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2026年05月11日
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カテゴリ:読んだ本


「太平記」を読み終えた。
平家物語が栄華を極めた平家の滅亡を美しく悲しく描いたものだとしたら、太平記はパラダイムなき時代の人間の忠義、裏切り、反目といった諸相をときには美しく時にはえげつなく描いたものだろう。
南朝方の蜂起は時々起こるが、時代は次第に北朝方に固まっていき、その分、北朝内部の権力争いや確執が目立ってくる。室町幕府は二代将軍の時代になるが、この将軍もさほど権力があるようにはみえないし、太平記でも人の意見に左右されやすい人物とされている。戦そのものも、以前に比べると、だれた感じになり、形勢をみながらにらみ合い、不利となると味方が櫛の歯の欠けるように消えていくというものがめだつ。
興味深いのはこうした戦乱に合わせて起こった奇怪な現象だ。
1361年の6月から10月にかけて大地震と津波があり、6月には夏なのに雪が降り凍死者もでたという記述、さらに翌年には地震もおさまらないのに、彗星や客星が現れ、琵琶湖の水が乾いたという。水の底に瑪瑙でできた道も現れた記述もある。
自然災害はいつの世もあるのだが、この頃は時代の節目であり、より人々の不安感を増したのだろう。土地の収益も、公家から武士に移り、零落する公家に対して、武家ははぶりがよかった。そのため、公家の中には武士の風俗をまねたり、また、公家に仕えていた下級官人の中には乞食同様になって窮死するものもいた。物語の最後には北朝の天皇が譲位後に出家遁世し、南朝の天皇と歓談する場面があるが、このあたりになると、天皇や公家が政権を担う時代には戻りようもなく、武家の時代が続くという趨勢はうごかない。
ただ、その武家も1367年に二代将軍も関東管領も若くしてなくなり、まだまだ不安定である。作者がここで、物語を完結し、しかも、書名を太平記としたのは、それだけ平穏な時代を願っていたのであろう。





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最終更新日  2026年05月11日 12時10分05秒
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