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駆け出し記者の一期一会

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2008年04月21日
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カテゴリ:展覧会
今月はじめ、従姉から便りがあった。彼女は画家である。
封筒に展覧会の案内が入っている。
「明日をひらく絵画 第26回上野の森美術館大賞展」

チラシに掲載されている大賞受賞作は、
地球が溶けかけたような、魔法の水晶のような絵。なかなか魅力的。
また、従姉の作品も入選しているという。よし、これは観に行こう。
4月28日までとなっているのでのんびりしていたが、よくよく見ると、
「作家名の五十音で前期・後期に分けて展示します」
と書いてあり、「た~わ」は22日(火)まで。これは月曜日に行くしかない!

お昼過ぎの上野公園。上野の森美術館は久しぶりだ。
実のところ、公募展のことはよく知らなかったのだが、
会場に入ったら100号サイズの力作がずらりと並んでいて圧倒された。
受賞作と入選作のほか、今回の審査員を務めた画家達の作品もある。
前期と後期で半分ずつということだから、ざっと160点ぐらい。

「絵画」もしく平面作品というくくりだけだから、
具象画あり抽象画あり油絵あり日本画あり
イラストっぽいのもあれば、レリーフみたいに立体が突き出しているのもある。
まさに百人百様の表現が、隣の作品とは何の脈絡もなく並び、
壁一面に思い思いの色彩と形が溢れかえっている。
「あなたはどれが好きですか?」と聞かれているような、
自分はどういうテーマやスタイルに反応するんだろうかと、自ら試すような鑑賞となる。

受賞作品もよかったが、まずは従姉の作品を探す。
2階に上がって見渡すと……あった!奥のスペースに。遠くからでもすぐにわかった。

昨年の夏、銀座のとある画廊で久々に従姉と再会した。
子育てや介護で長らく中断していた「絵」をまた描き始めたのだと聞いて、
ようやく再就職した身の私はいたく感銘を受け、その個展に駆けつけたのである。
墨を使った静かな緊張感のある作品だった。
年上の従姉に、「展覧会のページの担当なんです」と嬉々として告げたのを思い出す。

色とりどりの作品が並ぶ中で、墨のモノトーンはかえって異彩を放つ。
薄い和紙をそっと握ってから虚空に放ち、
ゆるゆると漂いながら落ちてくるまで、
空を漂う一瞬の紙の姿をストップモーションで見つめている。
それとも夜闇に脱ぎ捨てた打掛けか羽衣か?

ふと見ると、従姉の姿があった!
会期中いつ来るとも、今日の何時とも、何の約束もしていないのに、
こうしてばったり出会えるとは。これは必然の縁というものだろうか。

上野の森美術館大賞展は、VOCA展のような年齢制限ありの推薦制ではなく、
会員制も採らないコンクールなので、気を遣わず応募できるとのこと。
審査員には、美術館関係の学芸員や評論家は含まれず、
現役の画家ばかりで、そのほとんどは毎年変わること。
だから、入選作や受賞作の傾向も毎年変わる。
・・・従姉の解説でわかった。

つまり、今年の審査員の目を通した今年ならでは作品たちなのである。
873人から寄せられた1,320点から選ばれた281点の入選作と6点の入賞作品だなんて、
考えてみたらスゴイことだ。
思いがけない邂逅に舞い上がっていた私は、
あらためて「おめでとうございます」を言うのを忘れてしまった。

絵を描く人々は、絵によって何かを表現し伝えようとする。
私に伝わってきたものは・・・

「かごめかごめ 妄想冷蔵庫」
   冷蔵庫の周りをヤギとリャマが数頭、輪になってゆっくり回っている。
   冷蔵庫の中には、なぜか水面に顔を出すカバがいて、
   その上段にはシメジのようなキノコの株がある。
   下段にあったなんだかプチプチしたものは、臓物だったのだろうか。。

「明渡る」という日本画と「生命(イノチ)II」という油絵が偶然(?)並んでいた。
日本画のほうは、淡い色調で楚々とした草花を描き、
油絵のほうは、濃い緑で池の水面の波紋を描いているのだが、
本当に水なのかなと思うほど、ねっとりギラギラしていて目を引く。
なぜか気になる組み合わせの2枚だった。

この池の水面と同じように濃い作品が「私的風景」
 巨大なサボテンの花が火山のように咲き誇る。
 生き生きとしたグリーンの茎から根元にかけて油滴のような水滴が浮かび、
 同じように鮮やかなグリーンのカエルが張りついている。
 花の中心にはオシベ(?)が密集し、その下に覗いているのは、これまたカエルの両目。
 燃えるような真っ赤な花弁が飛び出して、カエルは奥に引っ込んでいるように、
 どうしても立体に見えるのだが、近づいてみたら平らなキャンバスだった。お見事!
 空は黄色!遠くにアマゾンみたいなジャングルや大河が見える。

このあとすぐに見た「空中散歩(風のはやさで歩く)」
 これもなんだか立体に見えるなあと思ったら、
 今度は本当にキャンバスがうねうねとした曲面に形作られていた。
 空中高く、はるか彼方の地上を見下ろすと、すべてが淡い色彩に抽象化され、
 前方の雲の切れ目に昼間の月が白くぼんやり懸かっている。

以上、印象に残った絵の風景だが、
それが「何」なのか自分でも定かではない。
でも、絵はそうやって心に働きかけ、
絵を描く前と後とでは、また、絵を観る前と後とでは、
人は少し違っているのかもしれない。

第26回上野の森美術館大賞展
東京では4月28日まで。

★巡回展★
福岡市美術館にて     5月3日~5月11日
彫刻の森美術館にて    5月14日~6月18日
京都府京都文化博物館にて 6月24日~6月29日







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最終更新日  2008年04月27日 21時54分37秒
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