、女と独立というようなことだけではなくて、もっと根本的に、生活が何かと気を散らさずにはおかない中でどうすれば自分自身であることを失わずにいられるか、車の輪にどれだけの圧力が掛って軸が割れそうになっても、どうすればそれに負けずにいられるか、ということなのである。」50年前に書かれている本に、20年ほど前に自分が傍線を引いたところを抜粋してみました。ちっとも進歩がないようで笑ってしまいますが、かのリンドバーグ大佐の妻で、自分自身も飛行家で、5人の子どもの母で、さらに文筆家だったというスーパーウーマンのアン・モロウ・リンドバーグにして、そういうことに悩んでいたのだということに勇気づけられます。そりゃあもう、お忙しかったことでしょう。問題を解決するための第一歩は、自分の生活を簡素にして、気を散らすことの幾つかを切り捨てることなのだ…家族を離れて一人、無人島での休暇を敢行した彼女はシンプルで美しいほら貝を眺めて、そう書いています。というわけで、私も自分の生活をもっと簡素にしようと思います。リンドバーグ夫人の表現によれば、「本や、乳母車や、日傘や、台所の椅子を頭にのせて綱渡りする」ような、または「眼に見えない糸を使ってあやとりをする」ような日々の生活の現実を踏まえ、それを前提として、身の丈に合った仕事をしていこうと思います。無理をしても続きませんから。ちゃんと眠り、ちゃんと起きなければ、ろくなことを考えないし、ろくなことを言えないし、ろくなことを書けません。そういうわけで、このブログも当分お休みすることにします。既に長らく休んでいましたが、何も挨拶もなく、放置するのもよくないと思いましたので、金木犀の香りに促されて書いておくことにしました。いずれ「またブログでもやろう!」という気持ちになったら、新たな気持ちで始めることもあるでしょう。そのときにはお知らせいたします。このブログはこの一年間の記録として、このまま置いておきますが、スパムコメントがしつこいので、トラックバック&コメントを受け付けないモードに切り替えます。そうすると、過去のコメントも読めなくなってしまうのですが、削除したわけではなく、私の手元に大切に置いてあります。これまでの温かいコメントに心から感謝します。よかったら、時々英字新聞のサイトにアクセスしてみてくださいね。名前のローマ字表記で検索できます。記事がいろいろ出てきます。また、クラシック音楽情報サイトMusic Sceneにも、ひょっとしたら何か掲載されているときもあるかもしれません。そのように、ネットは遠い所にいる人ともつながれるのが魅力ですが、しばらくお会いしていない皆様に、またお目にかかれると嬉しいです。一年間お読みいただきありがとうございました。実り豊かな日々をお祈りいたします。harvestみのり