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アルタクセルクセスの王宮址遺跡

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2004年12月04日
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カテゴリ:歴史・考古学
(注・この日記は12月5日の日記である)

 この日はやはりルール地方にあるボッフムに行く。人口40万のかつての鉱工業都市で、観光すべきものは何も無いのだが、唯一サッカー・チーム(Vflボッフム)とドイツ鉱業博物館は一見に値するだろうか。寒風吹きすさぶ中そのドイツ鉱業博物館で開催されている「古代ペルシアの栄華」展を見に行った(来年5月まで開催)。
 鉱業博物館という会場で企画されているだけに、展示物の多くは金属製品である。しかも昨日のエジプトやトラキのような金銀といった貴金属ではなく、青銅や鉄といった実用品が中心だった。だが僕の専門に限りなく近いということもあり、感激度はこの展示のほうが上だった。
 ドイツ鉱業博物館は数年前からイランで発掘調査(土器製作・冶金遺跡及び鉱山遺跡の調査)も行っており、今回の展示はその成果を生かしてのものである。イランは日本と同じ地震国で造山活動が活発で、様々な金属資源に恵まれており、古代から冶金が盛んだった。この展示はイランにおける古代冶金とその社会的影響をテーマにしたものである。

 会場は二つの展示室とその両者を繋ぐ小部屋からなっているのだが(昨日の展示に比べなんとこじんまりしている事か)、この会場のデザインが面白かった。
 展示が始まる第一室はアケメネス朝ペルシア帝国の宮殿の遺跡であるペルセポリスをイメージしており、レリーフのレプリカや張りぼての列柱が並べられて遺跡の雰囲気を出し、その間に展示ケースが置かれている。会場はやや暗めで赤い光線が当てられ、夕暮れのペルセポリスに立っているような雰囲気である。この部屋の展示物は古代ペルシアにおける冶金の歴史を概観出来るように並べられている。 
 次ぎの小部屋はかなり暗い。ケースとパネル以外は真っ暗といってもいい。この展示室では鉱石の採掘や、それに起源をもつ洞窟祭祀についての展示が行われており、この暗さはそれをイメージしたものである。
 第三室は一転して明るい。この部屋全体がペルシアのバザール(バザールという言葉はもともとペルシア語である)をイメージしており、展示ケースの上にはのれんや日除けのような布がかけられてそれぞれバザールの中の一店舗のように見たてられている。しかも壷(上げ底だし倒れないようにしっかり固定されている)に麦や豆、香料などを詰めて展示ケースの横に並べている徹底ぶりである。この部屋にはうるさくない程度にペルシア音楽や雑踏の音がエンドレスで流されており、ペルシアのバザールの雰囲気を聴覚的にも盛り上げている。
 僕は以前やはりペルシアに関する展覧会に関わったことがあり、会場のレイアウトにも意見を出したのだが、正直言ってここまでのものではなかった。完全に「やられた!」という気分である(聴覚効果を使うことは僕も提案したが、実現されなかった)。もちろん予算や会場の構造の関係もあるからここみたいなのは出来なかっただろうが、正直言って悔しい。
 まあ昨日のエジプトやトラキア展に比べれば、展示品が地味であるということから来る苦肉の策なのかもしれないが、企画者のペルシアに対する愛着を十分感じさせる展示ではないか。そのせいか知らないが、観客の中には多くのイラン系家族の姿があった。

 展示品の中には僕の研究の上で非常に重要な遺物もあり、既に発表した論考に一部追加・修正しなければならないことに気付いた。得るものの大きい展覧会だった。カタログも充実の量と質で、一緒に行った後輩も大喜びだった。
 僕はトルコやシリア(アラブの国の1つ)には何度も行っていて、そこの言葉も多少出来るが、中東でトルコ・アラブと共に三大勢力の一角を成すイラン・ペルシア圏には行ったことが無い。興味はだいぶ前から持っているのだが。近いうちに行きたいと思っている。





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最終更新日  2004年12月07日 07時16分01秒
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