夜叉門
おじいさま家康公のために絢爛豪華な東照宮を建てた家光さん。
ご本人のお墓は、ここ大猷院にあります。ちなみに、大猷院は輪王寺の一部で、
お寺。
神社ではありません。
おじいさまを大変尊敬していた家光さん、自分のお寺は、おじいさんの東照宮より奥まったところに、こじんまりと作るよう命じました。デザインも、少しおとなしめ。
入り口の二天門を通り、もの凄い高さの石段を登ると夜叉門です。この大猷院。山の斜面にあるので、相当の高さを上ります。夜叉門のあたりから、下の参道が見下ろせるほど。(だから、かなり大変です。健脚でないときついかも。)
そして、左右に夜叉(仏教を護る神様の一種)の像がある夜叉門を通ると、もうひとつ、小さな唐門の先に家光さんの位牌が安置されている本殿が佇んでいます。
本殿
前半部の拝殿にはあがってお参りできます。狩野派の襖絵や、家光さんが使った鎧なども見られます。
本殿の外側、黒と金を基調にして、シックなセンスが感じられませんか?
わかりやすいゴージャスさの東照宮に比べると、大猷院、ぱっと見は地味。でも、よくよく見ると、かなり凝りまくった彫刻と色遣い。まさに着物の裏地に凝る江戸っ子的センス。
この建物は、家光さんが自分で建てたものではないはずですが、おそらく、ご本人の好みを尊重して生かしたのでしょう。ということは、家光さん、地味派手好みだったのかも。
個人的には、東照宮より、こちらのほうが好み。見学者もぐっと減るので、実に静かな大猷院です。深い森に囲まれた静謐な寺域。
この、竜宮城のような皇嘉門の向こう、誰にも邪魔されずに、家光さんは眠っています。