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カテゴリ:Progressive Rock
最近ヘビー・ローテーションで聴いているのが ピンク・フロイドの「ファイナル・カット」 (2004/6/16発売 紙ジャケCD)です。 The Post War Dream Your Possible Pasts One Of The Few When The Tigers Broke Free(ボーナス・トラック) The Hero's Return The Gunners Dream Paranoid Eyes Get Your Filthy Hands Off My Desert The Fletcher Memorial Home Southampton Dock The Final Cut Not Now John Two Suns In The Sunset 音を三次元的に捕捉する特殊音響効果「ホロフォニック・サウンド」で録音されたアルバムが、 新たに2004年リマスターでさらに立体感が増しているので、 ヘッドフォンなどで聴くと、その効果が体感できます。 映画の一場面が目に浮かぶような「音景」描写が、この作品の特徴の一つ。 就寝時にイヤフォンで聴いているので、 ホロニック効果なのかどうかは知りませんが、最近はぐっすり眠れます。(おいおい) 冗談はさておき、このアルバムは元々、映画「ザ・ウォール」の サウンド・トラックとして発売する予定でしたが、 ほとんどロジャーのソロ作と言っても良いくらいにパーソナルな内容になっています。 「ザ・ウォール」の監督でもあったアラン・パーカーや、 フロイドのギタリストでロジャーの相棒のデイブ・ギルモアなどとの確執、 マーガレット・サッチャー英首相への批判や、フォークランド紛争への絶望、 戦死した父親へのオマージュ(エディプス・コンプレックス)などが、 各楽曲のテーマとして設定されていると思われます。 すでにリック・ライトはクビになり、ギルモアやメイソンも脇役でしかないアルバムですが、 サウンドは明確にフロイド・サウンドです。(後のロジャーのソロと比較すれば明らか) 「Your Possible Pasts」と、「The Fletcher Memorial Home」における ギルモアのギターソロは、聴く者の心を打ちます。 こんなソロは彼にしか弾けないでしょう。 私のお気に入りは、 1981年にハイドパークで発生した軍楽隊への爆弾テロについて書かれた「The Gunners Dream」です。 後半に流れるラフ・レイブンスクロフトによるサックス・ソロが心地よい。 次曲「Paranoid Eyes」への流れがとても暗いのですが(笑)、 本当にすばらしい。 彼の不満というか批判精神は、今でもライブの定番になっている 「Get Your Filthy Hands Off My Desert」に集約されます。 そしてタイトル・ソングの「Final Cut」。この言葉は「自殺」を意味しています。 メロディは限りなく美しいけれど、歌詞の内容はかなり意味深です。 「Not Now John」はシングルカットされた曲らしいですが、 出だしからFuck All That~などと、ずいぶん扇情的な歌詞。 汚い部分はギルモアに歌わせている…?(笑) 「もうひとつの太陽」(Two Suns In The Sunset)とは核爆発のことだそうです。 この曲ではアンディ・ニューマークがドラムを叩いていて、 いつものフロイド・サウンドとは印象が異なります。 ニックでは叩けないと判断されたとか。(そうは思えませんが…) この曲の最後の一節、 and as the windshield melts (そして風防ガラスが溶けるとともに) and my tears evaporate (涙も蒸発していく) leaving only charcoal to defend (後には炭しか残らない) finally i understand the feelings of the few (ついに後に残された少数者の気持ちを理解した) ashes and diamonds (灰とダイヤモンド) foe and friends (敵と友人) we were all equal in the end (結局、僕らはみな平等なんだ) が、いろいろな意味で皮肉にしか聞こえない歌詞ばかりのこのアルバムですが、 個人的にはロジャーの名作であり、今の時代にこそ、もっと評価されてほしいと思います。 83年にリリースされ、全英1位、全米6位のヒットを記録するも、 翌年、ロジャーの脱退でフロイドは崩壊。 このアルバムはまさにフロイドの最終楽章となったわけです。 クリムゾンの「リザード」とか、イエスの「海洋地形学」などと並んで、 ファンからも異端視されているアルバムが気に入ってしまうへそ曲がりな私です。(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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