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遊心六中記

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2019.09.09
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カテゴリ:観照
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9月に入り奈良博と京博に行きました。奈良博は3日に、京博は7日にです。
奈良博の特別陳列「法徳寺の仏像」は8日(日)で会期終了。京博の標題にある特別企画は9月16日(月・祝)までです。あと1週間ありますので、こちらを先にご紹介します。

7日(土)は無料観覧日ということが、事前に入手していたこのPRチラシに記載されていたのです。それならと会期終了までの期間も併せて考慮し上記の順番にしました。

京博の特別企画はICOM京都大会開催記念として実施された企画展です。その名称通り、京博に寄託された諸物の中からさらに絞り込まれた様々なジャンルの名宝が展示されていました。
ICOMとは国際博物館会議の略称で、その世界大会が京都で行われたのです。それにリンクした特別企画です。今年の京都大会のテーマは「文化をつなぐミュージアム-伝統を未来へ-」でした。
過去形で書いていますのは、9月2~7日の期間で開催されていたからです。


京都国立博物館の入口で頂いた資料がいくつかあります。その一つがこれです。
これが冒頭に載せた右側の一コマとリンクします。平成知新館に向かう時、この景色を見て、アレ!何だろう?とおもったのですが、この「KYOTO博物館子どもフォーラム」の企画と関係していたのです。
  
午後に博物館に入館しました。その時に「八幡子ども太鼓まつり」の実演が始まるところでした。
 
         
 
上掲のパンフレットによれば、「太鼓まつり」は八幡市にある石清水八幡宮境内、山麓の高良神社の例祭「高良社祭」の宵山行事で、町内毎に作る「屋形神輿」に由来するとか。一時途絶えたこの行事が、子どもたちの自作神輿から始まり、「子ども太鼓まつり」として今や伝統行事になっているそうです。
太鼓を載せた「屋形神輿」を担ぎ、「ヨッサー!ヨッサー!」と掛け声を掛け、練り歩くそうです。その実演がここで始まりました。
  
しばし見物してから、館内に。普段とは異なる景色です。テラスに太鼓が置かれていました。
 
館内から撮った景色です。屋形には太鼓を叩く囃子方の子どもが乗り込んでいます。
担ぎ手の中にはギャルも数名混じっていました。担ぎ手としてスタイルがなかなか決まっていました。
石清水八幡宮境内に高良神社があることを初めて認識しました。

私が過去の探訪歴で知っているのは、古代豪族・和爾氏の本拠地探訪の行程で最後に訪れた天理市の櫟本町瓦釜地区に所在する高良神社です。「長寺(おさでら)遺跡」の場所に鎮座する神社です。

 
これは入口でいただいた資料の1つです。平成知新館に入ると、池に面した広い通路を兼ねた空間のところで、この俵屋宗達の高精細度複製品を使って、子どもフォーラムの一環としての授業が行われていました。

同時に頂いた資料が他に2枚あります。マップです。マップに追記されている番号を少し見やすくなるように、青色の数字を追記しました。これでも見づらいか・・・・。
 俵屋宗達マップです。
この地図には宗達ゆかりの場所が7カ所あげてあります。作品があったり、お墓(☆マークを付記)がある場所です。
  ①京都国立博物館、②三十三間堂、③養源院、④妙光寺、
  ⑤建仁寺、⑥頂妙寺(☆)、⑦醍醐寺
 尾形光琳マップです。
宗達マップと同様に示します。
  ①京都国立博物館、②細見美術館、③妙顕寺(☆)、④太田神社(本物のかきつばたの名所)
これらもまた、子どもフォーラム学習用として作成されたものでしょう。

       
             これは鑑賞後に購入した図録です。

今回、感動ものだったのは、絵画展示の2室です。
一つは、2F-5室です。表紙の宗達筆「風神雷神図屏風」(国宝・建仁寺蔵)が展示室の右側に、正面には
 
六曲一双の狩野山雪筆「雪汀水禽図屏風」(重文)が展示されています。これは右隻で後掲のPRチラシから切り出しての引用です。そして、左側には与謝蕪村筆「夜色楼台図」(国宝)と河鍋暁斎筆「大和美人図屏風」(二曲一隻)が並んでいるのです。

もう一つは、その隣の2F-4室です。右側に狩野永徳筆「花鳥図襖」(国宝・聚光院蔵)の4面が展示されています。正面には海北友松筆「雲龍図」(国宝・建仁寺蔵)の4幅です。「昭和9年(1931)の第一次室戸台風で方丈が倒壊したことを受け、障壁画はすべて現状のように軸装に改められ保存が図られている」(図録より)といいます。現在、建仁寺の方丈を拝見すると、高精細度複製された黒龍図を元あった位置の襖絵(障壁画)として再現展示されています。これは既に探訪記としてご紹介しています。左側には、長谷川等伯筆「山水図襖」(重文・鄰華院蔵)16面のうち4面が展示されています。

このような組み合わせの展示で鑑賞できる機会はもうないかもしれません。うれしいかぎりでした。

 PRチラシは二つ折のA4版です。開くとこんな案内に。
 
図録の裏表紙は、この「束熨斗文様振袖」(重文・友禅史会蔵)の部分図です。江戸時代の着物の図柄には、現代感覚に通じる斬新な意匠のものがいろいろあって驚きます。婆娑羅・風流の系譜にリンクするのでしょうか。大胆さに圧倒されます。
 「宝誌和尚立像」(重文・西住寺蔵)
この仏像は平常陳列で幾度も見ていますが、何度みてもその具現化に驚きを禁じ得ない仏像です。

同じく、確か去年あたりからだったと思いますが、安祥寺蔵の「五智如来坐像」(国宝)が平常陳列として展示されるようになりました。勿論この特別企画の諸仏像の展示の中では圧巻です。
PRチラシの右下角には、五智如来像のうちの中心になる大日如来坐像が載っています。この仏像は像高161.2cmです。他の4体は像高が50cm強小さく作られていて、全体のバランスが保たれています。
高山寺蔵の「白光神立像」(重文)は像高42.3cmという小さな像ですが、印象的でした。
 
PRチラシには、この伝野々村仁清作「色絵蓮華香炉」(重文・法金剛院蔵)が載っています。同様に印象深かったのは、奥田頴川作の古代中国青銅器を模して作陶された作品が2点見られたことです。「三彩兕觥(じこう)形香炉」(重文・建仁寺蔵)と、同名で意匠の異なる香炉(両足院蔵)です。酒器の兕觥のスタイルですが、意匠がかなり異なるところ、および隣りあわせではなく離れて展示してあったと記憶しますがそれらの点がおもしろい。

PRチラシの中央には、俗体肖像画「伝源頼朝像」(国宝・神護寺蔵)が載っています。これと対をなすかのように、俗体肖像画「伝平重盛像」(国宝・神護寺蔵)が並べて展示してあります。重盛像は頼朝像に向かい合う形で左側面を前にして描かれてる肖像画です。まずはその大きさが目を引きます。
  これは奈良県吉野郡の金峰山経塚出土の「金銅藤原道長経筒」(国宝・金峯神社)です。藤原道長は、この経筒に自ら書写した法華経など経典10巻を納め、天川村の山上岳(金峯山)に登山して自ら埋めたと伝えられているそうです。(図録より)

私の印象に残るのは、道長の長女で一条天皇の中宮となった藤原彰子が作らせたという「金銀鍍宝相華文経箱」(国宝・延暦寺蔵)です。紫式部が仕えたという中宮彰子です。「上東門院となった彰子が長元4年(1031)に慈覚大師円仁に結縁するため自ら書写した法華経(妙法蓮華経)8巻をこの箱に納め比叡山横川の如法堂に奉納したという」(図録より)ものです。
 
これもPRチラシに載っています。中国・元時代の顔輝筆「蝦蟇鉄拐図」(重文・知恩寺)です。
東福寺の画僧・明兆が本図を写した作品を以前に鑑賞した記憶があります。明兆は達磨大師の正面像を描き、三幅構成にしています。こちらも京博への寄託作品ですが、出展されていません。顔輝筆の絵は様々な絵師に影響を及ぼしているものです。
 
展示品の最後に、この剣に触れておきます。ここでは横にして載せていますが、PRチラシの通り、縦にして展示されています。私はこの剣を初めて見ました。「剣 無銘 附黒漆宝剣拵」(国宝・金剛寺蔵)です。附云々という箇所は、両刃の刀身に、黒漆塗の鞘と三鈷杵形の柄を備えていることを意味し、それを併せて国宝に指定されていることを意味します。この柄には「鎌倉時代の密教法具の特徴があらわれている」(図録より)と言います。まさに不動明王が右手に持っていそうな剣のようですね。

金工分野として、鞍馬寺蔵の「黒漆剣」(重文)も出展されています。刃長76.7cmの直刀で9世紀平安時代初期の作だそうです。何カ所も刃こぼれがしています。「寺伝では坂上田村麻呂佩用の剣とされ」(図録より)ているそうですが、展示品の傍に掲示された説明文を読むと、刃こぼれしていて、千年以上の歳月にわたり伝世してきたことを考えると、実に坂上田村麻呂佩用の剣というリアル感が出て来ます。
また、密教法具といえば、密教系のお寺の本堂で遠くから見る機会はありますが、傍近くでそれだけを見る機会はないものです。この特別企画では、「大檀具1式」(観心寺蔵)が展示されています。

最後に、自宅で図録を見ていて、気づいたことがあります。たぶんある時点で京博寄託の名宝を抽出してリスト化し、図録化が先行していたのかもしれません。出品一覧に載っていないものがかなり図録には含まれています。一覧表には作品はすべて全期間展示と頭注に記されています。鑑賞してきた記憶でも見ていない作品が結構あります。対比してみて、通常の展覧会の図録との違いに気づきました。図録の作品通し番号と、出品一覧の通し番号が全く対応していないことです。やはり、図録には展示会場では見られない作品も載っていることになります。
PRチラシには、「本展では、京都国立博物館に収蔵される6200余件もの寄託品に中から、選りすぐりの名品を展示いたします。」と記されています。
京博への寄託品をこれだけ同時に鑑賞できる機会はたぶん、少なくともかなり先まではないでしょう。二度とないかも知れません。国宝・重文級の作品が大半でもあり、見応えのある特別企画と言えます。

 
平成知新館から噴水とロダンの考える人のある西の庭に出ると、野外パーティの設営が始まっていました。これも普段とは異なる風景です。
 蝋燭を灯すためか、半球状の器具が置かれています。
ICOM京都大会の最終日のセレモニーが京博で行われる様子でした。

これでご紹介を終わります。ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
・図録『京都国立博物館寄託の名宝 美を守り、美を伝える』 京都国立博物館 2019
・PRチラシ
・「ICOM京都大会開催記念 特別企画
  京都国立博物館寄託の名宝 ー美を守り、美を伝える- 出品一覧」

補遺
ICOMとは?​  :「ICOM日本委員会」
ICOM​ 公式ウエブサイト
ICOM KYOTO 2019​  ホームページ

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)​​​​​​​

こちらもご覧いただけるとうれしいです。
探訪 京都・東山 建仁寺再見・細見 -2 方丈・海北友松の障壁画、大雄苑(方丈前庭)





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Last updated  2019.09.09 14:49:07
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