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1.フェイスリフト
2.スライトリー・オール・ザ・タイム
3.6月の朝
4.アウト-ブラッディー-レイジャス
最近、ヘビーローテーションで聞いているのが、
ソフト・マシーンの最高傑作といわれるこのアルバム。
彼らの3作目なのでタイトルも「3(THIRD)」と、とても覚えやすい。
再発された紙ジャケ盤も、とても納得の行くつくり。
新しくデジタル・リマスターされたサウンド(DSD Mastering)も、
ダイナッミクかつ繊細にこのバンドの音を再現してくれている。
ソフト・マシーン(以下、ソフツ)のルーツは、
イギリスはカンタベリーのサイモン・ラングストン・スクールに
ビートニク文学やジャズに興味を持った早熟な仲間たちが集まったことからはじまる。
マイク・ラトリッジ、ブライアン・ホッパー、ロバート・ワイアット、
そしてブライアンの弟のヒュー・ホッパーらが下宿屋のワイアットの家に集まり、
バンドらしきことをしたり文学や美術について語り合っていた。
そこにふらりと現れたのが、オーストラリア生まれのビートニック、デイヴィッド・アレン・
彼が持ち込んだチャールズ・ミンガス、ジョン・コルトレーン、
マイルス・デイヴィス、オーネット・コールマン、ソニー・ロリンズなど
ジャズミュージシャンのレコードは、彼らの大きな刺激を与えた。
アレンはワイアットやヒューを連れてデイヴィッド・アレン・トリオを結成し、
63年2月にロンドンでライブを行った。
その後、ワイアットやホッパー兄弟、マレーシア育ちのケヴィン・エアーズ、
リチャード・シンクレアらがワイルド・フラワーズを結成。
このグループにはさまざまなミュージシャンが出入りしたが、
67年にソフツへと発展的解消をとげる。
当初のメンバーは、エアーズ(vo,b)、ラトリッジ(key)、
ワイアット(ds,vo)、アレン(g,vo)の4人。
67年2月にポリドールと契約して、シングル「Love Makes Sweet Music / Feelin' Reelin' Squeelin」をリリース。
そして4月からはファーストアルバムのレコーディング。
しかしこれはレコード会社に気に入ってもらえずお蔵入り。
アレンがビザの問題で、ライブを行ったパリから帰れなくなりグループを脱退。
トリオになったグループは68年2月、ジミヘンのサポートで2ヶ月間の全米公演。
その年の4月にデビューアルバム「The Soft Machine」を録音。
(リリースは68年12月まで遅延。)
ここで音楽的対立からエアーズが脱退。解散状態になるも、契約の関係で、
セカンドアルバムを作らねばならなくなり、ロードマネージャーのヒューを加入させる。
セカンド「Volume Two」は、サイケや不可思議なポップ、
さらにはジャズの臭いも醸し出す傑作と評価される。
69年10月のツアーでキース・ティペット・グループの
エルトン・ディーン(サックス)、ニック・エヴァンス(トロンボーン)、
マーク・チャリグ(コルネット)、リン・ドブソン(サックス)という
4人の管楽器奏者が加わり、7人編成となってレコーディングされたのが本作。
ツアーの合間を縫って、70年1月から5月までレコーディングする間に、
ホーンプレイヤーは一人去り二人去り、エルトンだけが残り、ソフツはカルテットに。
レコーディングにはこのほか、ジミー・へイスティング
(現行キャラヴァンのリーダー、パイ・ヘイスティングスの兄)らも参加。
さてこのアルバム、アナログ盤では2枚組みで、各面1曲ずつ収録された4曲構成。
1曲目の「フェイスリフト」はベーシスト、ホッパーの作品。
次第に高揚感が増していく独特のグルーブが印象的。
最初はとっつきにくいけれど、一度ハマってしまうとなかなか抜け出せません。
2曲目はラトリッジのペンによるジャズロック。
単純なようで複雑なリフの繰り返しに、ソロ楽器がのる組み立ては、
4作目(「Fourth」)以降に確立されるソフツのスタイルの萌芽となるもの。
ワイアット作の3曲目「6月の朝」が問題作。
彼独特のスキャットで始まるこの曲は、エッチで下世話な歌詞と合わせて(笑)、
ワイアットの自由闊達な心境が反映されたサイケ・ヴァージョン。
4曲目もラトリッジの曲だが、逆回転テープを使用したり、
ジャズ・ロックになったりと実験的精神にあふれたアヴァンギャルドな曲。
次作ではよりジャズの方向へと走ってしまうホッパーやラトリッジに、
ワイアットが付いていけなくなり脱退してしまう(マッチング・モール結成)ので、
この「サード」こそがサイケとジャズの化学反応を味わえる作品になっている。
ともかく、秋の夜長に、これを聞きながらベッドにもぐるとよく眠れますよ…^^;