筋肉の活性化
筋肉トレーニングの目的は筋肉の活性化と筋力強化のいずれかです。筋肉の活性化はMMT的に「ゼロではない」部位のレベルを上げるものです。筋力強化はもっと上のレベルです。MMT的に「ゼロ」となると医療やストレッチ等外部刺激の領域です。"夏頃こんなことを考えていました。「これまで自分の身体とつきあってきた結果、この部位のリハビリは無駄と思い込んでいるところがいくつかあります。左足首の背屈(MMT的に「ゼロではない」)、左肘の伸展(「ゼロではない」)、左手首の背屈・掌屈(「ゼロ」)、左手指の屈伸(「親指と薬指の伸展はゼロではない、それ以外はゼロ」)です。このネガティブな思い込みを見直します。疑いを持って覆すつもりで見直します」(思い込みという呪い)それ以来今でも、右側の身体感覚を左側に移す作業を続けています。"(左右差をなくす)在宅で迎える夏も5度目となると、スクワット等の筋力強化をやる余裕が無くなることは予想できました。ベッドに寝たままでもできる筋肉の活性化で代替補完することを考えました。トレーニングの質と量が問題でした。"少ない努力で大きな成果を上げることは、だれもが夢見ることですが、リハビリテーションでも少ない訓練で大きな治療効果を上げることはわれわれの夢です。しかし、試験の成績と勉強時間の関係に似て、治療効果は訓練の質と量に依存します。たとえば、下肢筋力の維持・増強のためには、いすからの立ち上がりを毎日100回、歩行を3000歩 -というように訓練量を重視していますが、同時に間違った訓練によって関節を痛めたり、まひした手足のひきつりを強めたりすることがないよう訓練の質も重視しています。ことに、脳卒中後のまひの回復促進には訓練内容の質と量が必要です。つまり随意的な筋収縮を誘発し、それをできるだけ繰り返して、それに関連した神経路の形成と強化が必要です。退院後の家族の熱心な訓練によって、字が書けるほどまひが回復した例もあります。Sさん(54)は、発症1カ月目に当科に入院、2カ月の集中訓練(まひの程度に合わせた5種類の運動パターンを、それぞれ一日100回、計500回、介助自動運動の形で反復)によって、肩とひじは良くなりましたが、指は別々に動かせない状態で退院しました。退院前、Sさんの妻から「右手は良くなるのでしょうか」との質問を受け、私は「1000回ずつ頑張れば 、ずっと良くなるはずです」と返事しました。Sさん夫妻は、退院後も指導された5種類の訓練パターンを1000回ずつ、一日5000回を実践し、1年後には右手で文字を普通に書けるまでになりました。"(「リハビリの窓から」第106回:訓練の質と量)1セット100回を1日10セットが目標です。今シーズンの成果を整理します;・座位で左肩の外転ができるようになりました。・仰向け大の字で左腕の回内ができるようになりました。・左手人差し指でタイピングができるようになりました。・左手人差し指と中指とで薄いものが挟めるようになりました。